街頭演説集

第317回 呉駅前再開発に9億円での無駄な公共施設配置は愚策!

2023.3.11

 去る3月6日は、317回目の街頭演説。テーマは旧そごう呉店再開発に係る民間譲渡についてです。呉市は、権利4億2,000万円で買い取り自ら所有する旧そごう呉店跡地を建物付きで、開発する特別目的会社「くれみらい」に減額譲渡する案を本定例会に提出しています。同社は地元発祥の五洋建設(株)を代表とする5者で組織した共同企業体です。

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 令和5年度に建物を同社が解体し、6年度に実施設計、建設着手、7年度建設、同年後半、若しくは8年度から供用開始となります。

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 底地を駅前東側のBゾーン、西側のCゾーンに分け、前者は減額譲渡、後者は建物解体を条件に無償譲渡します。そして、Bゾーンには商業・業務用施設が1万㎡、内2千㎡を呉市所有、それに国土交通省の交通ターミナル部分が入る複合施設となります。Cゾーンは、23階建て120戸の分譲マンションと、計画を提案時より拡張しました。
 土地の面積は、Bゾーンは3,600㎡、複合建物建設を含めた評価額は15億8千万円、Cゾーンは2,000㎡、7億6千万円です。

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 このCゾーン譲渡に当たって、建物の解体費9億4千万円を控除すると評価がマイナスとなるので、無償譲渡との説明でした。ところが建物解体費9億4千万円を面積案分すれば、3億4千万円であり、控除すれば4億2千万円となります。つまり無償譲渡には、説明不足との感はいなめません。
 さて、Bゾーンにおいては、28.5%を国が所有、10%部分2,000㎡を呉市が所有、残り61.5%を民間所有となりますので、民間所有区分評価は、9億7千万円となります。それを5億900万円に減額して譲渡しようというのです。因みに呉市は建物新築後、公共施設分を8億8千万円を負担し、所有することになるといいます。

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 問題は、公共施設2,000㎡の使途です。先ず、現在レクレビルにある440㎡のすこやか子育て支援センター「くれくれば」をそこに移転する計画です。予想としては1,800㎡と大幅に機能を拡充するということです。即ち、これまで母親と2歳未満児を対象としていましたが、これを未就学児に拡大し、且つ託児機能、絵本広場、室内遊具、中高生の居場所をも確保しようとしていることが、この度の質疑で判明しました。
 斜陽化し、若者人口減で悩む呉市が、このような大なたを振るう必然性は全くありません。当然人件費の大半を、これまでの運営主体であるすこやか呉子育て協会に頼らず、呉市が負担するようになるでしょう。
 しかも呉駅周辺には、

  1. 国際交流広場が入っていたビューポートくれ2F
  2. チャレンジ・コアが入っていた呉駅西共同ビル
  3. 広島電鉄が入っている呉駅西中央ビルの上階
  4. すこやかセンター1階多目的広場

と、空きや稼働率の低いスペースが多々あるのです。平成27年度末に策定された、呉市公共施設等総合管理計画では、ハコ物公共施設の総延べ床面積を30年間で3割縮減すると謳っており、大いに矛盾しているのです。
 もう一つは、200㎡程度をアーバンデザインセンターを設置するというものです。これは官民学が一体となり、呉市の将来デザインを検討する頭脳機関との触れ込みですが、松山市のような県庁所在地でもない呉市には到底不要です。官民学の会議であれば、呉市役所7Fの会議室を活用すれば事足ります。ましてや、常時人材を置くことは無駄です。開発会社たるくれみらいも人材を派遣するとの提案ですが、これとて半永久ではありません。つまり、多くの人件費、共益費が市民の負担にのしかかるのは目に見えています。

 今回の旧そごう呉店の再開発では、公共施設を導入することで、民間企業が触手を伸ばした要因を作ったとの触れ込みです。どのみち減額譲渡をして開発事業者に有利にしないと、手が挙がらないのですから、公共施設を設置してまでも、再開発に呉市が関与するというのは甚だ疑問です。
 福山そごう閉店時は、福山市が25億円で有償譲渡を受け、自ら7億円で大規模改修を行い、公共施設を多々入れました。それでも大型商業施設たる福山ロッツは10年で撤退。その後に入ったリム・ふくやまも7年で撤退した経緯があるのです。つまり、公共施設在りきに走ってはならない、という教訓なのです。ましてや、福山市の人口45万人に対し、呉市は21万人で、高齢化率日本一なのです。
 加えて、令和5年9月末には日本製鉄(株)が完全撤退し、三菱重工業(株)の子会社・三菱パワー(株)は、今年度末にボイラー生産から完全撤退するというのです。
 更には、今後5年間における呉市の財政見通しは、新規大型事業である呉駅前再開発等における血税負担を含めずに74億円もの財源不足に陥るとしているのです。
 そごう跡地に公共施設を誘致することには、強く反対を表明するものです。

第317回街頭演説 旧そごう呉店の再開発に公共施設は不要!(2023.3.6)

第317回街頭演説 旧そごう呉店の再開発に公共施設は不要! 2023.3.6
2023.3.6における呉駅前街頭演説です。 呉駅前再開発のメインは、旧そごう呉店の建て替えです。商業施設やマンション、国による交通ターミナルが入ります。 そこに、約9億円もかけて2千㎡分の権利床を呉市が取得するのは、大問題です。既存の公共施設の余剰スペースを活用すべきです。
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