街頭演説集

第48回 婚活支援事業

婚活支援事業は官から民への改革路線に逆行!

Facebook 2016.7.12

 本日は48回目の街頭演説。参院選期間中は公選法上、政治活動が規制されているため、2週間空いた格好で、さしずめ復活演説となりました。
 さてテーマは、丁度昨日、呉市が募集を開始したばかりの、婚活支援事業についてです。これは、元来民間の専売特許だったものを、去る3月に、呉市として初めて行いました。その伏線として、国が地方創生予算を平成26年度末にばらまき、それを活用する形で呉市も同年度末に補正予算を130万円程度組み、27年度に全額繰り越して執行したものです。つまり、その予算全額が国からの地方創生先行型交付金で賄われました。
 とは言え、慣れない呉市が直接実施するのはさすがに荷が重く、民間事業者に委託したのでした。具体的には、婚活事業実績のある民間3者を指名し、企画提案を行ってもらい、最優秀の企画を選定して委託契約を締結致しました。
 ここで押さえておかねばならないのは、事業に公金が投じられることで、参加者の負担金は、民間の婚活事業と比べて極端に安価になります。つまり、民業圧迫になるのは、当初から目に見えていました。
 そして最も気になるのは、参加人数です。結果は、男性27名、女性30名でした。そしてその中に、男女それぞれ市外在住者が8名ずつおられたのです。最初から呉市民のみを対象限定すれば、参加人数が少なく盛り上がらないことに加え、出会いの機会がそれだけ狭まるため、呉市民の条件を最初から外しました。
 ということは、市外在住者同士がカップルになるケース、呉市の女性が市外在住者に嫁ぐケースも考えられます。そうなりますと、何のために呉市で行ったのか分からなくなります。若者の出会いをサポートし、将来的には少子高齢化に少しでも歯止めをかけ、呉市の人口増に繋げて行きたいとの意図があったはずです。
 但し、結婚は人生の大きな岐路、しかも本人同士の自由意志で行うものであって、住まいや職業など、行政が関与するところではありません。ということは、最初から行政が手を出す事業ではないのです。
 例えば以前、倉橋町のまちづくり協議会が婚活イベントを主催したことがあります。この場合、男性は島に在住する者を条件にし、女性は市内外を問わないことにしました。これはよくある構図で、田舎故に嫁の来てがない若者に対して、田舎暮らしを含めて結婚願望の強い女性を嫁に迎え入れようとする作戦です。これなら分かり易く、島の人口増に貢献し、活性化しようとする思惑が透けて見えます。
 テレビ番組でも、この種の企画が大当たりで高視聴率を上げています。この場合、旅費は全額女性負担ということが、成功の鍵を握っているのです。加えて男性の家族は仕出しを注文して手厚くもてなします。即ち、真に結婚を求めるあまり、男女共に痛みを伴っても構わない真剣な姿勢であって、だからこそカップル成立率が高いと言えるでしょう。呉市が行う事業は安価な会費となれば、真剣に臨む男女は逆に集まり難くなると言えましょう。
 そして呉市がこの種の企画、即ち男性は呉市民限定、女性は誰でも構わないという条件設定を行わないのは、理由があります。それは女性が男性の家に嫁ぐという、日本古来の風習を強調することになって、男女共同参画の趣旨から外れ、それを批判されることを恐れてのことだと推察しています。

 一方、今年度は委託事業ではなく、民間事業を募り、優秀企画を5件ほど選定し、1企画当たり30万円を助成しようという、補助事業です。予算額は150万円で、この度は国からの補助は皆無で、全額一般財源、即ち市民の血税ということになります。
 これは昨年度の手法よりまだましではありますが、そうは言っても選ばれなかった事業者やグループ、応募しなかった団体との不公平感は払拭できず、民業圧迫の構図に大きな違いはありません。
 やはり、参加男女の資格に市内外を問わないことにしています。今度は市民の税金を直接投じる訳ですから、それで誕生したカップルが市外へ住むというのは、理屈が益々合わなくなります。
 しかも、昨年度の委託事業は年度末に実施したばかりですから、新年度予算編成の段階では、昨年度の効果を見極めて判断するという考えは毛頭なかったことになります。新規事業というのは、投資効果を見極めた上で、次年度に展開するのが基本です。まだ1カップルも誕生していない段階で、第2段階をスタートするのはとても危険です。
 しかも、万一それで誕生したカップルに、近い将来問題が生じた場合、その責任問題を行政が抱え込むというリスクまで背負っている訳です。今年度は民間への助成ですから、このリスクがかなり減じることになったのは、まだ幸いでしょう。
 いずれに致しましても、官から民への構造改革が今日まで進みましたが、これでは民から官へと逆行する矛盾を孕んでいることに気付くべきです。婚活に対し、行政が血税を投じてまでも手を出すのは大いに疑問を感じざるを得ません。私はこれまで通り、民間のご努力に任せておくのが自然だと考えています。

タイトルとURLをコピーしました