街頭演説集

第68回 保育士退職者不補充と保育料公平化

保育士の退職者不補充継続と、保育料の公平化を!

Facebook 2016.11.30

 一昨日は68回目の街頭演説。この日からコート着用となりました。思えば今月最初にクールビズを解いたばかりでしたので、僅か1ヶ月でノーネクタイからコートに変身と、めまぐるしい気候の変動です。
 さて、この日のテーマは公立保育所・幼稚園の再配置計画についてです。
 呉市はこれまで呉市保育所の統合・民営化基本計画に基づき、郷原保育所を筆頭に、吉浦、坪内、天応、川原石、原、延崎と順次民間移譲して来ました。併せて音戸町や倉橋町を初めとする合併町では、統合新設を進めて来ました。そこで本年度から平成32年度までの5ヶ年で、新たに呉市公立保育所・幼稚園再配置計画を策定したのです。
 その概要の第一は、現在14施設ある公立保育所の内、今後5年間で中新開、波多見、安浦中央の3保育所を民間譲渡致します。
 第二として、公立の使命を担う拠点保育所として、西部地区に1箇所、即ち中央乳児保育所と山の手保育所を位置付け、東部地区に1箇所、三阪地保育所を位置付けます。但し、中央乳児と山の手の統合時期は、この5年間に明記されていません。この2箇所はいずれも市営住宅の一角にあり、住宅全体が耐震基準を満たしていないため、別の場所に統合新築する可能性も残されています。
 ここでいう公立の使命とは、良質な保育の研究開発、私立保育所との連携の中枢的役割、障害児保育を初めとした特別保育の実施強化の3点を挙げています。
 そしてこれまでは、民営化に伴う官民格差是正により、1施設で年間1,500万~2千万円の削減効果を計画に明記して、民営化の利点を強調していました。それが今年度からの新計画では、その文言が完全に削除されました。民営化を積極的に推進しない意図が透けて見えます。
 何故なら所管の民生委員会での質疑で、公立保育所の保育士は、平成9年度からの退職者不補充施策により自然退職が続き、5年後の平成32年度には53名に減ることが判明。その結果3保育所をそれまでに民営化しても、95名の必要人数に対して42名が不足するとの答弁を引き出したからです。つまり、公務員保育士が5年後は不足するから、来年度から少しずつ、それを穴埋めするため、29才までの若い保育士を採用するというのです。これは、計画には一言も記述されていません。
 ところで退職者不補充は、一般職である保育士のほかに、学校・保育所給食調理員、過去の交通局職員、家庭ごみ収集業務職員と現業職において継続して来ました。それを踏まえて、平成24年度に呉市アウトソーシング推進計画を策定した経緯があります。つまり、来年度からの保育士採用復活は、この流れと完全に逆行することになります。
 私は、保育士が5年後に不足するのは、3施設しか民営化しないからだと主張しました。3施設は比較的定員が多いので、民間が受け入れ易いとの説明はありましたが、それ以外にも定員が60名規模の公立保育所は複数あるのです。併せて、現在の公務員保育士は最低年齢が40代であるので、低年齢化を図ることも視野に入れているとの答弁です。これに対しては、民営化すれば、若い保育士を法人が採用しますので、全く問題ないと考えています。
 実は、保育所経営者のお話を直接お聴きする機会が最近ありました。その際、民間の保育所において、呉市全体で毎年50人程の保育士が不足している実情を訴えられたのです。公務員保育士の方が給与が高いので、呉市が来年度採用すれば、益々民間には保育士が不足することになり、民業圧迫になる問題点を浮かび上がったのです。
 確かに保育士は、労働基準法によって昼食休憩時間が設定されてはいますが、乳幼児を責任を持って預かる訳ですから、通常のサラリーマンや公務員と違って、休みがあってないような実態があります。給与体系が今後向上しないと、子育て共働き世帯は増加するのは目に見えていますので、益々不足することになります。
 一方、この度の計画には初めて公立幼稚園が対象に上りました。これは国が認定こども園の普及を推進しており、保育と教育を同時に行う方針だからです。
 呉市における公立幼稚園は、ゆたか幼稚園と豊島幼稚園の2箇所のみでした。この度の計画により、早速今年度当初から豊島幼稚園を休園し、同町における児童はゆたか幼稚園で預かることにしたのです。
 ところで、ゆたか幼稚園に隣接してゆたか保育所があります。これは国が示す最低基準である20名の児童数を満たさないため、児童福祉法の特例を使って、広島県が僻地保育所として代わりに補助する制度がありますが、それにも該当しておりません。それは自園調理室が設置されていないからです。にも関わらず、隣接するゆたか幼稚園には調理室があるというから驚きです。しかも、保育所で2才までを過ごしたら、殆どが3才から隣接の幼稚園に上がるのです。そこで預かり保育を受ければ、保育所保育料より安価に済ませることができます。
 更に保育所の保育料は、世帯収入に関係なく、月額一律9,500円しかかからないのです。保育料は収入に応じて細かく分かれるの仕組みなっていますが、そうなっていないのです。
 実は、合併前に僻地保育所は安浦町の女子畑保育所とゆたか保育所の2箇所ありました。ゆたか保育所の保育料は収入に応じて差を設けており、それでも月額4万円を限度にしていたのです。それに対して女子畑保育所は、収入に関係なく一律月額9,500円でした。そこで合併する際、呉市の制度に合わせることが困難だったことで、より保育料の安価な安浦町の制度に合わせたのです。
 その後平成23年度末をもって女子畑保育所が廃止され、ゆたか保育所だけが、他の保育所と異なり、異常に安価な保育料が現在まで続いているのです。
 要するにゆたか保育所は、国や県双方の認可外保育施設であって、国や県の補助対象から外れていました。勿論その穴埋めは市税です。ところが、昨年度から施行された子ども・子育て支援制度により、20名未満であっても、地域型保育所の小規模保育所として、認可が可能となりました。認可されれば、国の補助対象となります。
 そこで私は、ゆたか幼稚園を廃止してゆたか保育所に統合すればよいと考えています。そうすれば幼稚園部分の調理室を活用することで、国の小規模保育所としての基準を満たすことができます。実際二つの施設は、同じ屋根の下で繋がっているのですから、統合は容易な訳です。
 保育に欠けない保護者に対しては、僻地での特例で、保育所でも3才から受け入れが可能なのです。勿論その際、他の保育施設と同様の保育料体系にするのです。当然地元保護者の反発が予想されますので、激変緩和措置として、例えば3年間で段階的に公平な保育料に近づけるのです。
 行政は公平でなければなりません。にも関わらず、合併による制度の違いから、この様な不公平が今日まで続いて来た訳で、呉市は大いに反省すべきでしょう。
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