街頭演説集

第17回 呉市立学校統合と通学区域の在り方

徒歩通学のチャンスを奪う学校統合は、体力向上の教育的視点が欠落!!

Facebook 2015.11.24

 本日は、17回目の呉駅頭での街頭演説。テーマは呉市立学校統合と通学区域の在り方についてです。

 先日、呉市教育委員会の諮問機関である小中学校通学区域審議会が開催され、私も委員として出席し、辛口の意見を述べました。その議案は、去る9月の市議会定例会で小中学校設置条例改正案が議決され、3箇所において小学校統合が来年度からなされることを受けて、同校関連の通学区域見直し案が教育委員会事務局から諮問されたものです。
 議会での議決は最終決定ですから、統合成立を受けての通学区域見直しは出来レースになってしまいます。本来、先に通学区域の見直しを諮問機関で審議し、答申を教育委員会に提出、それを受けて教育委員会が条例改正案を作成した上で、議会に諮るのが筋と言えましょう。そうでないと、有識者での審議が拘束されて、選択肢が極端に狭まってしまうからです。
 さて、問題は小規模校である落走小学校を吉浦小学校に吸収統合させることです。
 当初、平成16年3月に策定された呉市立学校統合基本方針において、落走小学校は天応小学校に統合することになっていました。その時は議員全員参加の議会協議会において、承認された経緯があります。
 ところが平成18年2月に同方針改定の際、落走小学校は吉浦小学校に統合されることになり、その時に異議を唱えたのは私一人でした。
 基本方針は、小学校の場合1学年2学級以上を適正規模校と定義しています。つまり、それに満たない1学年1学級、若しくは複式学級は小規模校という訳です。小規模校では、児童の多様な個性を引き出し難く、学級間の切磋琢磨が働かないことで、統合対象に位置付けたのです。
 落走小学校と天応小学校は小規模校、吉浦小学校は適正規模校ですから、小規模校解消という本来目的に照らし合わせれば、落走小学校は天応小学校と統合するべきです。
 確かに基本方針には、「小学校同士の統合は、同じ中学校区内での統合を原則とする」とありますから、同じ吉浦中学校区内にある落走小学校と吉浦小学校を統合すべきという理屈は成り立ちはしますが、それはあくまで原則論であって、当初の基本方針策定時では、小規模校同士の統合を優先させた経緯があるのです。
 一方、落走小学校が吉浦小学校に吸収統合されれば、公共交通での通学となります。具体的には、クレアラインより山側の児童はスクールバスでクレアライン側道を通っての通学、海側の児童は路線バスで国道31号線を通って吉浦駅前で下車して学校まで歩くこととなります。
 遠距離等通学費補助制度は、町名単位で線引きをしていますので、恐らくクレアラインより海側でも同じ町名の場合、スクールバスになることも十分あり得る訳で、不公平感が吹き出し、混乱が予想されます。
 実は、落走小学校が天応小学校と統合し、天応小学校を活用校とすれば、徒歩通学となるのは必定です。呉市は遠距離等通学の場合で公共交通を利用すれば、その係る定期代を全額負担しています。しかもそれに関する内規には、「通学方法は徒歩が原則」、「体力向上の観点からは通学徒歩が望ましい。通学徒歩が可能な者にバス通学等を奨励するものではない」とまで明記されているのです。
 通学徒歩可能な統合対象校が隣接するにも関わらず、内規の趣旨を無視して、敢えてバス通学を必要とする隣接校との統合、且つ通学区域に変更は間違っています。合わせて無駄な税金支出にもなる訳です。
 呉市は去る8月、日本体育大学と健康増進とスポーツ振興を目指して、提携を締結しました。5年後の東京五輪を目指して、呉市から選手を輩出できればとの思いもありましょう。
 しかし体力向上を全く考えない通学審議会、教育委員会議、教育委員会執行部の背後には、市長の教育への甘い考え方がちらつき、甚だ浅はかだと言わざるを得ません。
 合併前の吉浦村と天応村、現在では吉浦行政区と天応行政区となっているから、その区割りでなければ、地域が子どもを育てられないというのは、あくまで大人の論理であって、子どもへの教育的視点が欠落しています。
 その結果、残念ながら天応小学校の小規模状態解消は置き去りにされてしまい、新たな課題として残されてしまったのです。今回の統合は天応小学校にとっても最後のチャンスでしたので、宿題を残さないためにも、落走小学校は天応小学校と統合すべきだったのです。これは必ずや、歴史が証明することになるでしょう。

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