街頭演説集

第39回 特別養護老人ホームの入所基準改定

特別養護老人ホーム入所基準改定の影に施設の圧力が!

Facebook 2016.4.26

 昨日は39回目の街頭演説。テーマは特別養護老人ホームの入所基準改定についてです。
 これは私が呉市議会において、平成26年6月定例会一般質問で指摘したこともあって、改善に向け大きく前進したのです。
 特別養護老人ホームの入所決定に当たっては、民民契約ですので各施設裁量となっておりますが、国が平成14年に通知を出し、その指針を示していました。即ち要介護度、家族介護者の状況を最優先し、加えて在宅福祉サービス利用が考えられるというものでした。 ところがこれに背き、広島県の入所指針には住居や地域状況があり、更に待機期間が含まれていたのです。これは厚労省の指針を明らかに逸脱するもので、広島県老人福祉施設連盟の圧力に屈したと言われても過言ではありません。
 実際、県内特養には入所統一基準がなかったため、施設毎にばらばらでした。一例を挙げますと某特養では、要介護度20点満点、介護者状況30点満点、在宅サービス利用率10点満点と、要介護度の重要性が低く設定されていました。加えて待機期間を20満点、特記事項を20点満点として、合計100点満点で、点数の高い者を優先入所させることにしています。
 つまり、要介護状況ではなくても早くから申し込んで入れば、いずれ要介護状態になった時に、待機期間が長いので有利になる訳で、介護施設対象外の高齢者が多数申し込んでいるのはこのことが要因の一つです。しかも特記事項では、施設経営者の自由裁量幅を設定したものと言われても仕方ありません。
 この結果、平成26年度新設の某特養では、要介護1が17%の入所シェアを占めたにも関わらず、要介護5という重度者は10%に止まりました。しかも、要介護5の採用率は、申し込みに対し僅か38%にしか過ぎなかったのです。更に、より重度な人が、例えば老人保健施設に入所していると、在宅サービスを受けていないことで、その分野が0点にしか評価されず、重軽度の逆転減少さえ生じており、私はこの矛盾も指摘して来ました。
 その後改正介護保険法が平成27年度から施行されたことで、入所対象者が要介護3以上に限定されたのを受け、厚労省が入所に係る新指針を発令。これを受け、広島県はようやく重い腰を上げ指針を改定し、且つ県内統一基準を策定したのです。即ち、要介護度30点満点、介護者状況30点満点、在宅サービス利用率20点満点、老健・病院利用率20点満点で、合計100点満点となります。これにより、待機期間の長さは明確に無意味となりましたし、不明朗な自由裁量枠である特記事項も消えました。加えて老健等入所も点数評価がなされることで、重軽度逆転現象もなくなります。
 ここまではよかったのですが、問題が残りました。それは、入所判定を行う入所検討委員会の委員構成です。厚労省令では、「外部委員を入れることが望ましい」とされており、これは平成14年通知と全く変わっていません。実は少なくとも呉市内の特養で検討委員会に一部外部人材を活用している所は皆無なのです。これは、公平な審査が担保できないことを意味しています。何故なら、委員は全て施設に雇用されている者ですので、経営者のドンが天の声を発すれば、委員はその意向に従わざるを得ないということになるのは明白です。これまでも軽度者が重度者の順番を飛び越えて、入所している事例が多々見受けられたのは、このことがあるからです。つまりコネを使った入所が横行して来ました。
 ところがこの度の広島県指針を見ますと、「外部委員を入れることができる」と、大幅にトーンダウンしているではありませんか!これは、またもや県老人福祉施設連盟との妥協の産物と言えます。施設にとって、コネを活用した裁量権を残しておきたいが故、と言われても反論できないでしょう。これでは相変わらず不公平、不透明な入所があり得ることになります。
 一方、呉市は今年度から中核市に昇格しましたので、社会福祉施設の指導権限に加え、監査権限も取得致しました。ですから私は、呉市独自の指針を作るべきと当局に要請しました。当局としては波風を立てたくないため、県の指針を活用するが、現場サイドでは、外部委員登用を指導して行くとのことです。
 また、入所検討委員会の審査においては、議事録を作成し、それを2年間保存した上で、行政からの要請に応じてこれを提出することになっています。これも平成14年の厚労省通知より変わっていません。ところが、呉市内18施設中、議事録さえ作成していなかった所が4施設もあったのです。つまり、経営ドンの鶴の一声で、入所者が決定していたと同義です。呉市はこれまで議事録の提出を施設に求めたことは皆無でした。これは行政と福祉施設の馴れ合いの何物でもありません。
 今後私は、外部委員登用度のチェックに加え、議事録作成の有無もチェックして参る所存です。透明且つ公正な入所、より施設介護を必要とされている方が優先入所できる当然とも言える体制を構築して行くことが、市民からの信頼を回復する重大な鍵を握っています。
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