街頭演説集

第82回 阿賀マリノポリスの方向性

阿賀マリノポリスへの税金投入計画の明確化を!

Facebook 2017.3.7

 昨日は82回目の街頭演説。テーマは阿賀マリノポリスについてです。
 この広大な埋立造成地は46.4ha。港湾施設、マリーナ関連施設、物流業誘致を目的に、平成18年度に竣功しました。投資額は578億円で、その内国費が、防波堤や岸壁整備である国直轄事業、及び緑地造成等への補助で90億円投じられています。
 この中で港湾施設は埠頭用地に種別され、着岸料、荷さばき施設使用料、ターミナル施設入所料等の収入で、投資分を回収して行く港湾整備事業特別会計で賄って行きます。
 マリーナ関連用地は、民間のマリーナ事業者やレストラン、海洋関連商業施設を誘致しする交流厚生施設、残りは運輸業、倉庫業等物流企業を誘致する港湾関連用地です。これらと道路用地等を合わせた35.2ha、297億円の投資額を、土地を分譲することで回収して行くのが、臨海土地造成事業特別会計という訳です。とは言っても、事業費は起債ですから、それに利息77億円を加えますと374億円を回収する必要があります。
 この分譲予定地の内、港湾関連用地は14ha。都市計画法による用途は準工業地域に設定しています。平成19年度における呉市議会への行政報告では、この分譲予想単価は土地の近隣相場である平均・坪20万円に対して、造成単価は坪35万円であることが説明されました。つまり、全ての土地を売却しても投資分の回収は不可能ということになります。因みに、過去宝町や川原石南地区の埋め立て造成事業では、黒字となっていましたが、阿賀マリノポリスは地価相場が安価な地区のために、逆ざやが生じてしまうことが判明したのです。
 但し、その回収必要額374億円に対し、同じ特別会計である宝町の埋立造成での利益57億円を相殺すると、売却収入必要額は317億円に縮小されます。そうしますと、分譲単価はそれでも坪30万円が必要となります。しかし実際は地価相場より高額では企業が土地を購入しませんので、差額の坪5万円分は、税金を投じざるを得なくなった訳です。 整理しますと、先ず民間売却が困難な交流厚生用地18haの一部マリーナ用地5haと護岸・道路用地7.3haを造成単価・坪35万円、即ち132億円を税金で取得。残りの港湾関連用地22.9haは民間に坪20万円で売却し、137億円の収入。これらを合わせますと269億円の収入となります。
 ところが宝町での収益を相殺した売却収入必要額317億円には尚48億円不足が生じます。更に期限内に起債償還できないことから、借換債手続きを行いその利息が33億円必要となりますから、合計81億円の穴を埋める必要があります。これを税金で平成20年度から35年度までの16年間の割賦払いで毎年度5億円ずつ、合計80億円の税金を投入する方針を発表したのです。
 一方、現在開会中の3月定例会において、港湾関連用地の内8.9haを工業用地として売却する議案が提案され、本日可決されました。因みに港湾関連用地から工業用地に埋立免許の変更許可を受けたのが平成21年度、土地計画法の用途地域である準工業用地から工業用地に変更したのが平成24年です。工業用地に変更されると、物流業に止まらず、工場を立地する製造業の参入が可能となり、雇用や法人市民税も著しく増えるメリットがあります。
 ところが、この度の分譲案件は、一括分譲したとして27億2,323万円。坪単価を計算したところ、約10万496円となります。これでは当初資金計画を提示した、坪 20万円の約半額にしか及びません。
 しかも既に売却した港湾関連用地A・B各ブロックでの坪単価は18万1,500円です。これとて、20万円から減額となっていますが、これは地価が下落したことが要因と解釈しております。また昨年12月定例会では、交流厚生用地一部を港湾関連用地に変更し、Dブロックして処分する議案が可決されました。この場合の坪単価は、14万3,800円でした。これは、メイン道路に面してはいるものの、不整形な土地だから価値が下がったものと理解しておりました。ただ、20万円から比べて大きな開きがあるのは事実です。
 因みに港湾関連用地Aブロックは、呉運輸機構㈱が2区画、徳沢運輸㈱、竹中モーターズ㈱、㈱奈良運送が各1区画、Bブロックをコカ・コーラウエスト㈱が1区画を購入済みとなっています。
 その様な中、今回の財産処分議案は、それどころか大幅に安価で分譲するという内容です。そこで私が本会議でこのことを議案質疑したところ、最低分譲面積が港湾関連用地の千㎡に比べ、30倍の3haであること、準工業用地と違って工業用地は、住宅を建設できないとか、危険物を取り扱う工場の建設が可能で、そのための規制が厳しいとの理由で、鑑定評価が低いと、当局は答弁しました。
 それなら、19年度に発表した資金計画に対し、工業用地に変更したのは平成24年ですから、少なくともその時点で売却単価が大幅に減少することが当局は解っていたはずで、計画見直しを含め、議会に説明する責任が執行部にあったはずです。
 その時点で、平成35年度までに80億円を一般会計である税金から注ぎ込む計画は瓦解していたと言えましょう。それを議会に一言も報告がなかったのです。私は、議案質疑でこのことを追求しましたが、当局からはその責任を果たさなかったことへの反省の弁は一切なく、穴埋め財源については、今後検討して行くとの極めて消極的答弁に止まったのでした。
 やはり、特別会計で独立採算が謳われていても、それを安易に一般会計から補えばよいとの思いが、当局から滲み出ていると感じざるを得ませんでした。危機感が欠如していると言わざるを得ません。私としては、この問題を今後も採り上げて参る所存です。
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