街頭演説集

第240回 特別家賃支援給付金は実態に即さず、呉市独自支援策を!

Facebook 2020.6.10

 去る6月8日は240回目の街頭演説。テーマは新型コロナに係る国の中小企業救済策についてです。これで国政への言及は連続3回を数えることとなりました。

 先ずは何と言っても持続化給付金が目玉施策でしょう。これは去る4月30日に成立した第1次補正予算では2兆3千億円、追加拡充となった第2次補正予算案では1兆9千億円です。これは新型コロナの影響で、1ヶ月でも対前年度比5割以上減収となった中小企業に対し、法人で最大200万円、個人事業で最大100万円を支給するもので、申請は全てオンラインです。申請後は審査を経て2週間程度で振り込まれますが、実際はかなり遅れるケースが出ているようです。
 問題は、この業務を受注した一般社団法人・サービスデザイン推進協議会。受託費は769億円でしたが、これを749億円で電通に丸投げしたのです。差額の20億円はどこに消えたのか?6月4日参院商工労働委員会で安倍首相は、その内10億円は、振込手数料と答弁。しかし振込手数料というのは、金額の大小に関わらずそんなに大きな金額とはならず、早速疑問符のレッテルが張られました。この企業について聞かれても、首相は実態を把握していないと答弁。しかも同法人の笠原代表理事はこの6月8日付けで辞任(じにん)してしまったのです。追求を避けるため自分は操り人形だったことを自認(じにん)し、追求の手から早急に逃げたと言われても仕方ありません。
 同協議会は実務を行う体制ができておらず、広告代理店の電通や人材派遣会社のパソナ、IT関連のトランスコスモス等が共同出資しており、政府から受注する隠れ蓑的存在だったのではないかとの疑念が払拭できておりません。と申しますのも、丸投げされた電通は電通の系列会社の電通ライブに再々委託、そこからパソナやトランス・コスモス等に外注するという構図で、単なる元請けとしての粗利を何の苦労もなくせしめることができた可能性を否定できないからです。
 しかも、第1次補正予算に計上されたコロナ禍後の観光、飲食業復興を支援するGo Toキャンペーン事業は、事務委託費が最大3,095億円も組まれていたことが判明し、これも政府は追求の矢面に立たされ、公募の一旦停止に追い込まれました。
  これらの問題を野党にもっと追求してもらいたいのですが、首相は来る6月17日で閉幕する通常国会を延長する気は毛頭なく、12日に新型コロナ関連第2次補正予算案を野党と妥協を図り、共産党を除く賛成で逃げ切りを図る意図が見え見えです。
 野党としても、本予算に反対すれば新型コロナで苦しむ国民から見放されることを恐れ、前代未聞と言われる10兆円の予備費を実質5兆円に圧縮することを勝ち取り、これで予算に賛成することでメンツを保ち、与党と妥協を図った訳です。

