街頭演説集

第260回 小中高校オンライン授業に向けて受注業者談合の影響も!

Facebook 2020.10.28

 去る10月26日は260回目の街頭演説。テーマはGIGAスクール構想です。
 これは、文科省が全国の小中学校に対し、タブレット端末を児童生徒全員に配布し、授業に活用できるよう推進しているもので、昨年度末に急遽関連補正予算が国会で可決。自治体による学校への高速大容量のWiFi整備とタブレット端末購入に対し、補助する内容です。これを受け、早速呉市も去る3月定例会で、令和元年度補正予算を学校通信ネットワーク環境施設整備業務として12億5,500万円を計上、今年度への繰り越しを含め可決されました。
 その後公募型プロポーザルを実施した結果、(株)協和エクシオ中国支店が優先交渉権者となり、9月定例会にて7億1,500万円での同社との契約が可決されました。予算との差額5億4千万円は、当初タブレットは自宅への持ち帰りを考えていませんでしたが、新型コロナの収束が見えない中、学校が休校となった場合でもオンライン教育を可能にするため、方針転換。このため、市立高校を含めた全61校へのWiFi整備の際、端末の充電保管庫728台を設置する予算が不要になったことによります。

 市立学校へのWiFi整備後はタブレット端末の購入です。これまでコンピュータ室のパソコンリース契約が切れた段階で、順にディスクトップからタブレットに転換するのが呉市の方針でした。最初の中学3校をモデル校として選定し、ICTに明るい教諭が実践し、そのノウハウを他校に提供して来た経緯があります。
 この度の全児童生徒への一斉無償貸与への方針転換に当たり、5月臨時会において、学校コンピュータ利用教育推進事業として市立高校を除く60校の全児童生徒に対し配布するため、7億3,350万円の補正予算が可決されました。
 当初端末購入は国の補助枠の関係で、令和2年度から4ヶ年かけて、順に学年毎に揃える予定で、令和6年度から全児童生徒に行き渡ることにしていました。具体的には、令和2年度に中学1、小学5・6年生に、令和3年度に中学2・3年生、令和4年度に小学3・4年生、令和5年度に小学1・2年生に配布する計画です。
 ところがこれも、新型コロナ感染拡大を受け国が予算を拡充したため、今年度の補正予算で一気に小中学校全学年に配布することにしました。
 因みに全端末1台当たり4万5千円を限度として全額補助、通信設備布設は1/2補助ではありますが、上限は当初未定。それ以外の財源は全額起債(補正予算債)となります。
 但し、全国での需給逼迫が予想され、実際に数が揃うのは来年度になろうかと予想しています。
 また、市立高校生は端末購入は自費対応となります。これは義務教育ではないことから、文科省が補助対象外にしているためです。私は、GIGAスクールの国庫補助がなくても、新型コロナ対策としての地方創生臨時交付金を活用して、端末を購入すれば、高校生の自己負担がなくなるため、そうすべきと訴えました。しかしながら、県立高校を足並みを揃えたいのが当局の本音のようで、現段階では考えていないとの答弁でした。
 実は、この公募型プロポーザルは去る9月2日に公告され、本日10月21日に優先交渉権者が公表されました。3者が応募し、750点満点で559点の最高点を獲得した事業者が辞退していたのです。その結果、次点を獲得した(株)協和エクシオ中国支店が、WiFi整備に続き、優先交渉権者に選定されました。正式契約は来る12月定例会で議案可決後になります。
 最高得点を獲得した事業者が受注を辞退(じたい)すること自体(じたい)極めて珍しいことです。

 一方、広島県と広島市が発注したパソコン等の学校用コンピュータ機器の入札で14社が談合を繰り返した独占禁止法違反疑いで、公正取引委員が立ち入り検査を行ったことが去る10月14日に判明しました。
 ということは、この度辞退した会社は、この14社の中の1社であったことが容易に推察される訳です。私の問い合わせに、当局は断定はしませんでしたが、否定もしませんでした。
 結果的に環境整備と端末整備の両事業で同一会社が受注することになるのは、呉市として、影響が最小限に止まったと言えます。
 ただ、両事業共に公募型プロポーザルを実施し、入札ではなく随意契約にした理由としては、専門的技術が必要とされたとの説明です。入札なら談合が容易ですが、この度のプロポーザルでは、事業者からの提案を踏まえ、過去の実績や、端末の内容、保守・管理の各分野において、更に細部に亘り点数評価されますので、談合はほぼ不可能な訳です。
 ですから、この度の選定過程に談合があった訳ではなく、過去の入札で談合を繰り返した事業者が辞退したということになります。ということは、呉市立学校のパソコンリース契約やタブレット端末購入の際、談合がなかったとはとても言い切れないでしょう。
 ところで、談合の嫌疑がかけられた14社の中に、呉市が出資する第3セクター「(株)呉電子計算センター(KCC)」が入っていたのには驚きました。同社は昭和44年に設立され、呉市は208万円を出資しており、出資率は10.4%です。
 当時は情報関連企業が少なかったことから、政策的に呉市が出資して設立したものと認識しております。少なくとも私が1年生議員の議員の時は、議会質疑の速記録を議事録化したりする業務を随意契約で発注していました。それを私が、地方自治法施行令に基づき「第3セクターと言えども入札にすべき」と問題点を指摘したことで、以降は原則入札に参加しています。
 この度の談合事件を受け、同社の役員を調査した結果、幸いにも全8名中、呉市からの天下りはいませんでした。この種の外郭団体や関連団体には、呉市人事課が天下りを調整して来た歴史もありますが、国家公務員の天下りを規制した平成19年の国家公務員法制定に併せ、呉市は天下り斡旋をしないことにしたこともあるでしょう。
 私は、同社が民間会社とは言え、呉市民の税金が使われている点において、「株主として呉市が意見を言うことはしないのか?」と、関係部署を糺したところです。

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