街頭演説集

第80回 主権者教育の在り方

主権者教育は小学生から保護者を巻き込んで!

Facebook 2017.2.26

 去る2月21日は、凍てつくような冷たい風の中で、80回目の街頭演説。途中、幟が何度も強風で倒されるという初の事態に陥りました。テーマは、主権者教育についてです。

 呉市議会議員選挙の投票率は、私が初当選した平成7年では63%、それから年を追う毎に低下し、2年前の平成27年選挙では、50%まで下がりました。これは危険信号です。何故なら、呉市議会全体が、実に半分の有権者にしか支持を受けていないこととなり、次回選挙でこの投票率を更に割ることになりますと、呉市議会の存立意義そのものに疑義が突きつけられることになるからです。
 そこで、呉市議会・総務委員会では、他都市の事例も研究した上で、先の3月定例会初日に議員・市長選挙公報条例案を提出し、全会一致で可決成立したところです。
 今秋に実施される呉市長選挙からの適用となります。この条例に基づき、2年後の呉市議会議員選挙において、全立候補者のプロフィールに加え、マニフェストが広報紙で紹介され、有権者の投票行動の手助けをすることになります。因みに、地元新聞に加え五大全国紙全てに新聞折り込みをし、市役所や各市民センターでも無償配布されます。
 但し 、平成15年度の公職選挙法改正で、告示翌日から期日前投票ができるようになりましたが、これは選挙運動期間で有権者が候補者の政策を吟味することの趣旨から逸脱しているため、編集の関係から告示後4日目での新聞折り込みでは、その効果も半減します。ましてや、投票所を大学等に加え、スーパーマーケット等に拡大するのは、大いに問題ありです。しかも、一部投票所統合のあおりを受けた地域に限定して、投票所までのバス送迎は、投票権という趣旨から本末転倒であり、反対です。
 また、有権者が候補者の政策を吟味する手段として、複数の候補者を一堂に集めて公共団体が主催する立会演説会が以前はありました。ところが、他陣営の聴衆ヤジ等の諸問題から、昭和58年の公職選挙法改正により禁止されました。従って、現在は専ら個人演説会を各陣営が実施するに止まっています。これでは、有権者が何度も演説会場に足を運ばなければ、候補者の政策を比べられないこととなります。
 実際個人演説会の主流は、前座を務める複数の応援弁士による演説があり、最後に行われる候補者本人の演説は10分からせいぜい15分程度が多く、これでは決意を述べることはあっても、政策を述べることにはなり切っていない傾向があります。
 そこで、この度の選挙公報の登場となった訳です。これはこれで大きな進歩ではありましょう。ただ、実現もできないことを公約に掲げて、それで得点を稼ごうとする向きもあるでしょうから、その公約は選挙後も呉市議会ホームページに掲載して、それを有権者が検証できるようになりそうです。
一方昨年11月7日、両城小学校が呉市立小学校として初めて模擬議会を実施し、6年生児童全員が呉市議会を訪れました。実際に秋休み条例案を市長役児童が登壇した上で説明し、それに対して、複数の議員役児童が質問席に出て議案質疑、それを受け教育長役児童が答弁するという凝ったものです。更には、複数の議員役児童が登壇して各々反賛の立場から討論まで行いました。そして極めつけは、議長役児童による採決要請があり、議員役児童全員が電子採決により賛否を表明しました。その結果、反対多数で秋休み条例は否決されました。
 その後、第2部として、児童から自由闊達な質問が議会運営委員会の所属議員に対してなされ、それを私達議員が答弁しました。積極的な挙手がなかなか止まなかったのは、凄い成果でした。
 これに続き去る1月20日には、荘山田小学校6年生全員による模擬議会第2弾が実施され、同様のやり方で大成功を収めました。
 これこそ、正に主権者教育の実地体験という決定版でしょう。この児童が18才になれば、ほぼ高い率で投票に行ってもらえるだろうと確信した次第です。私はこれを、土日祝日に実施し、授業参観と兼ねればよいと思いました。そうすれば若い保護者がより政治に関心を持って下さることが大いに期待できるからです。学校数が多いことで、議会対応が困難かもしれませんが、それは同じ日に時間帯を分けたり、対応を議会運営委員会に限定せず、全議員が対応するよう振り分ければよい訳です。
 近年は、呉市立中学校の選抜生徒による模擬議会が実施されており、呉市議会が主催する昨年11月の議会報告会には、市立呉高校生との対話を組んだりして、主権者教育が進んでおります。私が委員を務める民生委員会による蒲刈地区議会報告会では、蒲刈中学校3年生が総合学習の一環として主体的に参加しました。
 また、私の母校である県立呉三津田高校が議員との意見交換会を去る1月19日にくれ絆ホールで初実施。3年生選抜生徒によるグループ研究発表、全校生徒がそれに聴き入りました。そしてテーマ別のグループ研究が終わる毎に、参加した議員から生徒への逆質問があり、それに発表生徒が答弁するという趣向もあって、これも大成功を収めました。
 要は投票率の向上は、有権者が政治に関心を持つこと、いわゆる主権者教育にかかっているということなのです。勿論それには、開かれた議会を目指し、議員も行政のチェックを怠らず、普段から真摯な勉強と質疑姿勢を示すことこそが、市民の議会政治への信頼を回復する重要な鍵を握っているのです。

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