部活動指導員の採用で、教員の負担軽減を!
Facebook 2018.10.21
文科省の平成28年度調査によると、教員の平日1日当たりの平均勤務時間は、小学教諭は11時間15分、中学教諭は11時間32分となっています。これを労働基準法の週40時間に当てはめると、小学教諭は週56時間15分ですから、16時間15分の残業、中学教諭は週57時間40分ですから17時間40分の残業となります。
これを更に月単位の残業時間に換算しますと、小学教諭は65時間、中学教諭は70時間40分となります。これらは平均ですから、当然厚労省の定める月80時間残業の過労死ラインを超える教員が沢山内在することになります。
にも関わらず、教育職員給与特別措置法(給特法)を根拠に、教育調整額を本俸に上乗せすることで、教員には残業手当は一切ないのです。加えて、児童生徒のテストの採点や、問題作成、翌日の授業の教材準備等、持ち帰って行う場合が多く、これは目に見えない残業です。当然教育調整額は、本来の残業手当より遥かに小さい訳です。
呉市教育委員会も、昨年度教員アンケートを実施しましたが、全国平均と似たりよったりの結果が出ました。
教員の業務が多いのは、「週案」と言われる週単位の指導計画作成を初めとして、市教委や県教委への報告書作成等の事務に忙殺されているからです。給食費や教材費等を児童生徒の母親から徴収することや、児童生徒や保護者への相談対応も加わって、時間外勤務の概念がないため、公私の区別が曖昧となっているからにほかなりません。
そこで、呉市教委は勿論、私が委員を務める呉市議会文教企業委員会でも、昨年度この問題をテーマに選択し、改善策を検討して参りました。
第一は、校務支援システムの導入を行い、昨年度は中学校、今年度は小学校で実施しています。これは、成績処理、出欠管理、健康診断票、保健室管理、学籍等をシステム入力することで、手作業からのICT活用への転換で、業務の効率化を図ることが目的です。但し、5年リースで相当の予算化が必要となります。
第二は、広島県の事業で、印刷業務等を教員に代わって行う教務事務支援員の雇用です。呉市は昨年度、今年度共に、大規模校たる小中各々3校に導入されました。これを市費による独自予算化し拡充するべきとの意見も出ました。しかし私は、今後県が予算を拡充したり、文科省が教員働き方改革の一環として予算を講じることが予想されますので、焦って呉市として予算化しなくてもよい、との考えです。実際文科省は、来年度予算増額を要求する方針のようです。
第三として、タイムカードの導入論議がありました。呉市では合併町等一部の学校で、タイムカードを導入しています。私は、教員は時間外勤務の概念がないのと、出対時刻エクセルのシステムに入力することで把握できることから、市教委として予算を組む必要はないと主張しました。
第四としては、教材データの共有化です。これまでは一部の有能な教員が教材データを作成しても、呉市内全校の教諭が共有してそれを使用したりすることができませんでした。呉市は地域イントラネットが整備されていますから、ネット上でデータ共有を図れば、各教諭が個々に一から教材データを作成する必要がなくなり、大幅な時間短縮が見込まれます。これは大方の委員が賛意を表したところです。
最後に中学校の部活動問題です。中学教諭の勤務時間が大幅に増える要因となっており、私が最も主張した点です。
土曜日曜祝日に、部活動を実施する場合、4時間以上の活動であれば、広島県の職員特殊勤務手当条例改正により、一日3,600円が支給されます。因みに平成29年度までは3,000円でした。加えて、対外試合等で泊を伴ったり、週休日等に教員が引率した場合の手当は、4,250円から5,100円引き上げられました。手当ですから、最低賃金は下回っている訳です。しかし、身柄は拘束されることを認識しておいて下さい。
一方、部活動の現場においては、外部の実技ができる人材を登用して、技術指導を仰いでいることが結構あります。但し教員免許を有していないため、実技指導はできても、生活指導まではできませんでした。つまり、対外試合や通常の部活動においては、指導員が直接技術指導しながらも、顧問教諭はその活動を共にしなければならなかったのです。
ところが、学校教育法第142条に依拠する学校教育法施行規則が改正され、平成29年度から第78条の2が加わり、部活動指導員が位置付けられたのです。つまり研修を受けることで、実技のみではなく、生活指導もできるようになりました。
呉市では中学校の運動部において、これまでも複数学校においての技術指導者を登用して来ましたが、全てボランティアです。しかも品卒者特例で大会へ引率する場合を除き、傷害保険の加入をしていません。私は、取り敢えずこれらの指導者に対し、保険加入をさせて、その保険料は呉市が負担し、且つ交通費程度の費用弁償は支払うべきと意見しました。
行く行くは、部活動指導員として位置付けて報酬を支払い、生活指導もできる人材を育成させるべきです。そうすれば、部活動への顧問教諭の負担が激減することになり、勤務時間も短縮され、その分を生徒と向き合う時間に充てることも可能になる訳です。即ち教育の質が向上することになります。それは、文化部においても同様です。そうすることで、生徒の個性や能力を存分に引き出し、技術力向上にも貢献できるのです。
文科省は運動部において、今年度から週2日を休暇日とするよう部活動指針を提示しました。その内、1日は週休日を含めるということです。しかし呉市では、昨年度に休暇日を1日に設定したばかりで、教員の労働時間縮減にはまだ道半ばです。早急に国の基準に合わせるべきでしょう。
いずれに致しましても、私は呉市立中学校において、部活動指導員の導入を目指して参る所存です。