街頭演説集

第67回 家庭ごみ収集業務の課題

家庭ごみ収集業務における闇の既得権益にメスを!

Facebook 2016.11.23

 一昨日は、67回目の街頭演説。テーマは家庭ごみ収集業務の課題についてです。
 呉市は、長年家庭ごみ収集業務を市職員で行って来ました。即ち直営方式を採用していた訳です。
 ところが、平成11年度より退職者不補充施策を実行に移し、定年退職で穴が空いた部分を平成25年度より順次民間委託に移行しております。即ち、同年度から27年度までの3年間は、可燃ごみ全体収集量の15%を民間委託し、今年度から3年間は新たに15%を民間委託することにしたのです。
 では、何故民営化かというと、給与の官民格差が大きいからです。実は地方公務員は、行政職俸給表に基づき、年功序列的に給与が高額となる仕組みですが、その俸給表には一般職と現業職の2種類があり、後者の行政職俸給表2(行2という)の方が労働単価が安く設計されているのです。以前呉市交通局の運転士や車両整備士は現業職でありながら、一般職と同様の行政職俸給表1(行1という)を採用して来ました。これを民営化の具体案が示されたことで危機感を感じた労働組合が、民営化直前に行2に減給することをようやく呑んだ経緯があります。
 ところが、現在の収集業務職員を初めとする現業職員は行1を使ったままなのです。
 次に、定年退職後の再任用を、収集業務職員は5年間の更新を認めています。これに対して旧交通局職員は、定年後は即嘱託採用でした。
 嘱託と再任用はどちらも月間勤務日数や時間は同程度ですが、前者は非正規職員ですので、通勤手当を初めとする手当と賞与が出ないのに対し、後者は正規職員となりますので、手当と賞与が出る訳です。つまり人件費は格段に差がある訳です。
 交通局は企業会計で、赤字続きで火の車だったことで、定年後は有無を言わせず嘱託採用。ところが収集業務は一般会計なので、黒字や赤字の概念そのものがありません。これは労使間の妥協の産物であり、労働者にとっては、長年で勝ち取った既得権益でもあったのです。
 私が再任用の意義を問うと当局は、「特殊技能を有しているので再任用採用している」との答弁が帰って来ます。収集業務は第1種運転免許さえあれば従事できるし、補助席乗務員はそれさえ必要ありません。それに対して交通局運転士は、人の命を預かる訳ですから、第2種運転免許が必要不可欠です。どちらが特殊技能でしょうか?より特殊な技能を有している運転士や車両整備士が再任用がなくて、嘱託採用のなのです。この矛盾に対して当局は未だかつて明快な答弁はできておりません。
 しかも、高齢者雇用安定法によって、定年と厚生年金の支給時までの収入の空白期を埋めるために、呉市も民間に習い、平成27年度から年金支給が開始されるまでの1年間、初めて一般職に対して再任用を認めました。但しそれでも、年金支給が開始される2年目からは嘱託です。それに対して、現教職員はかなり以前から5年間の再任用枠があるのです。これは、家庭ごみ収集業務の民間委託化を遅らせていると言っても過言ではありません。
 更に、すこやかサポート事業と言って、要介護3以上の高齢者家族において、職員が直接訪問して家庭ごみを収集する制度を構築しました。実際は坂道がきついとか個別の事由で要介護1や2の人も対象になっているのが実態で、なし崩し的になっています。市民において利用料がゼロですから、この様なことになる訳です。これも民間委託化を遅らせている要因の一つです。私はこれを介護保険の訪問介護に含めるよう提案しています。
 
 一方、ごみの収集コースは、朝出発して午後1時から3時の間には事務所に帰って来れるよう設定されています。その後の勤務時間は入浴に充てている訳で、空いた口が塞がりません。実際、虹村の収集業務の拠点庁舎には、風呂が設置されているのです。これが民間委託すれば、きっちり5時近くまで時間一杯収集しますし、風呂は帰宅してプライベートな時間で入るというのは世間の常識でしょう。
 加えて、汚い物に手を染めるとの理由から、清掃手当が、給与とは別途一日1,550円支払われていました。国はこの様な手当は不適切として、廃止する様促す通達を出しています。私は他都市同様、これを廃止するよう訴えて来ました。
 その結果、平成26年度は激変緩和措置として千円に、27年度からは650円となりました。この650円の根拠は、当時の特例市で、手当を支給している自治体の平均が645円だったことによります。私は、支給ゼロの自治体が平均値を求める計算の際除外されているのは詭弁である、と追求しました。引き出した答弁は、特例市40市の全体平均は339円だったのです。このことは議会に一切説明しなかった訳で、私の議案質疑で明らかになりました。
 この様な特殊勤務手当は、民間事業者には当然ありませんので、実質的な収集勤務時間と併せ、ここでも格差が顕著な訳です。
 民間委託を加速化することで、呉市の歳出抑制に繋がると同時に、民間事業の活性化にも貢献する、これが民でできることは民に任せる、いわゆる間から民への構造改革なのです。
 呉市は私の主張を受けて、去る平成24年6月に「呉市アウトソーシング推進計画」を策定し、これを進めて来ました。しかし私は、特に家庭ごみ収集業務において、既得権益の厚い壁に阻まれ、抵抗勢力によって進捗を遅らされているとみています。今後もこの問題に、より一層取り組んで参る所存です。
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