街頭演説集

第10回 呉市新庁舎建設問題

呉市新庁舎建設への批判的報道で市民が洗脳された!?

Facebook 2015.10.5

 本日は10回目の呉駅頭での街頭演説。テーマは呉市における新庁舎建設問題です。
 これは一昨年11月の呉市長選挙で、その建設の是非が争点となりました。現在建設工事も終盤に入り、その全貌が現庁舎の横に並んで出現するにつけ、その大きさ、豪華さに改めて批判の声も耳に致します。
 よく言われるのは、先に建設した東広島市の市庁舎です。これは呉市新庁舎と同じ、大阪市の大建設計が設計を受託致しました。にも関わらず、東広島市新庁舎は約50億円、呉市新庁舎は139億円です。東広島市の人口は19万人で、呉市より若干少ないものの、人口は呉市と違って増加傾向を辿っており、近い将来、人口が逆転すると言われています。 ここで押さえておかねばならないのは、呉市新庁舎は庁舎部分と市民ホール、駐車場棟との合築であるから、現庁舎と比べて余計大きく見えるということです。
 次に、東広島市は新庁舎完了後は、市民ホールを別途約80億円かけて建設中だということを知っておく必要があります。ということは合わせて130億円。呉市の新庁舎と市民ホールの合築とそんなに変わりません。
 しかも、東広島市は北館が比較的新しいということで、こちらは建て替え対象とはなっておらず、建設費がその分不要であることも、マスコミが報道しませんでした。
 更に当初の基本設計段階では東広島新庁舎は70億円程度だったと記憶しております。これを市長と議会が市長選のしこりで対立し、エコ対応だった新庁舎をエコ対応抜きとした上で実施設計した経緯があるようです。
 つまり、呉市新庁舎はエコ対応で、例えば窓ガラスが三重構造となっているため、夏は冷房費を、冬は暖房費を抑制できるのです。ですからイニシャルコストは高くついても、ランニングコストを低く抑え、その元は9年間で取り戻せます。その後は永続的に、安価になるという理屈です。しかも、環境に優しく地球温暖化防止にも貢献できます。
 つまり、ハコモノというのは、建設費と維持管理費をトータル比較しなければいけないということなのです。
 一方呉市は、東広島市と違って管理港湾を抱えており、海軍の影響で保健所政令市に指定されていますから、港湾と保健所職員を余計に雇用せねばなりません。ということは、その分職員が多くなる訳です。
 新庁舎には千人強の職員と委託事務員が配置され、実際他都市の新庁舎と比べても、職員一人当たりに締める床面積は平均値を下回っているのです。
 更に、すこやかセンターくれの福祉部門、つばき会館の教育委員会、港湾部署、産業部署を新庁舎に集約致しますので、それなりのスペース確保が必要となり、行政事務の集約を図ることで、市民への便益性も向上するという訳です。
 しかも、上下水道局の一部はつばき会館に、現上下水道局には消防局が、福祉会館には社会福祉協議会と福祉関連団体、市職員厚生会、選挙管理委員会が移転入居することで、行政の再配置を断行します。その中で、現消防局、社会福祉協議会が現在入居しているすこやかセンター別館、現在福祉関係団体が入居しているふれあい会館は解体して売却することが濃厚で、新庁舎建設で必要な費用を補填するために貢献させようとしています。
 すこやかセンターくれには保健所機能を残し、福祉部門が新庁舎へ移転することにより空くスペースには、医療関係団体に有償での入居を促す方針です。これも賃料として歳入となる訳です。
 ということで、歳出ばかりが目につきますが、歳入確保にも努力をしていることを知って欲しいのです。
 そして、何より重要なのは、当初は平成27年3月末までに工事を完了することで、解体費や設計費、建設費を全て含め概算150億円かかるのを、60億円で済むということだったのです。これは合併特例債を発行することで、その元利償還の7割を国が10年間かけて交付税措置することで大きな歳入となるのです。だから時間が限られているため、急いで検討を進めたことを是非知って頂きたいと思います。
 但し、その途中で合併特例法の改正があり、その有効期間が5年間延長となりました。それを見て一部保守系の議員5名が、白紙に戻し慎重に議論することを提案された経緯があります。しかしそうすれば、これまで積み上げて来たプロジェクトが水泡に帰し、人件費や調査費、設計費が数億円無駄になる訳で、これはもう突き進むよりなかった訳です。
 しかも平成25年9月に五洋建設と契約を締結しましたが、それがぎりぎりだったのです。と申しますのも、それを過ぎて契約すると、消費税増税分を支払い額に転嫁しなければならなかったのです。それを9月までに契約すれば消費増税法の特例規定により、中間払いや完成後の清算払い時に、例え消費税が8%や10%にアップしていたとしても、元の5%で済む訳です。
 私はこのことを議会での採決前に討論して指摘致しましたが、この重要な事実をマスコミは最後まで報道することはなかったのです。
 もし1ヶ月でも契約が遅れれば、当時の法律で平成27年10月から10%に増税となる予定でしたので、そうなりますと、4億円も支払い額が大きくなるところだったのです。ということで、善は急げとなった訳です。
 白紙に戻すことで数億円、契約が1ヶ月遅れることで4億円もの市民負担が増えた可能性がありました。ましてや合併後のこの期間を逃したら、市庁舎建設には国の補助金はありませんから、60億円の実質負担で済むところを150億円も負担するようになる可能性が隣り合わせだったのです。
 そもそも、何故建て替えが必要かと申しますと、現庁舎は築後51年経過しており、耐震基準を満たしてなく、震度6程度の地震で倒壊する恐れがあるのと耐震診断が出ていたのです。大規模災害から市民を守るのは行政の責務です。だから急ぐ必要があった訳です。
 市民の皆様におかれましては、先ずは様々な情報を知って頂き、総合的見地から冷静なご判断とご理解を賜りますよう、衷心よりお願い申し上げます。
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