2024.1.15
昨日1月16日は、352回目の街頭演説。テーマは、防衛装備品移転三原則の改正についてです。
岸田政権は、昨年12月22日、防衛装備移転三原則の改正を閣議決定、同運用指針の改定を国家安全保障会議にて決定。同時に米国への防空システムたる地対空ミサイル「パトリオットPAC-3」の供与を決めました。これは、ウクライナへの事実上の武器支援と言えるものです。
第2次安倍政権の時2014年4月1日に、既存の武器輸出三原則を抜本的に見直した防衛装備移転三原則における、この度が初改正となりました。
既存の三原則では、同盟国アメリカへのライセンス生産による武器の部品に限定して、同国への移転を例外的に認めて来ました。この度の改正は、これを完成品まで拡大したのです。
バイデン大統領は一昨年12月13日に、パトリオットミサイルのウクライナ供与の方針を表明。ところが、その後米議会でそれを穴埋めする開発予算が通らなかったことで、岸田首相に日本でライセンス生産しているパトリオットPAC-3の米国への輸出を認めさせたのです。それは昨年8月18日に行われた、キャンプ・デービッドでの日米韓首脳会談で協力要請があったものと推察しています。
今回の三原則改定において、米国への武器完成品を輸出した場合、それを第3国に転用する場合には我が国の同意が必要です。恐らく、新品は米国で使用し、パトリオットPAC-2を含む旧式をウクライナに供与するものと見ています。F-16戦闘機の場合もそうでした。
結局、我が国が直接ウクライナに武器を供与する訳ではないものの、玉突き支援となり、間接的に、我が国がウクライナに対し武器を供与する形となる訳です。
既に配備されていたパトリオットで、ウクライナのキーウ上空でロシア戦闘機を打ち落とした実績があり、それがロシアへの抑止力として機能して来たのでした。戦争を背後で操る武器商人、いわゆる軍産複合体としては、ウクライナの敗戦が濃厚になったロシア・ウクライナ戦争を終わらせたくない訳です。今後米国から供与されたパトリオットがロシア軍機を撃墜することとなれば、ロシアが我が国を敵対国としてみなすこととなり、防衛政策上、極めて危険な立ち場に晒されることになりかねません。
また、この度の改正2点目として、米国以外の防衛政策上の我が国への協力国に対しては、武器製造に係る部品の移転に門戸を開放しました。
一方、既存の三原則では、紛争当事国等には、米国へのライセンス生産部品輸出以外にも、英国との空対空ミサイルの共同開発と、ウクライナへの装備品の供与は例外的に認めてきました。
そこでこの度の3番目の改正点は、これを原則論に盛り込み、堂々と可能にしたのです。即ち、他国から侵略を受けている国に対しては、自衛隊法で定める武器以外の装備品なら、移転ができると改めました。
岸田首相は、ウクライナに対し、昨年度は防弾チョッキを、今年度は、昨年5月の我が国が議長国となったG7にわざわざゼレンスキー・ウクライナ大統領を招待し、自衛隊車両100台の供与を決定してみせるパフォーマンスを演じてみせたのでした。
また、改正点の4つ目として、安全保障上の協力国に対して、我が国内での武器修理を可能にしました。これまでは、同盟国たる米国に限定されていたのです。
5点目は、救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限定して、第3国への武器移転を可能にしました。過去の湾岸戦争の際、ペルシャ湾へ掃海艇をPKO法に基づき海上自衛隊を派遣したことがありましたが、これを更に強固なものにしたことになります。
問題は、岸田首相が、昨年の通常国会終盤において、防衛財源確保法を成立させ、防衛予算を対GDP費の1.5~2%へ拡大しようとしていることです。実際、我が国の防衛予算は、5兆円余りだったのが、昨年度から一気に増額され、今年度予算では、実質の防衛費が6兆7千億円強に、新設された防衛力強化資金が3兆3千億円強を加えると、優に10兆円を超過してしまったのです。
この度の米国へのパトリオット供与が、輸出売却によるものなのか、無償供与なのかは、明らかにしていません。しかも、発射台の基数やPAC-3弾頭を何発移転するのかも、報道されていませんでした。実は、弾頭1発につき、5億円もかかるのです。
因みに、PAC-3は発射台に16発搭載、PAC-2は4発搭載できます。現在、我が国には、全国に18個発射隊が配備されており、1個発射隊につき、PAC-3が2発、PAC-2は3発を保有しているということです。
いずれに致しましても、我が国が世界で唯一の平和条項を有する憲法を掲げつつ、それを政治力で無力化しようとする動きが加速していると言われても仕方ないでしょう。加えて、岸田首相が任期中に国軍や緊急事態条項創設を含めた改憲に意欲を示しており、自然共生党と致しましては、世論を喚起し、これを阻止して参る決意です。