街頭演説集

第74回 生活保護費の問題点

生活保護費二重払い防止制度の導入を!

Facebook 2017.1.11

 昨日は、新年2回目の街頭演説。通算74回を数えます。この日は、2度目となる国会議員との遭遇。先方が若干早く演説をスタートされたことで、こちらはそれを終えた後のスタートとなりました。出番まで時間がありましたので、その間は初めて手振りを実行しました。
 さて、テーマは国政にも大いに関わる生活保護についてです。
 
 生活保護は、憲法25条の生存権の保障が根拠となっており、国民として最低限の生活が保障されます。よく最後のセーフティネットと言われる所以です。
 平成24年に、売れっ子お笑いコンビ「次長課長」の一人・河本準一の実母が生活保護を受給していたことが判明。国会でも採り上げられる大問題となったのは、記憶に新しいかと存じます。このことにより、生活保護申請がされますと、その直系血族や兄弟姉妹に対し扶養の意思確認の際、扶養が困難な理由を厳格に精査することになったようです。
 この最後のセーフティネットと言えば聞こえはいいですが、老後生活の安定を目的に昭和36年に国民皆年金制度がスタート致しました。ところが少子高齢化や平均寿命の延伸から、財源が不足がちとなり、そのため保険料の増額や支給額の減額がなされて来た経緯があります。その結果、国民年金支給額と生活扶助費支給額が逆転したのです。
 具体的には呉市の場合、一人暮らしの高齢者の1ヶ月の生活扶助費は約7万2千円です。これに対し、自営業で40年間満額国民年金保険料を納付した高齢者の1ヶ月の年金額は約6万5千円となり、生活扶助より約7千円も少ないのです。しかも介護保険料は年金から天引きされ、医療費においては、国民健康保険か後期高齢者医療保険に加入した上で1割負担しなければなりません。それに対して生活保護受給者は医療費が無料です。加えて持ち家のない生活保護受給者は、家賃分が3万5千円を限度として毎月住宅扶助費が別途支給されるのです。
 これでは、あくせく働いてまじめに年金保険料を納付した国民が馬鹿をみるような格好となり、そもそも年金保険料を納めること自体が、損をする結果となっているのです。これは制度の破綻を意味しています。
 しかも、昔と違って国民の生活水準が格段に向上したことで、以前は不可だった、室内へのクーラー設置や携帯電話所有も生活保護者には認められているのです。さすがに自家用車の所有は許されませんが、これとて、公共交通機関がない所に住んで、通院に自家用車が必要な場合に限って例外的に許されています。悪質な例としては、親族名義で車両を購入し、生活保護を受けながら乗り回している実態もあるようです。
 或いは私の体験上、過去偽装離婚して生活保護費を受給していたケースを知っており、当該受給者の知人の市民が直訴して来たことがあります。母子家庭となっているようですが、実際は元夫が毎晩泊まりに帰って来て、同棲していたのです。これらは詐欺行為になりますが、呉市はこれを敢えて刑事告訴せずに今日まで来ました。やはり行政として強い態度で臨むべきと思います。
 また、医師の診断書を盾に働ける身体ではないと行政に訴えつつ、その実陰でアルバイトをして小遣い稼ぎをしていたという事例も枚挙にいとまがありません。月額1万円以内の稼ぎならそれも行政への申告さえすれば許されますが、かなり稼いでいるにも関わらず、その申告を行政にしていなかったのです。その場合は、勤務先企業から給料支払い証明書が税務署に提出されたことで、呉市の生活保護担当部署に知れることとなり、過去に払い過ぎた保護費の還付請求を行っているのが実情です。これも詐欺の一種ではありますが、このことにも行政は甘い態度を貫いて来ました。
 ところが、雇用主そのものが給与支払い証明書の提出を敢えて怠り脱税しているケースも多々あり、この場合は不法所得の捕捉はできませんから、所得隠しは氷山の一角に違いありません。
一方、生活保護費が振り込まれるとすぐにパチンコ三昧に出掛けたり、飲み屋に入り浸ったりするケースが絶えません。毎月5日が保護費支給の振込日ですが、貸しアパート住まいですと、概ね25日が翌月の家賃納入日となっているため、その時点でお金をほぼ使い切っており、家賃を支払えない状況に陥る事例が多々生じました。
 そこでそのように金銭感覚が希薄な場合には、本人の同意を得て、呉市から住宅扶助費なる家賃分を直接家主、若しくは不動産業者へ振り込む手法が、現在では多くなって来ています。またそうしなければ、家主も部屋を貸さない訳です。
