街頭演説集

第11回 政務活動費

国は「政務活動費」の使途統一基準を策定せよ!!

Facebook 2015.10.16

 本日は11回目の街頭演説。今週は公務出張が入ったため、遅れて金曜日での実施となりました。
 さて、この日のテーマは地方議員への第二の報酬と言われる「政務活動費」。
 この一部不正支出を広島地方裁判所が認定し、判決で議員に対し、36万円の返還命令を下しことが、昨日の新聞に記事掲載されました。それは、種清和夫広島市議会議員に係る当時の所属会派「自民党・保守クラブ」に交付した平成24年度政務調査費(当時、現在は政務活動費)が違法な公費支出に当たるとして、市民オンブズマンが起こした訴訟で、原告の主張の一部が認められた訳です。
 「政務活動費」と言えば、カラ出張を繰り返したとして、去る8月に在宅起訴された野々村竜太郎元兵庫県議の事件が記憶に生々しく、昨年、弁明の記者会見で泣きわめいた様がインターネットで全世界に流され、「号泣議員」と共に、その存在が一躍国民の関心の的となりました。
 今回の判決は、種清市議自身が代表取締役を務める会社の2棟の家賃と、それに附属する駐車場の地代分の合計年額108万円の内、36万円を違法支出として、その返還を求める内容です。建物2棟中1棟は倉庫での活用であることから、議員活動と無縁、残り1棟と駐車場は議員活動と密接に関係があるため、合法と判断したのです。
 私は、この判決は非常に甘いと考えます。と申しますのも、広島市議会の政務活動費交付条例に基づく規則をみても、議員の事務所は、議員活動の他に後援会活動という私的側面があるため、家賃は案分して1/2しか政務活動費としては支出しないとされているためです。それに従えば、事務所棟と駐車場の年額72万円の使用料の、少なくとも半分の36万円も合わせて返還すべきでしょう。
 そもそも呉市議会では、議員事務所の家賃や光熱費、職員人件費への政務活動費からの支出は一切認めていません。また通信費である携帯電話通話料やガソリン代は、みなしで1/3しか公費支出が認められていないのです。
 この1/3のみなし率というのは、議員活動には、政務活動という公的活動、陳情処理等の政治活動、後援会活動等の私的活動の3種類に分けられ、この内、政務活動のみに公的支出が認められるとの解釈で、過去の判例でも1/3が認められて来た経緯があるのです。その判例に基づけば、広島市の議員事務所への支出は、百歩譲っても1/2の公費支出ではなく、1/3に止めるべきなのです。
 一方、政務活動費は議員個人に交付されるものではなく、所属会派に交付されるものです。そして所属議員1人につき、自治体毎に交付額が異なります。
 この度判決が下された広島市議会は月額34万円。広島県議会は35万円、野々村竜太郎氏が在籍していた兵庫県議会は50万円です。因みに、全国トップは東京都議会の60万円です。これらに対し、呉市議会は5万円にしか過ぎません。しかも領収証は全て添付しています。私の主な使途は、定例会毎に一般質問をするための、先進都市視察旅費です。それでも十分足りています。
 では、政務活動費交付額の多い議会ではどのような使途が認められているのでしょうか?それは、広島市議会でも認められている議員事務所関係経費の他に、機関紙作成費とその配布経費、そして海外視察旅費があります。
 呉市では、後援会機関紙とその郵送料等配布経費は私的活動ですから勿論認められず、会派発行紙とその配布経費のみが認められています。海外視察旅費の支給は原則認めておりません。
 ところが、多くの議会、広島県議会もそうですが、議員発行として機関紙製作費と配布経費を全額認めているのです。つまり発行元を議員後援会ではなく議員本人にするだけで、内容は殆ど変わらなくとも、簡単にパスしてしまうのです。これは欺瞞のテクニックとも言えましょう。
 また広島市議会では、会派控え室で雇用する職員人件費は、政務活動費とは別途に支給されていることも見逃してはなりません。
 ということは、政務活動費の使途は各議会裁量で幅があるということなのです。これでは同じ支出であっても、不当支出になったりならなかったりすることになります。
 ところが、政務活動費は地方自治法で根拠付けられているのですから、使途が議会毎にまちまちであっては本来おかしいのであって、法を所掌する総務省が、使途の統一基準を明確に打ち出すべきなのです。違法支出が全国で多発する要因の一つに、総務省の怠慢があることは否定できません。
 私は、平成22年度に呉市監査委員を務めた際、この矛盾点を総務省官僚にぶつけて改善を要求しましたが、「各議会に任せている」との逃げの答弁に終始されました。これは、そうすることで全国の議会が反発し、惹いては与党への軋轢を心配してのことではないかと、疑心暗鬼にならざるを得ません。
 そこで、市民オンブズマンやマスコミが各自治体の情報公開条例に基づき、政務活動費に係る決算報告書を入手しておられますが、非常に重要な役割を担っていると考えています。
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