街頭演説集

第337回 こども家庭庁はデジタル保育・教育での家庭監視が目的?

2023.8.30

 去る8月28日は337回目の街頭演説。テーマは、こども家庭庁設置についてです。

 同庁は、昨年6月15日のこども基本法と合わせ、こども家庭庁設置法制定で根拠付けられ、今年2023年4月1日からスタートしました。
 これは、これまでのこども政策において、認定こども園、少子化、子供の貧困対策を所掌していた内閣府と、保育園、母子政策、児童虐待対策を所掌していた厚労省を一本化するものです。但し、文科省が所掌していた幼稚園、学校、いじめ防止対策分野の編入統合は見送られました。

 想えば、以前は保育園を所掌する厚労省と、幼稚園を所掌する文科省とがしのぎを削って来ました。前者は保育に欠ける保護者に対して支援策を講じる施策、後者は幼児教育を推進する未就学児への施策です。ところが、同じ3~5歳の未就学児において、保育と教育とで格差が生じていることが問題となっていました。保育園児にも幼児教育を施す必要があるとの考えです。
 そこで、1996年から幼保一元化の議論が開始され、紆余曲折を経て、2006年に認定こども園法が内閣府所掌で成立。即ち保育園児も幼稚園児同様同じ施設下で幼児教育を受けられるようにしたのです。その後2012年には多用な保育を受け入れることや、保育園待機児童問題の解消も含めた地域型保育事業や家庭的保育事業を新設。内閣府所掌の子ども・子育て支援法として成立し、保育行政が厚労省から一部を内閣府が奪い取る格好となって、複雑化した経緯があります。その時にも文科省は、所掌する幼稚園施策を譲りませんでした。


 その後2019年10月から幼児保育教育の無償化がスタート。これは同日スタートした消費税の8%から10%への引き上げにおいて国民の反発を和らげるために、その財源を子育て施策や、無償化に活用するというものでした。これも内閣府所掌となりました。

 これらの経緯を踏まえ、2021年11月29日に、首相の諮問機関たるこども政策推進有識者会議から報告書が発表されました。その骨子は下記です。

  1. こども、子育て当事者の視点に立脚
  2. 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)に則る
     第3条第1項 子どもの最善の利益を考慮
     第12条 子どもの意見表明や意見反映
  3. 子どもが個人としての尊厳を守られる
  4. 待ちの支援から予防的な関わりを強化
  5. ハイリスク家庭の判断基準構築

 これらがこども基本法にも盛り込まれました。具体的には③は、第3条第1項に反映されています。またこども家庭庁設置は、第4条の国の責務に根拠付けられます。

 問題は④です。予防的な関わりへの政策転換においては、待ちの姿勢での支援から、能動的なプッシュ型支援となり、ひいてはハイリスク家庭へのアウトリーチ型支援としています。一見手厚い支援策のようですが、⑤ハイリスク家庭をどのように判断するか、その基準設置が難しいと言わざるを得ません。具体的には個々の家庭事情や支援内容に関するデータベースを構築する必要が出て来ます。つまり家庭のプライバシーに踏み込まざるを得なくなるのです。

 一方、こども家庭庁の所管は内閣府の外局に位置付けられ、内閣特命大臣を置く場合でも、最終的には内閣総理大臣直轄になります。ところが、またもや文科省の幼児教育や義務教育がこども家庭庁の所管外になってしまいました。即ち厚労省と内閣府のこども政策が一本化されたに過ぎません。
 そうであっても、こども施策に消極的な省庁に対し、特命相からの勧告権が付与されました。つまり、最終的には内閣総理大臣に権限が集約されたとも言えましょう。実際、文科省は児童生徒一人一人にタブレット端末を付与し、家庭にいながら教育できるシステムを確立しようとする動きがあります。いわゆるGIGAスクール構想です。

 となりますと、ハイリスク家庭の特定を目的としたデータベース構築は、当然内閣府が所掌するデジタル庁のマイナンバーカード施策とも密接に関係すると見ています。
 しかも、去る6月に改正されたマイナンバー法により、2024年9月からマイナンバーカード取得がほぼ義務付けられるマイナ保険に切り替わりますので、政府としては好都合な訳です。

 こども家庭庁とは、デジタル保育・教育への転換を図り、デジタル情報を一元管理する内閣総理大臣に権限が集約されるものです。加えて、新たな保育、教育のニーズを生み出し、関係業界が既得権益を駆使して潤う、格差社会への道に繋がるものと大変危惧しています。

第337回街頭演説 こども家庭庁はマイナカードでの家庭情報集積が狙い!(2023.8.28)

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