街頭演説集

第83回 介護予防・日常生活支援総合事業

住民主体による介護予防や生活支援の在り方を模索!

Facebook 2017.3.17

 去る3月13日は、83回目の街頭演説。そして、国会議員と3度目の遭遇となりました。テーマは介護予防と生活支援についてです。
 平成26年に改正された介護保険法に基づき、呉市も新年度から新しい介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)がスタート致します。この総合事業に係る改正のポイントは主に二つあります。その一つは、要支援1、2を対象とした訪問介護(ホームヘルプ)と通所介護(デイサービス)を、国の給付である介護予防給付から市町村独自の給付である地域支援事業に変更することです。もう一つは、住民主体の家事援助等の生活支援サービス事業が新たに加わったことです。
 基本理念としては、高齢者を水際で介護重症化を防ぐ予防事業を、市町村の特性に応じて柔軟なサービスが提供できることと、高齢者が住み慣れた地域で、地域住民の互助により暮らして行けることを目指しています。これまでの公助、共助、自助に加え、共助の次に互助を加えた訳です。この背景には、少子高齢化の大幅な進展により、国民において介護保険料の負担が増え続けていることで、それを抑制することがあります。施設介護から在宅介護、そして介護予防の充実、そしていよいよ住民主体のサービスの導入に至った訳です。
 さて総合事業の内、介護予防・生活支援サービス事業において、住民主体によるサービスは訪問型サービス、通所型サービス、生活支援サービスの3類型あります。要支援1、2を対象とする訪問介護や通所介護は、これまで通り事業者が行いますので、法改正前と比べサービスが低下することはありません。しかも呉市では、国の給付である公定価格と同じ価格を設定しますから、事業者や利用者にとって不利になることはないでしょう。
 ただ問題は、総合事業における対象者は、要支援の内訪問介護、通所介護のみの利用者に加え、リスト登録されている介護予防必要者の内、ケアマネジメントやサービスが必要な者に限定されるということです。呉市においては、前者は1,500人、後者は300人と、合計1,800人が対象ということになります。
 また住民主体とは、例えば老人クラブ、自治会、地区社会福祉協議会、女性会の様な地域に密着した公共的団体から、業種に絞った呉市全域を網羅する団体と様々です。例えば通所型サービスですと、掃除、洗濯、買い物、草刈り等の家事援助、外出支援から話し相手までが考えられ、通所型サービスですと交流サロンがあり、生活支援ですと見守りや配食サービスがあります。第2地区の見守り隊は、対象を限定すれば、総合事業の内の生活支援サービスに組み入れることも可能です。
 勿論それ以外でもありで、団体の特性に応じて様々なサービスが考えられます。例えば訪問型サービスの中で、鍼灸師の団体が鍼灸施術を活用して体調管理することも一案です。これらは有償ボランティアとなりますが、サービスに応じて利用者から訪問者に対し、謝金になり代わる利用料を徴収することができます。そして団体の事業経費の一部を呉市が補助する仕組みとなります。
 これらの対象者は、先に述べた呉市内で約1,800人おられますが、それらを利用判定するのは、市内8箇所ある地域包括支援センターで、これは4類型目の介護予防支援事業(ケアマネジメント)に該当し、利用料は無料です。
 一方、総合事業には一般介護予防事業が別途あります。これは生活支援サービスは含まれない代わりに、対象が限定されないメリットがあり、即ち65才以上の全ての第1号被保険者となります。
 例えば、既存のふれあいいきいきサロンや地域サロンは、要支援者に止まらず、幅広く高齢者が集っていますが、そうである限り呉市において、こちらに組み入れることと致しました。以前から私が提案しておりました、広島県事業で、県社会福祉協議会を通じて補助されて来た地域支え合い体制づくり事業を、この一般介護予防事業に組み入れることになりました。具体的には、川原石地区の「和みの家」、宮原地区の「きらく亭」などがその候補となります。これらへの補助は3年限りでしたので、今後継続して呉市から補助が受けられることとなります。
 そして、呉市が事業者等に委託する介護予防教室を卒業した高齢者がグループを結成して、独自に講師を招聘し、引き続き介護予防に自主的に取り組む自主サークル活動を支援する枠組みが私の提案で実現致します。丁度一般介護予防事業において国が例示した、地域リハビリテーション活動支援事業をアレンジした格好です。
 この自主サークルという仕組みは、過去公民館定期講座を修了した方々で起ち上げ、公民館貸し室を有料ではありますが優先的に提供する既存制度があります。それも私が提案したもので、この度はそれを介護予防に応用した訳です。但し、まちづくりセンター等公共施設の使用料を免除してサークル活動を活発化する案を今後行政と詰めて行くこととしております。
 最後の課題は、私が以前から提唱して来た、すこやかサポート事業の介護保険の地域支援事業化です。これは要介護3以上の高齢者を対象に家庭ごみ出しを市の職員が成り代わって行う事業ですが、利用料が無料で、介護保険の制度とは別個の呉市独自の制度です。この背景には、家庭ごみ収集担当職員(環境業務課)の退職者不補充による収集業務民営化を遅らせ、既得権益を守る意図が隠されています。
 これを総合事業の訪問型サービスに組み入れようとした場合、対象が要支援の一部と介護予防必要者の一部に限定されるため、要介護者が対象外となってしまいます。また、総合事業の一般介護予防事業は対象が限定されないのですが、ごみ出しは生活支援サービスの範疇であって、残念ながら介護予防には該当しません。
 そこで私は、地域支援事業の中の任意事業に充てはめることができないか、研究しています。この中には、国が例示する家族介護支援事業等がありますが、既存の配食サービスは対象者をあまり限定していないことから、新年度以降も引き続き任意事業で実施する予定としているからです。
 因みに任意事業の場合、呉市一般会計からの負担が、総合事業の12.5%に対し19.5%と、若干血税を投入する割合が高くなります。
 
 いずれに致しましても、総合事業はこの4月からスタートする予定ですが、正に暗中模索の部分が非常に多いのです。特に厚労省が机上設計した、住民主体の介護予防・生活支援サービスの受け入れ団体が、市内全域にまんべんなく育つか大いに疑問が残ります。
 と申しますのも、今年度からモデル地区に、天応・吉浦、宮原・警固屋、音戸・倉橋地区が選定されていますが、まだサービス主体団体は起ち上がっていないからです。これらは呉市から補助金を交付されますので、当然会計帳簿を付けて、年度毎に呉市に対し会計報告をしなければなりません。これら団体には高齢者が多いため、会計事務が新たな負担としてのしかかって来ることも難点となっています。
 従いまして、今後試行錯誤を繰り返しながら、現実に即した制度を構築して行くことが肝要だと考えています。
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