街頭演説集

2024.2.10「第355回街頭演説 ガソリン税の二重課税脱却とトリガー条項の凍結解除を!」

2024.1.15

 昨日2月6日は、355回目の街頭演説。テーマは、ガソリン価格の高騰対策です。

 さて、このところ物価が高騰し、国民の生活が苦しくなって来ています。特に2022年2月23日のロシアによるウクライナ侵攻を受け、我が国を含めた西側諸国よるロシアへの経済制裁も相まって穀物やエネルギーへの影響が顕著です。OPECの減産体制への移行も原油価格を押し上げています。

 それを受け、ガソリン価格の高騰で、輸送コストが急上昇しています。
 これらを踏まえ、去る2月1日の衆議院本会議で、国民民主党の玉木雄一郎議員が代表質問を行い、その中にガソリン税に係るトリガー条項の凍結解除を訴えました。

 実は、前身の民主党が政権を担っていた2010年度から、既存のガソリン税暫定税率を廃止すると共に、道路用特定財源だったガソリン税を一般財源化しました。民主党は直前の選挙公約で、「コンクリートから国民生活へ」をキャッチフレーズに、国民の絶大な支持を獲得して、政権を奪取したのです。その際のマニフェストの一つが、この暫定税率廃止だったのです。
 想えば1953年からガソリン税が創設され、道路財源化しました。これを日本列島改造論を掲げた田中角栄内閣が、道路建設財源の不足を補うため、ガソリン税の本則税率と同率の暫定税率を加算することで、1974年からガソリン税が2倍になった経緯があるのです。
 ある程度道路インフラが整ったところで、後の小泉純一郎内閣が、道路特定財源の一般財源化を主張し、2009年に民主党鳩山由起夫内閣誕生の際、暫定税率廃止とセットで一般財源化を果たしたのです。

 しかし、民主党は暫定税率廃止のマニフェストを破り、別途「特例税率」と名称を変更しただけに止まりました。
 具体的には、国税たる揮発油税と地方税たる地方揮発油税の合計をガソリン税と呼んでいますが、既存の本則税率と暫定税率が共に28.7円/ℓだったのを、暫定税率の代替措置として新設した特例税率を25.1円/ℓとしたのです。一応3.6円の引き下げでお茶を濁したのでした。つまりガソリン税は、57.4円/ℓから現在の53.8円/ℓとなりました。
 いずれにしても、これに2.8円/ℓの石油・石炭税と消費税が加わりますので、本体価格の倍額程度を、消費者たるドライバーは負担を強いられて来たことになります。
 その民主党政権時の税制改革の際、但し書き規程を入れて、国民に寄り添う姿勢を見せたのがトリガー条項の新設でした。即ち、レギュラーガソリンの年間全国平均価格が160円/ℓを3年連続上回った場合にトリガー(拳銃の引き金)を発動するというものでした。その代わり、130円/ℓを3年連続で下回れば、元の特例税率に戻すということでした。

 ところが、新制度を開始した2011年菅直人内閣時に東日本大震災が発生。復興財源を確保するため、特別所得税を国民から徴収することと合わせ、トリガー条項を自ら凍結してしまったのです。結局、今日まで一度もトリガー条項は発動されず、しかも、特例税率での25.1円は一般財源として変わらず、復興財源として使われることはなかったのです。またもや国民は騙されました。
 実は、玉木代表は2021年12月9日にも、岸田文雄首相に対し、トリガー条項の凍結解除を訴えていました。その際、与党とバーター取り引きを行う形で、同条項の復活を条件に2022年度政府予算案に、国民民主党として賛成に回っていたのです。それすらも、与党にあしらわれた格好になったのは否めません。
 政府としては、物価高騰対策の一環として、現在石油元売り会社に対し、補助金を支出しており、それが現場のガソリン価格の高騰を抑えて来たのです。それでも、呉市では現段階では169円/ℓが相場となっています。その補助金の期限が今年4月末になっているため、この間に、ドライバーに対し直接的な利益が見える形で実現するように、トリガー条項の凍結解除を訴えているのです。但し、これには法改正が伴いますので、簡単にはいきません。
 岸田首相としても、そのような改正法は、今国会に提出していませんし、ましてや、トリガーを発動させると、年間1兆5,700億円の税収減となるからです。
 一方、このガソリン税や石油・石炭税は、それらを本体価格と合算した形で、更に上乗せの消費税を徴収する仕組みのため、国民にとっては間接税の二重課税となっています。1989年に消費税を初めて導入する際もこの議論が行われましたが、煩雑になる等との理由で、かき消されてしまいました。
 その後5%、8%と順に消費増税が実施され、後の安倍晋三内閣が2019年10月1日から、今日の10%へと増税したのです。
 そもそも、社会保障と税の一体改革の一環として、当時の野田毅民主党内閣が、参院選で過半数を失ったことで、自民党の安倍晋三総裁と合意をして消費増税に突き進んだ経緯があります。その際、安定した社会保障財源に位置付けるという趣旨でした。
 ところが消費税増税分は、一般政策や国債償還に回されて来たと言われても過言ではありません。その間法人税が引き下げられ、現在では、歳入の主たる税収の内、約1/3を消費税が占める事態に陥っているからです。
 これが失われた経済の30年間の一要因なのです。国民負担率は増加の一途を辿り、賃金は向上せず、所得も減っています。消費税を社会保障費に活用するという約束は反故にされたのです。
 しかも、現代貨幣理論(MMT)が国会で近年質疑され、円建て国債を発行できる我が国においては、日銀と連動することで、財政破綻しないことが、既に財務省も認めています。 
 従いまして、近未来での消費税廃止を視野に入れつつ、さし当たってはガソリン税の二重課税からの脱却を含め、トリガー条項の凍結解除が喫緊の課題と言えましょう。

第354回街頭演説 ガソリン税の二重課税脱却とトリガー条項の凍結解除を!(2024.2.6)

谷本誠一 第355回街頭演説 ガソリン価格高騰にトリガー条項凍結解除を! 2024.2.6
ガソリン価格高騰に対し、政府はガソリン助成金を石油元請け会社に交付して、価格抑制策を実施して来ましたが、これでは不十分であり、期限が4月末までと迫って来ました。 本来民主党政権時に、ガソリン税の暫定税率廃止と共に、道路特定財源を一般財源化しました。その際、価格高騰の場合は、本則税率に上乗せしている特例税率を非課税...
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