 次に問題となるのは、第1次、第2次補正共に、緊急事態宣言を受けた各県知事による一部企業への休業要請に対し、その損失補償を盛り込まなかった点です。宣言自体は首相が発するものですが、各県知事に対応を丸投げした節があり、その財源補償は都道府県任せにして逃げ切りを図ったのです。元来、休業・時短営業要請と損失補償とはセットであるべきです。この点は、緊急事態宣言を新型コロナにおいて可能にした新型インフルエンザ対策特措法改正の際、盛り込むべきであったと考えます。
 これに対し、財政豊かな東京都は一番に都独自の損失補填策を打ち出しました。このことにより、国が動かないため各県も足並みを揃えざるを得なくなったのです。そこで都道府県による要請企業への損失補償の財源としては、第1次補正に含まれていた1兆円の地方創生臨時交付金でした。これは新型コロナ対策で各都道府県や自治体が国に実施計画を提出することにより、ある程度自由に使える交付金です。
 我が広島県でも、これを財源として活用し、感染拡大防止協力支援金制度を構築しました。即ち、4月22日から5月6日までの休業等要請に全期間応じた中小企業に対し、10万円から50万円の間で支援金を交付するものです。これも申請後2週間程度で振り込まれます。しかし1ヶ月経っても振り込まれないケースもあるようです。
 呉市はこの地方創生臨時交付金7億4千万円と財政調整基金を14億円取り崩し、総額26億円の補正予算を去る5月27日に臨時会で可決しました。その中の目玉は、小規模企業者応援給付金です。これは、今年2月から6月までの任意月で、対前年度同月比2割以上の収入減になっている小規模企業や個人事業主に対し一律10万円を支給するものです。例えば5割減に満たないため国の持続化給付金の対象から外れたり、休業要請の対象外だった事業者には朗報となったのです。しかも持続化給付金と感染防止対策協力支援金と重複しても構いません。ハードルが低く、事業者にとっては大きな魅力です。
 因みに県の休業時短要請は、パチンコ店、ゲームセンター、スポーツジム、カラオケ店、喫茶店、居酒屋、バーやスナック等が対象業種となりました。しかし昼間から夕方にかけての飲食業や生活必需品小売・卸売業、理美容業、宿泊業等は対象外となったのです。外出自粛要請もこの期間あった訳ですから、この間顧客が激減しました。酒販売とかは、飲み屋が休業していますし、県外を越えての観光が不要不急な外出に当たるとして旅館はキャンセルが相次ぎ、大打撃を被りました。それでも休業要請の対象外ですので、協力支援金の給付は受けられなかった訳です。呉市の応援給付金はこれらへの僅かばかりの救いになったのです。

 一方、テナント営業する店舗は、売上減による影響が深刻です。電気代や上下水道使用料は完全休業しても基本料金はかかる訳です。それ以上に家賃の支払いが最も堪え、深刻な問題でした。
 それを国の第2次補正予算案に、特別家賃支援給付金2兆242億円が盛り込まれたのです。これは生活支援給付金、いわゆる減収世帯への30万円給付を公明党の反対で、一夜にして特別定額給付金、即ち全国民への10万円給付へドンデン返しを食らった自民党の岸田政調会長が、失地回復のために後押しした節が覗えます。
 この制度は、中小企業において、75万円以下の家賃部分に対しては2/3、75万円超の家賃部分には1/3を補助するものです。個人事業主では、月額37万5千円以下の家賃分に対しては2/3、それを越える家賃部分に対しては1/3が補助されます。その上で中小企業には月額50万円を限度に半年分、最高300万円、個人事業主には月額25万円を限度に最高150万円が支給されます。複数店舗経営の場合は最高600万円となっています。家賃支払いを滞らなくするため、無担保無保証の資金繰り融資で食いつないで来た事業者は大いに助かります。
 ところが、ここで大きな問題があることが判明しました。この制度を受ける条件として、この5月から12月までの期間で1ヶ月でも売上収入が5割以上減、3割減であれば連続3ヶ月が課されるのです。実は最も売上が減少したのは、2月から5月までの期間です。この期間であれば、連続3割減はあるにも関わらず、これから徐々に客足が回復しようとしているので、連続3ヶ月3割減にはならない事業者が多数出ることが予想されます。これではコロナ禍後の家賃支援でしかなく、コロナ禍の渦中での倒れそうな事業者を救うことができません。対象をこの期間の売上減に広げた上で、今後の家賃支援をする制度の構築が現実に即した方策であることは明らかです。
 何故かこの現場の切実な声がマスコミで取材されることなく、国会でも採り上げられていないのは悲しいことです。
 そこで私は、国の家賃支援策で救済し切れない小規模企業者に対し、呉市独自の家賃支援制度を構築し救済するべきと、産業部や財務部に進言致しました。その財源はこの度の国の第2次補正予算の中に組み込まれた2兆円の地方創生臨時交付金の追加分を活用するのです。この度は感染率の高い自治体に多めに配分されるので、単純に第1次補正を受けて呉市に配分される7億4千万円の2倍とはならないでしょう。呉市は幸いなことに、1名しか感染者を出していないからです。
 国は6月8日に第2次補正による地方創生臨時交付金の使途を明らかにしました。その内容を見ると、家賃支援も可としていたのです。私は呉市としてこの臨時交付金を財源として、国の家賃支援に漏れた市内の小規模事業者を救済すべきと訴えているところです。

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