 ところで生活保護費の財源は、3/4が国、1/4が市町村です。つまり血税です。ですからそれを、一部の受給者がパチンコなどに浪費するのは何事かと、市民から批判の声もあり、兵庫県小野市では条例を定め、そのような実態を第三者機関に市民が直接訴える制度を創設しました。訴えられた機関は調査に入るのですが、これではその対象市民が暗に生活保護受給者であると認めるようになってしまいます。これはプライバシー侵害に繋がり易いですし、ましてや市民が監視役になるため、市民同士が疑心暗鬼になる可能性が高く、やはりこの制度はやり過ぎではないかと考えています。基本的人権や自由が保障されている現憲法化では、パチンコや飲酒規制は、憲法に違反する可能性があるためです。
 ただ生活保護は、一旦受給すればこの呪縛から抜け出すのは容易ではありません。受給者は行政に甘えて、それを継続しようとする意志が生まれ易いのは、人間の悲しき性といいますか、否定できないのです。辛口評論家である金美玲女史が、以前呉市に講演に来られた際、「我が国の最も愚策は生活保護である」と喝破したことがあります。
 これは、憲法を改正しないと根本的解決にはなり得ないでしょう。現憲法では権利と義務が各々独立した存在となっており、義務と権利の相関関係を謳ってはいません。加えて納税、労働、教育を受けさせると、3つの義務を国民に課してはいても、公的な年金や健康保険料の支払い義務は、残念ながら憲法では謳われていない訳です。つまり年金保険料を若い間、敢えて掛けてなく、将来老後において老齢年金の受給資格がなくても、生活保護費の受給資格はあるということなのです。
では、とりあえず呉市としてどういう動きをすればいいのか、これから持論を述べてみたいと思います。
 第一は、生活保護の級地制度の見直しを国に要請するのです。生活保護の各扶助費における支給基準は、地域経済における物価の動向を勘案して、国が定めています。東京や大阪の様な大都会は1級地ですから、扶助額が最も高い訳です。広島市のような政令市は1級地の2です。呉市も同様です。ただ、呉市より人口の多い都市でも2級地ですから、これは逆転しています。
 しかも、呉市へ編入合併した町は、呉市となったことで級地が上がり、そのため生活保護受給額が増えたのです。合併しても地域経済に大きな違いがないのですから、級地をそのままにするべきでしょう。何故なら豊町や蒲刈町など、過疎指定していた町は、合併して呉市になったとしても、過疎指定は継続しているからです。これら国策の矛盾は明らかです。
 これを呉市議会本会議で訴えましたが、市長は動こうとはしませんでした。級地(きゅうち)が上がれば、血税がそれだけ多く投じられることを肝に銘じておくべきでしょう。正に窮地(きゅうち)に陥ってしまう訳です。
 第二は、この度の産経ニュースで報じられた様に、生活保護受給者が刑事事件で逮捕され、留置されたり、罪状が確定して拘置された場合にも、その本人の口座に扶助費を振り込み続けている実態が全国にあるということです。留置場や刑務所では、その本人の自由が拘束され、少なくとも食住には不自由しません。にも関わらず、生活保護を支給し続けたら、税金の二重投資となるのは明白です。
 そこで、大阪府警が全国で唯一、府内の大阪市や東大阪市と協定を結び、生活保護受給者の留置・拘置者を支給自治体に情報提供することにしました。その連絡を受けた提携自治体は、直ちに扶助費の振り込みを停止するという訳です。
 実際大阪府警では、制度を試行した平成26年7月から本格施行に移行した28年10月まで、1,644人の生活保護費受給者を逮捕しました。その内大阪市だけで1,169人にも上りました。これにより、浮いた生活保護費は、大阪府全体で約7千万円、大坂市だけで約6,400万円となりました。現在は、堺市を初めとして府内全域に協定自治体を拡大しようとしているのです。
 大阪市は、西成区の愛隣地区を抱えるだけあって、生活保護受給率は日本一、即ち人口の5.3%をも占めていますので、この対策は望まれるべくして出て来たものと推察されます。
 我が呉市も広島県内で2番目に受給率が高く、平成25年10月の実績ではありますが、1.8%でした。その後人口減が続いて来ましたから、2%の大台に乗ったかもしれません。この生活保護費における呉市の年間予算は73億円にも上り、教育費の70億円を上回っているのです。
 従いまして私は、呉市としても広島県警に働きかけ、この施策展開において県内筆頭に立つべきだと、今後訴えて参る所存です。生活保護は、国民にとって最後の砦ですので、真に生活に困っている人には、当然の如く行政として優しく手を差し伸べ、それを食い物にしている輩に対しては、強く望むべきというのが、私の考えなのです。
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