2023.3.11
令和5年度に建物を同社が解体し、6年度に実施設計、建設着手、7年度建設、同年後半、若しくは8年度から供用開始となります。
底地を駅前東側のBゾーン、西側のCゾーンに分け、前者は減額譲渡、後者は建物解体を条件に無償譲渡します。そして、Bゾーンには商業・業務用施設が1万㎡、内2千㎡を呉市所有、それに国土交通省の交通ターミナル部分が入る複合施設となります。Cゾーンは、23階建て120戸の分譲マンションと、計画を提案時より拡張しました。
土地の面積は、Bゾーンは3,600㎡、複合建物建設を含めた評価額は15億8千万円、Cゾーンは2,000㎡、7億6千万円です。
このCゾーン譲渡に当たって、建物の解体費9億4千万円を控除すると評価がマイナスとなるので、無償譲渡との説明でした。ところが建物解体費9億4千万円を面積案分すれば、3億4千万円であり、控除すれば4億2千万円となります。つまり無償譲渡には、説明不足との感はいなめません。
さて、Bゾーンにおいては、28.5%を国が所有、10%部分2,000㎡を呉市が所有、残り61.5%を民間所有となりますので、民間所有区分評価は、9億7千万円となります。それを5億900万円に減額して譲渡しようというのです。因みに呉市は建物新築後、公共施設分を8億8千万円を負担し、所有することになるといいます。
問題は、公共施設2,000㎡の使途です。先ず、現在レクレビルにある440㎡のすこやか子育て支援センター「くれくれば」をそこに移転する計画です。予想としては1,800㎡と大幅に機能を拡充するということです。即ち、これまで母親と2歳未満児を対象としていましたが、これを未就学児に拡大し、且つ託児機能、絵本広場、室内遊具、中高生の居場所をも確保しようとしていることが、この度の質疑で判明しました。
斜陽化し、若者人口減で悩む呉市が、このような大なたを振るう必然性は全くありません。当然人件費の大半を、これまでの運営主体であるすこやか呉子育て協会に頼らず、呉市が負担するようになるでしょう。
しかも呉駅周辺には、
- 国際交流広場が入っていたビューポートくれ2F
- チャレンジ・コアが入っていた呉駅西共同ビル
- 広島電鉄が入っている呉駅西中央ビルの上階
- すこやかセンター1階多目的広場
と、空きや稼働率の低いスペースが多々あるのです。平成27年度末に策定された、呉市公共施設等総合管理計画では、ハコ物公共施設の総延べ床面積を30年間で3割縮減すると謳っており、大いに矛盾しているのです。
もう一つは、200㎡程度をアーバンデザインセンターを設置するというものです。これは官民学が一体となり、呉市の将来デザインを検討する頭脳機関との触れ込みですが、松山市のような県庁所在地でもない呉市には到底不要です。官民学の会議であれば、呉市役所7Fの会議室を活用すれば事足ります。ましてや、常時人材を置くことは無駄です。開発会社たるくれみらいも人材を派遣するとの提案ですが、これとて半永久ではありません。つまり、多くの人件費、共益費が市民の負担にのしかかるのは目に見えています。
今回の旧そごう呉店の再開発では、公共施設を導入することで、民間企業が触手を伸ばした要因を作ったとの触れ込みです。どのみち減額譲渡をして開発事業者に有利にしないと、手が挙がらないのですから、公共施設を設置してまでも、再開発に呉市が関与するというのは甚だ疑問です。
福山そごう閉店時は、福山市が25億円で有償譲渡を受け、自ら7億円で大規模改修を行い、公共施設を多々入れました。それでも大型商業施設たる福山ロッツは10年で撤退。その後に入ったリム・ふくやまも7年で撤退した経緯があるのです。つまり、公共施設在りきに走ってはならない、という教訓なのです。ましてや、福山市の人口45万人に対し、呉市は21万人で、高齢化率日本一なのです。
加えて、令和5年9月末には日本製鉄(株)が完全撤退し、三菱重工業(株)の子会社・三菱パワー(株)は、今年度末にボイラー生産から完全撤退するというのです。
更には、今後5年間における呉市の財政見通しは、新規大型事業である呉駅前再開発等における血税負担を含めずに74億円もの財源不足に陥るとしているのです。
そごう跡地に公共施設を誘致することには、強く反対を表明するものです。