街頭演説集

第37回 JR新広駅駅舎改修

JR新広駅有人化の背後に隠された市民血税投入の矛盾!

Facebook 2016.4.12

 昨日の呉駅頭街頭演説では、初めて地元代議士とかち合いました。私は、一足先に演説していた先方が終えた直後から演説を開始。テーマは呉市新年度に計上された新広駅駅舎改修についてです。
 これは昨年度予算に計上された1,100万円の設計を行わず、JR西日本の都合に合わせて今年度予算に計上し直し、改修工事をセットにした1億7,400万円を注ぎ込むものです。新広駅は平成14年に開業し、まだ13年しか経っていないにも関わらず何故、改修するのかという疑問に対し、呉市は昨年度予算計上の際、説明をしていませんでした。
 そこで、この度の予算審議で私が質したところ、無人駅を有人化するため、緑の窓口を設置し、駅員の駐在室を整備するとの答弁を引き出したのです。つまり、広市民センターの機能充実と広古新開区画整理事業が終了したことにより乗降客が増えたため、キセル防止を目的の一つとして、駅員室を整備する際、全額市民の血税を使おうとうするものです。 しかも、平成19年に電子マネーたるイコカカードを同駅で導入した際、JRはそれに対応するため、簡易自動改札機を設置しました。ところがこれは、乗り越し清算はできないばかりか、切符を通過させることができないため、この度切符対応も可能な自動改札機を9,100万円で購入・設置しますが、これも全額呉市が補助することが判明致しました。
 これらは、私が追求しない限り、全く解らないままに予算が通っていたことになります。呉市当局による、オール与党化した議会軽視の何ものでもありません。
 更に、これまで障害者団体に切符販売を委託していましたが、イコカの導入によりその手数料収入が激減しました。実は切符販売業務を元々この付近に入居していた障害者団体に委託して収益事業をさせ、駅舎内にその作業所を無償提供して来た経緯があります。簡易な切符販売は障害者で業務が可能ですが、遠方への切符販売は、障害者団体が、JRを退職された健常者を雇用して対応して来ました。
 ところが、イコカ導入による販売収益が激減したため、その人件費を平成26年度から毎年95万円程度呉市が補助して来たのです。これも全く議会に説明がなかったのです。
 因みに、この緑の窓口たる駅員駐在室が完成すると、1月初旬から有人駅のスタートとなりますが、その時点でJR・OBへの人件費補助はなくなります。併せて切符販売業務も駅員が行うこととなり、障害者団体の仕事が奪われます。
 元々本駅はJRが好んで設置したものではなく、呉市が住民要望を踏まえJRに請願して、呉市が全額を投じて駅舎を整備した経緯があります。つまり、駅舎のように見えますが、正式名称は「新広駅前社会福祉施設」であって、呉市福祉保健課の普通財産なのです。底地も呉市所有です。有人駅化した時点で、呉市交通政策課に所管替えする予定です。
 一方JRとの協議で、JRの役割分担として、ホームの拡幅と屋根設置が決まりました。これは当然とは言え、全額JRが負担致します。但し、ホームの拡幅用地は呉市温水プールの駐車場用地を提供し、JR所有地との等価交換になります。その対象土地はまだ未定ということでした。
 JRとしては、新駅設置当初は駅員配置は経費がかかるとして受け入れませんでしたが、利用客が増え、キセルも防がないとその分収益が伸びないことがあって、ようやく有人化を決断した言えましょう。それにしても、駅員室と自動改札機を市民の血税を全額活用して、自らの収益事業に充てようというのですから、虫がよ過ぎます。呉市も独占企業に対して極めて弱腰姿勢で、ホームの拡幅と屋根設置をバーター取り引きして実現させるのが精一杯の対応でした。
 しかも、駅室整備は公共事業であるにも関わらず、入札が行われません。JRに随意契約で事業委託することになっており、JRのグループ会社に言い値で請け負わせることになります。つまり、競争原理が働かないため、入札よりも高額な税金注入が必要になる訳です。
 これは、呉駅の二つの自由通路や呉ポートピア駅建設、阿賀駅建て替え、安浦駅自由通路の時もそうでしたが、いつものJRグループが儲ける手法に他なりません。これもJRの言いなりで、承伏しがたいものがあります。
 市当局はこの度の交渉決裂を恐れて、議会に敢えて行政報告をしなかったということは明白です。予算議決を得て早速去る4月1日付けで、呉市とJR西日本広島支社とが新広駅整備事業に係る協定を締結しました。もし、議会が勇気を持って本予算を修正するか否決しておれば、この交渉は決裂するか、JRが妥協することもあり得た訳です。それくらい議会は権能を発揮すべきなのです。勿論私は本予算に反対を致しました。
 私は、交渉の妥協点として、例えばこの度の予算を認める代わりに、改修後はその駅舎を、障害者団体の居室は除外した上で、呉ポートピア駅の様にJRに寄附することを提案致しました。そうしなければ、駅舎は呉市所有ですから、半永久的にその維持管理費には市民の血税を投じなければならないからです。つまり駅員室整備後は、そこに係る光熱費はさすがにJR負担となりますが、室使用料、即ち家賃は免除であることもその理由です。寄附を受けないのであれば、せいぜい使用料を徴収するべきでしょう。また、自動改札機を全額補助するのはもってのほかです。
 これらのことも一切交渉材料にしなかった、呉市の安易な姿勢が問われているのです。議会は決して市長のイエスマンになってはいけません。市長へのチェック機能を果たさなければなりません。戦後一度も市長提案を否決したことがない呉市議会ですから、これでは議会不要論が渦巻くのは当然と言えましょう。
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