街頭演説集

第44回 資源集団回収の改革

資源回収の既得権益を打破し、行政集団回収への転換を!

Facebook 2016.5.30

 本日5月30日は「ごみゼロの日」。44回目の街頭演説は、奇しくもそれに因んだ格好で、資源回収がテーマとなりました。
 先ず、呉市における家庭から排出される資源物の回収は、昭和54年度からの資源集団回収に始まります。これは、PTAや子ども会、自治会、老人クラブ等の団体が資源物を回収し、呉資源集団回収組合に所属する事業者にそれを買い取ってもらい、尚且つ呉市から回収量に対応した報償金を受給するシステムです。
 この組合所属事業者でないと報償金の対象とならないのがミソで、これが長い間継続して来た、組合の既得権益となっています。しかも、その買い取り価格は平成26年度まで固定化され、kg当たりで、牛乳パックは3円、アルミ缶20円、古繊維2円、生き瓶2円、ビール瓶3円となっていました。そしてここが肝心ですが、回収量が最も多い古紙が無料となっていたのです。
 更に、古紙価格が暴落した平成6年度からは、資源集団回収組合員への価格補償のため、従量制で呉市が補助金を支出。併せて固定制として組合へ、組合報償金を30万円支出して来ました。古紙相場が回復した平成20年度をもって従量制補助はなくなりましたが、組合報償金は、組合の強い意向でその後継続したのです。しかも呉市は、それを協力謝礼金との位置付けから、組合決算書の提出は敢えて求めて来ませんでした。
 ところが、組合員たる回収業者が安価に買い取り、それを卸問屋に買い取ってもらうと、10数倍の値がついていたのです。実際の古紙相場がkg当たり4円程度のところを無償で引き取る訳ですから当然のことです。
 では誰がその買い取り価格を決定したかというと、自治会等公共的関係団体で構成する呉市資源回収推進協議会でした。ところがこの要綱は存在せず、代表者も不明確のまま、平成9年度頃以降、開催されていないようで、価格もそのまま固定されたままとなっています。その中には組合代表も入っていましたので、結局は組合提示額の言い値になっていたことは想像に堅くありません。
 つまり、誰が最も得をしていたかは、火を見るよりも明らかでしょう。

 一方、資源集団回収団体に交付される団体報償金は、kg当たり1円でスタートしましたが、その後徐々に引き上げられ、平成9年度に8円となりました。これは回収業者の買取価格を低額に抑制することで、その反動として逆にアップしたものと推察されます。全国平均は4~5円ですから、高額と言えましょう。
 因みに平成25年度では、4,500万円を予算化していました。
 ところが、呉市は平成10年度から、市内全域で資源物を回収するいわゆる資源行政回収をスタートさせたのです。この委託先として、呉市衛生事業組合と呉資源集団回収組合が選ばれたのです。この委託料が年間2億2,800万円。この内呉資源集団回収組合には9千万円強が支出されています。
 つまり、既存の資源集団回収に加え、新たに資源行政回収委託費が加わり、更に呉資源集団回収組合が潤うことになります。
 即ち、この二つの資源回収が混在するようになってから、税金の二重投資が今日まで継続しているのです。
 例えば一部の自治会では、自治会内に設置した資源物ステーションには資源物を持ち込まず、その分を集団回収に回しています。この方が自治会の収益になるからに他なりません。その自治会のステーションには僅かしか資源物が出されないのです。それでも回収のための人件費やガソリン代は同じくかかりますから、丁度市営バスが空気を運んでも経費は同様かかったのと同じ現象となって、ここに税金の無駄使いが生じることになります。 従いまして、平成10年度からは、少なくとも自治会による資源集団回収は再考するべきだったのです。
 私はこれらのことを平成25年12月定例会一般質問で訴え、その結果27年度より、次の2点が改善されました。
 一つは集団回収において、別の新たな業者がグループを結成した場合、そこにも回収権を付与するというものです。回収業者の登録制度の初導入です。全国自治体を調べたところ、回収業者を組合に限定している自治体は呉市のみでしたので、ようやく改革の一歩を踏み出すことができました。
 そうなりますと、現在集団回収で回収品目の対象外となっているスチール缶、ペットボトル、廃油も回収の可能性が出て参ります。現在の組合に卸問屋も加入していますが、これら品目を取り扱っていないので、中途半端な回収になっていたことはいなめません。
 もう一つは、買い取り価格の値上げです。具体的には新聞・段ボールがkg当たり0円から2円に、雑誌が0円から1円に、アルミ缶が20円から30円となりました。
 そのことで、逆に回収団体への報償金がkg当たり8円から6円に引き下げられました。それでも買い取り価格が上がったことで、回収団体への収入にはあまり影響がないように致しました。
 
 後残された課題は、集団回収と行政回収の二重投資をどう防ぐかです。そこで私は東京都荒川区の方式を提唱しています。
 これまで自治会が行っていた集団回収は、公園等に資源物を集積するため、住民に負担が大きくかかっていました。私の住む自治会はその負担感故に、集団回収を断念せざるを得なかったのです。
 ところが荒川方式では、自治会員はこれまでと同様最寄りの資源物ステーションに出すだけで済み、負担感は変わりません。そして行政が事業者に委託するのではなく、事業者が回収した分は、事業者所有とし、それを売却した収入と回収経費との差額を行政が事業者に支払うようにするのです。即ち、行政回収を集団回収に統合・一本化することで、行政、自治会、事業者が三位一体となって、回収を行うのです。
 これにより自治会にも報償金が確実に入りますから、自治会としての協力体制もできましょうし、何よりコミュニケーションが深まる訳で、正に地域協働そのものです。
 その際、PTAや障害者団体等が実施していた個別資源集団回収は、貴重な収入源ですから廃止せず、その活動は継続してもらいます。自治会等、地域に根ざした縁故団体のみ行政資源集団回収として、明確に区別するのです。そうすることで、税金の二重投資をかなりりなくし、併せて呉市の歳出も抑制できるという訳です。

タイトルとURLをコピーしました