街頭演説集

第106回 公金コンビニ収納の導入

公金コンビニ収納の導入は費用対効果が希薄!!

Facebook 2017.8.30

 一昨日は、106回目の街頭演説。テーマは公金コンビニ収納の導入についてです。
 呉市は、去る8月21日の呉市議会総務委員会で、公金コンビニ収納の導入を発表しました。これは市役所が時間外や休日であっても、いつでもどこでも公金を、24時間、全国13チェーンのコンビニエンスストア約6万店舗から納付できるというものです。
 先ず第1弾として、今年10月から、普通徴収における市県民税、固定資産税・都市計画税、軽自動車税をスタートさせ、来年4月からは、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、市営住宅使用料を追加。そして来年10月から保育料を追加して、完結とします。
 一見、市民や納税者、被保険者にとって朗報であり、便利さが格段に増すため、皆が喜びそうですが、問題は費用対効果です。本制度の導入に当たっては、当然パソコンのシステム改修、即ちイニシャルコストが必要不可欠であり、これは全システムの合計で2,860万円かかります。それに加えて、1件納付当たりの収納代行手数料が60円(消費税込)かかりますから、これら全てが稼働して年間10万6,500件が見込まれており、結果、ランニングコストが年間639万円も半永久的にかかって来るのです。
 既に今年2月にプロポーザルを実施し、委託業者が㈱電算システムに決まっています。
 問題はこれらコストに見合う、歳入増が図れるのかということです。私の質問に対し、「殆ど期待できない」旨のがっかりする様な答弁がありました。市民の利便性が格段に増すことで収納率が向上し、その分本システムに係るコストを上回る歳入があるなら、費用対効果があることになります。地方自治法第2条では、「地方公共体は、最少の経費で最大の効果を挙げねばならない」と謳っているのです。
 と申しますのも、1件当たりの収納代行手数料は、納付者負担ではなく、公金負担となりますので、とどのつまり市民の血税を充てることになり、結果、寧ろ歳入減に繋がりかねません。これでは、納税者全体の理解を得ることは難しいでしょう。
 普通徴収市税の納付方法は、対象者の38%が銀行引き落としとなっており、残り62%が窓口納付です。ということは、確実に納付される銀行引き落としを利用している市民にとっては、コンビニ収納は意味がないことになります。つまり市民誰しもが銀行引き落としにすれば、コンビニ収納は不要になるのです。その便利さを求める必要もないでしょう。
 ましてや、サラリーマンや公務員は源泉徴収されますから、そもそもが対象外です。加えて介護保険料となれば、サラリーマンは給料から天引き、高齢者は年金から天引きされていますので、コンビニ収納の必要性は極めて低いのです。
 その様な中で、先ずは口座納付を増やすことが先決なのです。
 では何故、最も便利とも言える口座納付が半数に満たないのでしょうか?それは、自動引き落としにすると、支出が一時的に嵩んだ場合、例えば電気代とか携帯電話使用料等が引き落とせなくなり、生活のライフラインが途絶えるリスクがあるからにほかなりません。 この心は、電気が止まったり携帯電話が使えなくなっては困るから、これは優先しなければならない、対して税金は滞納しても何とかなるとの甘えの構造が一部の市民にあることの裏返しです。憲法で定められた納税義務や呉市との契約よりも、私的な民間会社との契約を優先するという図式なのです。これでは本末転倒と言わざるを得ません。
 因みに口座引き落としの場合は、1件当たり10円(消費税別)ですから、その公費負担は格段の差となるのです。
 また、百歩譲ってもしシステムを導入するとしても、一部市民が上記の事情で窓口納付に拘り続けるなら、便利さという公共サービスを享受する代償として、収納手数料は自己負担とすべきでしょう。
 実は、県内では公金コンビニ収納に踏み切っていない自治体は呉市を含め2市のみと言います。そして、どの市もそれに係る収納代行手数料には血税を充てているのです。この度呉市が導入に踏み切った最大の理由は、県内他の自治体も導入しているからという単純なものでした。
 これは市長トップダウンの愚策の臭いがしてなりません。選挙目当ての耳障りのよい施策と言われても仕方がないでしょう。
 
 一方、コンビニ収納の際、マイナンバーカードは不要となります。あくまで呉市がバーコード付き納付書を郵送しますので、それをコンビニに設置する機器にかざせば読み取る仕組みとなります。ならば、今年1月からスタートしたコンビニでの住民票取得にはマイナンバーカードが必要ですから、それと同列に扱ってシステム化する必要はさらさらない訳です。
 また、コンビニ収納対象外の納付書もあります。これは納付額が30万円を超えるもので、バーコートそのものが付いておりません。或いは納付期限が過ぎているものやバーコード部分が破損しているものがそうです。このような場合は、トラブルになる可能性も秘めています。
 ということで、人口減や高齢化に伴って税収が減り財源が乏しくなる一方で、公共サービスは市民から一層の拡充を求められ、コスト増は青天井となります。これでは安定した公共福祉を継続して行くことは到底できません。心してかかるべきだと考えます。
タイトルとURLをコピーしました