街頭演説集

第78回 呉市イメージキャラクター戦略

呉市新イメキャラ戦略で観光客増にはずみ!!

Facebook 2017.2.10

 去る2月7日は、78回目の街頭演説。テーマは呉市新キャラクターについてです。
 
 呉市は2月1日に新キャラクター発表会を開催。併せて新テーマソングのプロモーション動画を公開しました。これまで、私達議員にもそのデザインを内密にして伏せ、2月1日に一挙公開することで大きなインパクトを与える戦略だったのです。
 誰もが度肝を抜かれたと思います。地方自治体間でゆるキャラブームが展開される中、例えば「クレぽん」のようなありふれたキャラでは、インパクトに欠けると踏み、そのものずばり「呉」とデザインされた「呉氏」。そればかりでなく、同時にテーマソングと振り付けダンスをセットにしたプロモーション動画まで制作したのです。
 それは、平成7年に日本レコード大賞を受賞したTRFによる当時の大ヒット曲「CRAZY GONNA CRAZY」の替え歌「呉ー市ーGONNA呉ー市ー」でした。歌詞は呉市の魅力と観光地を紹介したもの、それに伴うロケ動画です。TRFと言えば、小室哲哉の曲で日本初のポップスダンスグループですので、キャラクター「呉氏」を含めた5人のダンサーが同様にキレのあるダンスを踊るのですから、若者に人気が出るのは間違いないでしょう。
 既に昨日の段階で、動画投稿サイトにおけるダウンロード数は30万件を突破しました。
 呉市ホームページでは、歌詞の内容の聖地まで紹介しており、「呉氏聖地巡り」の今後企画される可能性を秘めていますし、商店街でのイベントや学校行事でのキャラクター活用や合唱とダンス等、呉市主催行事に止まることなく、様々な活動展開が望めます。勿論これにより、呉市を訪れる観光客が激増し、宿泊増に繋がることが大いに期待されます。
 ゆるキャラでは船橋市の「ふなっしー」や熊本県の「くまモン」が有名ですが、それらを凌駕するインパクト十分な存在です。歌と踊り、しかもヒットソングの替え歌と動画、インターネットでどんどん拡散することで、「呉市」をこれでもかと脳裏に刻み、人々の心を掴むことができるのです。
 想えばゆるキャラと言えば、重い縫いぐるみを被って愛くるしく動くというイメージがありますが、「呉氏」の様に、手足が露出したゆるキャラは見たことがありません。それもそのはず、縫いぐるみを被ったキャラクター自身がキレのあるダンスを踊るためなのです。ですからゆるキャラの枠を越えた度肝を抜く、強い印象を与えるキャラに仕上がったと言えます。
 ところで、以前私が大阪市に出張した際、ある博物館の若い女性従業員に名刺を差し出し、「管理職員に合わせて欲しい」と告げたところ、「この市は何と読むのですか?」と聞かれ、愕然としたことがありました。確かに学校では「呉」は「ご」と習ったと思います。中国の三國志では魏、呉、蜀が出て参りますし、「呉服」は「ごふく」と読みます。私達は当たり前のように「くれ市」と呼んでいますが、他の地方へ行けば「ご市」と誤って読まれているかも知れず、正に「呉市」は「誤市」なのです。
 つまり、キャラクターのロゴデザインが「呉」の文字であること、テーマソングも「クレージー」をもじった「呉ー市ー」であることから、「呉」即ち「クレ」として、全国の人々に市名を覚えてもらい、イメージアップを図れるのです。
 それでは、これだけの企画を一体誰が行ったのでしょうか?実は、昨年6月かシティプロモーションの企画提案を公募し、6者が応募した結果、断トツ最高点を獲得した㈱電通西日本だったのです。さすが広告のプロです。考える視点が全く違います。公務員や素人ではさすがにここまでは思いつきません。
 キャラクターデザインなら、通常は一般公募すれば費用があまりかかりませんが、この度はイメージキャラクターのデザインに止まらず、それを中心に据えたプロモーション動画やポスターの作成、音楽著作権料を含めた広告宣伝戦略全てを委託したのです。今年度予算3,200万円の内、3,000万円を最高価格に設定し、その範囲内で企画を募ったのでした。しかも応募条件としては、人口20万人以上の自治体において、全国規模の広告宣伝を手がけた実績が5年以上あるとの条件付きです。
 7人の審査員が一人100点満点で採点し、その内、価格評価は僅か5点に止め、企画内容を重視したのです。その結果、700点満点の内、㈱電通西日本が530点と、次点の㈱ティー・ワイ・オーの485点に大差を付けたのでした。因みに電通西日本とは、昨年7月15日に2,997万8千円で契約を締結致しました。
 実はこのキャラクターは、7月に行われた選定審査会でのプレゼンテーションで既に内々に披露されていたのです。これで審査員の心を一気にたぐり寄せたと言えましょう。この時点で「呉氏」は実質決まったと言えましょう。その時のプレゼンテーションの様子も呉市ホームページで紹介されており、これも電通西日本の広告宣伝の一環に違いありません。凄い徹底ぶりです。
  ところで、呉市のゆるキャラといえば、「てつぞー」がいました。これは呉青年会議所の事業として、全国公募し、平成22年に誕生しました。造船のとタンカーをイメージしたロゴデザインとなっており、これまでも呉市関係行事に登場しています。ということは、早くもインターネットで、「てつぞー」引退の記事が踊っているように、今後は「呉氏」一本になることでしょう。
 呉市は来年度予算に、踊りの踊れるグループへの「呉氏」の委託費を計上することになるでしょうが、果たして縫いぐるみを被る人物は誰になるか、興味の尽きぬところです。何故なら現在の「呉氏」を被っている人物やダンサーは、電通西日本との契約の中で雇用しているでしょうから、今後は違うメンバーが引き継ぐことになるからです。
 惜しむらくは、この度シティプロモーション事業予算の財源が全て呉市の一般財源であることです。もう少しアクションが早ければ、昨年度の国の地方創生加速化交付金を活用できた可能性を否定できません。そうなれば、全て国家予算で充当できたはずだからです。 とは言え、今後は呉市のイメージキャラクター戦略を模倣する自治体が続出することは火を見るよりも明らかです。呉市はその先駆者として、確固たる実績を積み、真の観光立市として、大和ミュージアムに続く飛躍的成長を遂げて欲しいと念願しております。
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