街頭演説集

第77回 政務活動費の使途改革

政務活動費における一層の透明化と公平化を図れ!

Facebook 2017.2.3

 昨日は、行政視察と重なったため、木曜日に持ち越しての街頭演説。通算77回目となります。テーマは、最近特に注目を集めている政務活動費の使途改革についてです。
 
 昨年、富山市議会における11名もの集団辞職、3年前の野々村竜太郎兵庫県議による
空出張、どちらも議員の第2報酬と言われる政務活動費の不正受給でした。近場では熊本憲三広島市議会議員において、実在しない住所地の職員人件費の領収証が発覚し、政務活動費20万円を詐取したとして刑事告発されました。
 この様に、議員たる者、政務活動費の使い方は、今一度襟を正す必要があるでしょう。 そもそも政務活動費とは、地方自治法を根拠に、議員の会派活動に対する調査研究費として位置付けられています。ただ、その使途や支給額は各議会ばらばらで、問題となった兵庫県では、議員一人当たり月額50万円、富山県は30万円、広島県は35万円となっており、全国一高額な東京都は60万円です。続いて富山市は15万円、広島市は34万円で、我が呉市は5万円となっています。
 一部の議会では、会派の事務所や人件費の一部、議員個人発行の機関紙制作費、機関紙頒布費が認められていますが、呉市では金額が少ないことと、透明性を確保する意味で、事務所費や職員人件費は一切認められておらず、議員発行機関紙の発行も不可となっており、極めて健全だと思っています。
 ところが、この度呉市が中核市に移行したことで、初の外部包括監査が導入され、議会費の政務活動費に初めて第三者の厳しい目が入りました。細部までチェックを受け、指摘を受ける中、近年における政務活動費への有権者不信を踏まえ、呉市議会ではこの度使途改革を行い、来年度から施行することになりました。その中身は5点あります。
 第1は、議員個人の自家用車のガソリン代と携帯電話通信費です。これまでは、過去の裁判判例を踏まえ、係った経費の1/3を後精算で政務活動費の交付を受けておりました。
これは、議員活動には公的な議会活動、議員の個人活動、後援会を初めとする私的活動の3種類に分類されることから、登録自家用車1台のガソリン代と登録携帯電話1台の通信費に限り、みなし率として1/3を支給していたものです。
 これでは明確に公的活動に係る部分を証明できず、市民への説明責任を果たせないとの理由から、これらへの交付自体を廃止することに決定致しました。
 第2は、広報紙発行についてです。これまでは会派発行にのみ機関紙制作費とその頒布に係る切手代やポスティング費用が認められていました。広報紙の掲載記事が、全て議会活動に終始していたとしても、それを広く市民に頒布すれば、その議員の知名度アップに繋がり、選挙運動に近い状況になることがその理由です。但し、会派発行の広報紙だけは、その制作費と頒布費用が認められていました。これは、政務活動費は会派に対して交付されるものだからです。
 ところが、この制度を拡大解釈して、会派発行新聞の裏面に会派所属議員の個人版が掲載されたことが何度かありました。これでは事実上、議員個人のPRになってしまいます。しかも、会派に所属しない議員には公費で広報紙を発行することすら認められていないため、著しい不公平が生じていました。
 因みに私は、会派に所属していないため、機関紙は後援会発行とし、私的な支出としており、私を含め同様の立場の議員からは、この不公平是正要求が出されていたのです。
 この点も、この度きっちり見直しされました。即ち、議員個人版として1頁割いていなくても、同一頁の中にかなりのスペースで特定の議員活動が紹介される場合も含まれるということです。
 第3として、切手代購入における枚数制限の導入です。この切手代は、あくまで会派発行広報紙等を頒布する手段として認められていました。従いまして、私の様な後援会機関紙の切手代は認められていなかったのです。
 過去、この切手を複数の会派が大量購入したことがあり、当時新聞社から取材を申し込まれたことがあります。兵庫県議会において、野々村議員の疑惑が発覚した際、疑惑追及を目的とした、地方自治法第100条に基づく調査委員会、いわゆる百条委員会を議会が設置しなかったことがありました。切手疑惑がその場で追求されて返り血を浴びたら元も子もなくなるという思惑があったと、噂されていたのです。どういうことかと申しますと、切手の大量購入は、それを換金することが可能であることから、使途流用をしたのではないかとの疑念を持たれても仕方ないということなのです。
 そこで呉市議会では、議員一人当たり、年に100枚を購入限度とすることに致しました。
 第4として、視察に係る内容です。
 具体的には、先ず、視察報告書は終了後7日以内に提出すること、これは研修報告も同様です。ただ、7日以内は短か過ぎるとの意見も出たため、その日数については、今後の検討課題となりました。この期限を切ることの意義は、この報告書を呉市議会ホームページにアップするため、できるだけスピーディーに行えるようにするためです。従って、報告書未提出議員には、新たな視察申請を認めないことと致しました。
 また過去、博物館等を見学しただけの視察が散見されたことから、視察先や施設の職員から説明を受けることを条件と致しました。単なる視察見学に終わってしまえば、物見遊山や観光との誤解を市民に対して与えかねないとの理由です。
 そして最後に、領収証の議会ホームページでの公開です。これまでは、情報公開条例に基づく公文書公開請求を経なくても、収支報告書とそれに係る領収証は、議会事務局で閲覧が無料でできました。但し、それらを複写するとなると、1枚につき10円が必要だったのです。
 そこで昨年7月より、収支報告書のみをホームページ上にアップすることにしておりましたが、この度はそれに領収証を加えることで、大きな進歩と言えましょう。つまり、それらの情報を自宅のパソコンからプリントアウトが可能になる訳です。
 私は、これらの改革は、大きな前進と捉えています。但し、今後より一層改革すべき課題点を2点挙げておきましょう。
 その第1は、視察や研修を複数の議員で行った場合、議員個人々々が自らの言葉で報告書を作成すべきだということです。これは、私が委員を務める議会運営委員会でも議論されましたが、見送られた経緯があります。貴重な市民の血税を使って視察や研修を受ける訳ですから、それなりの効果が求められます。誰かが代表で報告書を作成するのでは、視察においても研修においても、実が入らない道理です。近年は、この方式を導入する議会が増えつつあり、呉市議会は遅れをとっていると言えましょう。
 因みに、私が過去会派に所属していた時は、殆ど私が代表で報告書を執筆していたものでした。
 第2は、政務活動費と行政視察費の統合です。よく、政務活動費の金額を都市間で比較することがありますが、これでは不十分です。行政視察費もセットで比較する必要があるのです。
 と申しますのも呉市の場合は、別途行政視察費が、議員一人当たり年額18万円組まれています。ということは、政務活動費の年額60万円と併せると78万円となります。しかも、行政視察は政務活動費を使ってでも可能ですので、項目が重複していることになります。
 ですから私は、行政視察費を廃止して、政務活動費に統合すべきだと考えています。その際、統合後に年間60万円のみにするか、行政視察費を廃止する代わりに、政務活動費を月額6万円と1万円増額し、年間72万円にしても、トータルで既存制度より年額6万円の減額になる訳です。
 この行政視察費の存在そのものは、まだマスコミが有権者に伝え切れていない部分であり、指摘されるより先に、自ら身を切る改革をするのが、私達議員の市民に対する真摯な姿勢だと思うのです。
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