街頭演説集

第347回街頭演説 国際法規より上位の憲法下でも統治行為論かざす危険性!

2023.11.20

 本日11月27日は、347回目の街頭演説。テーマは、国際条約と日本国憲法との関係についてです。

 先週の街頭演説では、WHOによるパンデミック条約と国際保健規則(IHR)改正について考察しました。その中で、来年5月のWHO年次総会において、万一パンデミック条約若しくはIHR改正案が採択された場合に、「日本国憲法が上位であるから、国家主権や人権は守られるため騒ぐことはないではないか?」との議論がくすぶっています。
 この問題は、各国の憲法によって解釈が異なるも、少なくとも日本国憲法では、国際条約より憲法が上位との説を、殆どの憲法学者が採っているようです。
 具体的には、憲法第98条では、その第1項において、憲法が最高法規であると明記され、「法律、命令、詔勅、国務行為の法規より上位」である旨が謳われています。その上で第2項では、「国際条約や国際法規は誠実に遵守することが必要」と記述されています。この項目のみを以て「国際条約が憲法より上位である」とする考えがありますが、これは間違っていると言えましょう。第1条を踏まえての第2条ですので、そもそも憲法に違反する条約締結は無効となるのです。

 では、パンデミック条約やIHRを我が国が受諾したとしても、それに基づく法改正は、違憲では不可ですので、問題ないではないかという考えが台頭しつつあり、WHOの動きに対して反応を鈍くしている傾向があるのが実情です。
 そこで、過去の国際条約と憲法判断に係る有名な事例を紹介しましょう。
 それは、1955年に起こった砂川事件です。日米安保条約に基づいて、立川市砂川町にあった米軍飛行場の拡張工事に反対した地元住民が、無断で同基地に侵入しました。国は住民を訴えましたが、1959年3月に下された伊達裁判長による東京地裁判決は、被告の住民側が無罪勝訴したのです。即ち米軍基地は、憲法第9条第2項に規定する、「交戦権や戦力不保持」に違反するとした訳です。

 ところが、国が控訴したにも関わらず、異例での高等裁を飛び越えて、いきなり最高裁への上告となりました。同年12月には、地裁への差し戻しが言い渡されたのです。その内容は、憲法第9条は自衛権を否定せず、外国の駐留軍は第9条第2項に規定する戦力不保持には当たらないとしました。同時に、高度な政治判断を有する日米安保条約においては、違憲か否かの判断は下せないという「統治行為論」を持ち出したのでした。
 改めて仕切り直しとなった東京地裁では、1961年3月、被告・住民側の逆転敗訴となりました。これに住民側が再度上告した結果、1963年12月に最高裁が第2次東京地裁による有罪判決を踏襲し、7人の住民一人当たり2千円の罰金刑を科したのでした。
 この事例を見ますと、司法が憲法判断を避けたことが重要ポイントです。しかもこの時は、日米合同委員会から最高裁長官に圧力がかかったとの説がささやかれているのです。ある意味、この日を以て「我が国の司法は死んだ」と言えるのではないでしょうか?民主主義の根幹である立法、行政、司法の三権分立が崩壊し、司法が行政を忖度する判決が下された瞬間でした。私はこれを「三権不分立」と呼んでいます。

 この教訓を基に考察しますと、パンデミック条約やIHRを我が国が受諾し、いざ医学パンデミックをWHOが発出した際、感染症法、検疫法、予防接種法、新型インフル特措法等が改正されたりして、PCR、ワクチン、マスクが義務化された場合に訴訟になっても、統治行為論を司法が振りかざして来る可能性が高いのです。これらの国際法規に係る高度な政治性を有する案件は、裁判所は判断を避けることが容易に想像できます。
 ましてや、現行憲法改正の動きが水面下で加速しつつあり、これはWHOの動きと並行しているのです。しかもメディアは衆参両院の憲法審査会の議論を殆ど報道しません。
 現状では改憲発議に必要な衆参各院の2/3の議員数は、自民、公明、維新に加え、国民民主党が改憲派に鞍替えしているのですから、既に改憲条件を満たしている訳です。憲法第96条に基づく国民投票法の再改正も、衆院の憲法審査会で議論が進められているようです。
 現行法でも、投票日の15日前まではメディアを駆使し、アイドルを用いた改憲促進のCMのやりたい放題が可能となっています。投票率がどんなに低かろうが、発議された改憲案に対し、有効投票数の過半数で、改憲が成立する危機に瀕しているのです。
 また、自民党改憲草案にある緊急事態条項が通ってしまいますと、首相が、法律に代わり、政令という名の命令を発することができ、過去の緊急事態宣言とは次元が異なって来るのです。同案第99条第3項においては、このような緊急事態にあっては、現行法の第11条~13条の基本的人権条項の最大限尊重は対象外になっています。ましてや現行憲法第97条にある、基本的人権を歴史的経緯から勝ち取ったものとする永久の権利そもののが、削除されているのですから・・・。

 WHOの狙いは、2022年5月のWHO年次総会でパンデミック条約案において、賛成国が2/3を満たさず否決されたことを教訓に、それよりも各国に拘束力のある勧告を強いるIHRを本命にしていることは明かです。それは過半数の賛成でよく、ハードルが低いのです。
 同時に我が政府は、日米合同委員会の指示の下、憲法を改正して、IHRとセットで医学パンデミックに備え、全体主義的、即ちグリーバリズムとしての持続可能なOne Healhを目指しているのです。自然共生党はそれらを阻止するべく、世論喚起に貢献して参る所存です。
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第347回街頭演説 国際法規より上位の憲法下でも統治行為論かざす危険性!(2023.11.27)

谷本誠一 第347回街頭演説 憲法判断避けた砂川訴訟で司法は死んだ! 2023.11.27
谷本誠一 第347回街頭演説 憲法判断避けた砂川訴訟で司法は死んだ! 2023.11.27 WHOによるパンデミック条約や国際保健規則が採択されても、日本国憲法が国際法規より上位に位置する...
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