街頭演説集

第24回 交通局民営化と優待運賃助成制度改革

交通局民営化後の第二弾は、優待運賃助成の制度改革!

Facebook 2016.1.12

 本日は新年2回目の街頭演説。テーマは交通事業民営化と優待運賃助成の関係についてです。
呉市交通局が広電に経営移譲されて、早くも後少しで丸4年が経過致します。私は初当選した20年前から交通局民営化を訴えて参りました。
 ここで先ず、何故民営化したのかを振り返ってみましょう。
 何と言ってもその第一は、交通局の赤字経営です。高齢者と心身障害者に対する運賃助成を含め、年間約13億円を税金で補填して来ました。民営化することで、これを8億円以内に圧縮することが大きな目的だったのです。
 と申しますのも、公務員運転手は民間運転手の給与より約4割高額だったことが挙げられます。このことが年間5億円を圧縮できる大きな要因です。
 但し、優待運賃助成として、年間7億5千万円程度は税金で補填していましたが、このことは交通局を助ける手段だったことが、意外と知られていません。
 交通局は昭和48年に法再建団体、即ち民間企業での倒産をしておりました。以後15年間自治省の管轄下におかれていましたが、この間この窮地を脱する手段として、同じ時期に優待運賃助成制度がスタートしたのです。当時は68才以上の市内高齢者が市営バスに乗車する際は、運賃が無料でした。
 この収入源を税金で補填していたのですが、その補填額の積算根拠は乗車率を調査して、その固定された率に基づき、補填額を算出していたのです。つまりどんぶり勘定だった訳です。
 ところが平成24年度から民営化する際、広電の意向もあって、当面優待制度を存続することになりました。今度は安易な税金を民間事業者に支出することは許されませんから、パスピーを通じて、きちっとした70才以上の高齢者が乗車した区間を基に積算したのです。すると、敬老優待分だけで、年間6億5千万円程支出していたのが、26年度決算では3億1千万円と、半分以下になったのです。つまり、これまで優待制度の名の下に、不当な税金を安易に交通局に支出して、同局の再建を手助けして来たことが証明されたのです。交通局は同じ呉市の組織だとは言っても、地方公営企業法によって位置付けられた公務員が経営する企業ですから、独立採算性が大原則となっているからです。
 従いまして、広電に移譲してからは、優待運賃助成分の呉市からの負担金は、本来の妥当な金額になっています。
 但しそれでも広電が黒字化する訳ではなく、同社に対して経営支援補助金を毎年度支出しており、26年度は3億4千万円でした。優待運賃助成負担金を合わせますと、トータルで7億1千万円です。何とか8億円の枠をキープした格好です。
 実は民営化後2年間は、運賃体系や路線は交通局時代のものを踏襲するとの条件が付せられたため、広電としても経営努力に限界がありました。それでも、当初交通局のバスを売却する予定だった呉市ですが、足下を見られて、無償譲渡させられました。更に広電は、車庫の一部移転で無駄なガソリン代を抑制し、営業努力によって全面ラッピングによる広告収入増で、営業外収益も確保されました。
 しかも、路線の赤字や黒字を相殺しての赤字に対する経営支援補助ではなく、黒字路線での黒字分は全て広電の収入となり、赤字路線の赤字分を呉市が補填するという条件も呑まされたことにより、優待運賃助成負担金収入が交通局時代に比べ激減したのをカバーしたのです。
 そうは言っても、モータリゼーションの進む中で、毎年度数千万円から1億円の運賃収入減が続きます。手をこまねいていては、いずれは8億円の枠を超えることが予想されます。実際25年度の呉市からの経営支援補助金4億2千万円、優待運賃助成負担金を合わせますと7億9千万円になり、正にぎりぎりの所まで追い詰められたのです。
 そこで26年度において広電は、市内循環線の統合で100円バスを廃止し、路線を見直し、特に10月からは、経常収支率が50%を切る赤字路線を広電から切り離しました。 即ち4路線6系統を呉市は、タクシー会社に委託したのです。具体的には白石白岳交叉点循環、広横路循環、昭和循環の3系統、音戸さざなみ線です。これらに対して、その赤い補填分を呉市は半年間で4,300万円支出しています。路線バスたる広電に任せるより生活バス化した方が、呉市としても支出を減らすことができるのです。
 広電からすれば、このアキレス腱を切り離すことで当面経営が身軽になり、呉市から26年度の経営支援補助金を約8千万円減額できたのです。
 一方、優待運賃助成負担金は、今後高齢化の一層の進展により額が膨らんで来ますから、呉市支出限度の8億円は、早晩超過することが予想されます。
 そこで、最後に残された砦が優待制度改革なのです。私は交通局民営化から2年後を目途に新しい制度設計をすべきだと訴えて参りましたが、4年が経過しようとしている現段階においても、市はプロジェクトチームを起ち上げておりません。優待制度そのものはは福祉保健部の所管であっても、交通政策を所管する都市部や、財政を所管する財務部、全体の調整立案を図る企画部等が共同作業チームを組まねばなりません。それだけ改革の大きな目玉なのです。
 ところが市長は新庁舎建設の際は、早々とプロジェクトチームを起ち上げましたが、優待制度改革については、未だに重い腰を上げようとしておりません。函館市の優待制度改革は、市長の鶴の一声で、僅か半年間で制度設計に漕ぎ着けました。要は市長のやる気なのです。
 とは言っても、優待制度を一気に廃止するのは、市民反発も予想され、政治的に困難を極めます。
 そこで私は、以前無料からワンコインの100円負担したように、暫定的な制度導入を訴えています。即ち高齢者の乗車運賃を子ども料金、つまり半額にする案です。具体的には千円乗車した場合は500円の負担、1区間160円乗車した場合は、半額ではなく、最低の100円の負担というようにです。
 合併前の呉市において、高齢者1人当たりの平均乗車運賃は230円程度ということですから、半額負担となれば、平均120円となります。僅か20円の負担増にしかなりません。これに合併町の遠距離組を加えても、平均乗車運賃は300円程度と見込まれますので、子ども料金制度は、コンピュータの大きなシステム変更も不要ですし、受け入れられ易い案だと考えます。
 この案をベースに、対象年齢を後期高齢者の75才に引き上げるとか、所得制限を設定するとか、複数の施策を組み合わせれば、更なる呉市負担の軽減に繋がる訳です。
 私は今後の経営支援の在り方を見据え、早急な改革を断行する必要があると、今後も訴え続けて参る所存です。
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