街頭演説集

第58回 政務活動費不正受給

政務活動費不正受給オンパレードは、議員の資質が問われている!

Facebook 2016.9.24

 昨日は58回目の街頭演説。この日は、全国を震撼せしめている地方議員の政務活動費を題材に採り上げました。
富山市議会では、政務活動費の不正受給が次々と発覚し、ついに「議長おまえもか!」となったのが、去る9月20日の、同氏による不正を認めた上での謝罪記者会見でした。翌21日には富山市議会本会議で6人の議員の辞職願が可決され、これで自民系7名、民進系2名の合計9名が同一案件で一挙に辞職したことになります。しかも富山県議会は、同様案件で1名が既に辞職、1名が辞職願を提出しています。
 因みに富山市議会において、自民系会派は1,300万円余り、民進系会派は1,180万を不正請求したことが判っています。
 政務活動費は公金であると共に、市民の血税が財源であり、政治資金を私的流用した舛添前都知事の比ではありません。一昨年カラ出張容疑で逮捕され、去る7月有罪判決が確定した野々村竜太郎当時兵庫県議会議員と同様、詐欺罪や虚偽有印公文書作成・同行使罪の可能性が極めて高い訳です。
 加えて議員の第2の報酬と言われ、その使途が見え難いということもあって、これまで闇の中でしたが、野々村事件で一躍脚光を浴び、この度の事件へと発展したのです。
 さて、富山市議会での事のきっかけは、去る6月定例会で富山市議会議員自らの報酬を月額60万円から10万円も増額する条例案が可決され、多くの市民の怒りに触れたことでした。
 富山市議会の一部議員や会派の主な手口は、領収証に金額を一桁多く付け加えたり、白紙領収証に書き込んだりすることで水増し請求し、それを個人の遊興費や選挙運動に使って私的流用したことです。この悪質な手法が長年に引き継がれて来たのです。これは全国的にも氷山の一角と推察され、今後も各地に広がり、続出することが容易に予想されます。
 そもそも政務活動費は議会によって、報酬同様その額は異なります。各議会のホームページを開いても、その額について明確に記載している所は少ないのです。因みに我が呉市議会は、「議員一人当たり月額5万円」と明確に記載しています。併せて会派毎の使途を昨年度から公開しています。この度問題となった富山市議会は15万円、富山県議会は30万円です。広島市議会と広島県議会は35万円となっています。野々村竜太郎氏が所属していた兵庫県議会は50万円、全国一高額となっている東京都議会は60万円です。
 では、月額30万円以上を何に使うというのでしょう。例えば広島市議会では、議員個人事務所の家賃や光熱費、通信費、事務所費、秘書人件費において、その1/2が請求できます。つまり議員活動は、政務調査活動を含んでいると位置付けているからでしょう。 それに対し、呉市議会では事務所関連経費は一切認められません。議員個人事務所は私的活動と捉えるからです。裁判の過去の判例でも、議員は議会及び政務調査活動という公的活動、議員の個人政治活動、後援会や家族行動等の私的活動の3種類に区分できるとしています。それを受けて呉市議会では、携帯電話通信料と自家用車のガソリン代は、裁判判例を踏襲して、その1/3を政務活動費として請求できることとしています。
 また呉市議会では、議員発行機関紙に係る経費は一切認めていません。これも議員活動は個人の宣伝であるから、後援会機関紙と同じ位置付けとしているためです。ところが広島県議会や広島市議会を初めとして、多くの議会は議員発行機関紙の製作費や郵送費、ポスティング費用の全額を政務活動費からの支出を認めています。
 更に、呉市議会は海外視察旅費の政務活動費からの支出を原則認めていませんが、他の地方議会によっては認めている所があり任期期間中に何度か海外訪問することがあるようです。広島県議会は任期中に1回の海外視察を認めており、新聞で報道されました。
 この様に見てみますと、政務活動費で多額の支出の要因となるものは、事務所関連経費、機関紙関連経費、視察旅費の3つであることが分かります。この中で、呉市議会は国内への行政視察しか認めていませんから、月額5万円で事足りる訳です。月額10万円以上の支出を認めると、どうしても使途基準が緩んでしまい、その結果、不正請求の温床になり易いのです。
 つまり、同じ地方議会なのに使途基準がまちまちであり、大きな矛盾が内在している現状があるです。その根拠法は地方自治法なのですから、少なくとも総務省が統一した使途基準を作る責務があると言えましょう。これを同省が怠って来たのには理由があると睨んでいます。地方議会の使途基準を明確化すれば、それはそっくり国家議員への同様の公的活動費支出に影響が出て来ます。それを官僚が恐れていると言われても仕方ないでしょう。
 一方、富山市議会問題を受けて、全国で一斉にマスコミや個人が、政務活動費の情報公開を請求を行うようになりました。
 ところが、どの新聞社が何を公開請求したかを、議会事務局が議会に報告している慣例が明らかになったのです。諏訪市、茅野市、明石市、和歌山市、金沢市等です。議員にその情報を漏らすことは、各市の個人情報保護条例に抵触する恐れがあるのではないか、或いは、そうすることで請求行動そのものが萎縮してしまいかねないというのです。
 指摘された各議会事務局は、「法的に問題ないと思うが、今後はそれをしないようにする」と弁明しています。
 ただこの問題はよくよく考察する必要がありそうです。
 例えば、呉市では公文書への情報公開請求があれば、その所管課に請求書が回ります。所管課では課長が決済して、一部の個人情報を黒塗りにして請求者に公文書を公開することになります。課長決裁と言えどもそれはあくまで専決処分であって、市長が最終責任を負うことになります。
 ところが、議会事務局へ請求が来た場合はどうでしょう。やはり課長決裁となりますが、最終責任は議会事務局長でもなく、市長でもなく、議長となるのです。議長が議会を代表し、議員の合意をもって判断することになっていますので、議会事務局への請求があった場合、各議員は知らなかったということになりますと、これも問題があるのではないかと思うのです。
 請求者情報を議員に教えたということですが、市長部局であれば、市職員が課長に請求者を教えないかというと、それでは組織は成り立ちません。その立場上知り得た請求者の個人情報を他の課に教えると、さすがに情報漏洩となりましょうが、そうではないのです。これを議会に置き換えますと、議会がそれを知り得た場合、市民に漏らすこともあり得ます。何故なら、議員は市民の代表でもあるからです。ですから、情報提供は議長に止めておくべきだったかも知れません。
 また、請求者がマスコミの様な公共性のある機関だと仮定した場合、その新聞社名等を議員に教えることが情報漏洩になるかという問題もあります。呉市個人情報保護条例によりと、漏らしてはならないのは個人情報となっており、それはあくまでも機関ではなく個人と位置付けているからです。ましてやマスコミは公的性格が強い団体です。
 呉市議会事務局は、これまで政務活動費の公開請求があった場合は、どの新聞社からかを議員に伝達して来ました。この度初めて個人からの請求がありましたが、その事実は伝達しても、さすがに個人名等は明かしておりません。これは恐らく全国多くの議会で同様の扱いだったと推察され、現在報道されている論調が正しいのか、今後よくよく精査する必要がありそうです。
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