街頭演説集

第49回 環境美化の総合的推進策

市民生活に直結!環境美化の総合的推進策を提唱!

Facebook 2016.7.20

 昨日は49回目の街頭演説。定期演説をスタートしてから、ついに丸一年が経過しました。正に「継続は力なり」です。
 さて、この日のテーマは環境美化の推進についてです。
 よく住民から、空き地の雑草繁茂や樹木が越境して困っている話を窺います。空き地は私有財産ですので、行政として手が出し難く、規制する法律もないため、これまで野放し状態が続いていました。
 これとよく似たのが空き家対策です。これも私有財産ですから、崩落の危険性があっても、行政がこれまで手を出せませんでした。
 そこで呉市は初の議員政策条例としての「空き家適正管理条例」を平成26年1月から施行しました。これは、先ず所有者に適正管理の努力義務を課し、市民の通報を受けて行政が調査し、空き家が危険だと認定した場合、指導・助言を行えるようにしたものです。それに従わない場合は勧告、それでも従わない場合は命令を行い、それにも従わない場合は、所有者の氏名を公表したり、所有敷地に警告看板を行政が設置できるというものです。
 ところが、その後同年11月に、空家対策推進特別措置法が制定されました。これにより、明確な法的根拠が与えられたことになります。この法律と既存の呉市条例との違いは、「危険空家等」を行政が認定することに加え、命令に従わない場合、罰金刑を課したことです。特措法制定を受け、呉市は「空家適切管理条例」に名称を改め、併せて法律に明記されていない緊急措置条項を加えることで条例改正を行いました。
 私は、これと同じ施策を空き地にも適用すべく、条例化を去る6月定例議会で提唱致しました。即ち、空き地所有者に対して、それを適切に管理する努力義務を課した上で、最終段階の命令に従わない場合は罰金刑を課すというものです。
 次に、空き家でも空き地でもなく、人が住んでいて、著しく近隣の環境を不衛生にしているごみ屋敷問題があります。これは空家特措法や空家適切管理条例でも対応ができません。勿論空き地条例を制定しても、同様です。これまで本市でも、この問題で近隣住民を悩ませて来た地区もあります。ごみに引火し火事まで起きた所もあるのです。
 一般論ですが、住宅敷地内に散乱したごみを「有価物」であると主張されると、廃棄物清掃法では全く対応ができません。そこで、空家特措法や空家条例と同様の内容で、ごみ屋敷条例を制定するのです。空き家条例、空き地条例の他に、ごみ屋敷条例を制定した自治体も増えています。
 
 ところで、廃棄物清掃法を補う自治体条例には、ポイ捨て防止条例や環境美化条例があります。呉市も平成7年度からポイ捨て防止条例を施行しました。これは重点区域を指定し、そこには重点的に行政が施策を講じます。加えて、同区域に限っては罰金刑が課せられます。そして内容は、重点区域に限らず全市域におけるたばこのポイ捨て禁止、落書き禁止、飲料等の自動販売機設置事業者に対し、容器回収ボックスを販売機付近に設置する義務を課したものです。
 しかし、この呉市条例は一度も改正を行ってなく、定番の3項目の内容に止まっています。そこで私は、歩きたばこ、即ち歩行等喫煙の禁止、飼い犬等の糞放置防止、更には鳩を初めとする鳥類や野良猫等への餌やり禁止も盛り込むべきと、先の6月定例会一般質問で訴えました。
 歩行者等の喫煙禁止は、全国的にみても、健康増進法制定後徐々に増えつつあります。ましてや飼い犬等の糞放置防止条項は、当初からポイ捨て防止条例に盛り込んでいる自治体もあるのです。現在でも中央公園等には糞の放置防止に係る啓発看板を設置していますが、これではそれ移行の指導・助言、勧告、命令、罰則がないため、抑止効果に全く繋がりません。
 そして、極めつけは鳥類や野良猫等への餌やり禁止条例の制定です。広島市では平和公園において、鳩等への餌やりを禁止する看板を設置しているようですが、条例根拠はありません。れんがどおりでも、最近呉中通商店街振興組合が、糞の放置防止と併せた餌やり禁止啓発ポスターを掲示し、商店街放送でも啓発しておられまが、条例根拠がないため、行政が踏み込んで指導することができません。
 ところが近年では、荒川区がこの種の条例を制定しました。但し、地域住民が管理する地域猫への餌やりは例外としています。和歌山県や神戸市がそれに続きました。
 呉市では特に飲食店を要する商店街での野良猫への餌やり故に、その悪臭等でご商売に悪影響を及ぼしています。近隣トラブルにも発展しかねません。実際、昨年は福岡県で訴訟があり、餌をやり続けた被告に対し、原告たる近隣住民への55万円の損害賠償命令が地裁ではありますが、判決が下されました。
 ここで、野良猫への餌やりは動物愛護とは別物だということです。野良猫が可哀想だからと餌をやり続け、近隣住民への迷惑はそっちのけという無責任な対応が問題なのです。動物愛護者であれは、終生飼養の責務が動物愛護管理法で位置付けられているのですから、あくまで自身で飼い、いたずらな繁殖を防ぐ努力をせねばなりません。
 札幌市では動物愛護管理条例を制定し、餌やり禁止規定を盛り込んでいますが、私としては、餌やりは飼い主がいない野良猫に対してですので、環境条例で対応する方がよいのではないかと考えています。逆に飼い犬等の散歩における糞の放置防止措置を飼い主責務として位置付け、これこそ札幌市の様に動物愛護管理条例に盛り込むべきと考えます。
 そこで整理致しますと、ポイ捨て防止条例を環境美化推進条例に格上げ改正し、それに歩行喫煙禁止と餌やり禁止規定を盛り込むのです。加えて空き地対策やごみ屋敷対策をも盛り込み、環境美化総合推進条例を制定するのです。
 私の一般質問によるこれら提案に対し、当局は、「他都市の状況を踏まえつつ、調査・研究を進めていく」という、極めて後ろ向きな答弁に終始しました。市長がそこまでに思い至っていないということです。しかし、これは市民生活に密着した、以前から要望が出ていた案件でもあります。市民に寄り添ったソフト施策の展開を、私は今後も訴えて参る所存です。
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