広電バス経営支援補助金は市民の血税であり、慎重に!
Facebook 2017.3.22
先ず、新年度予算における経営支援補助金は3億5千万円で、今年度当初予算に比べ4千万円の増額となっています。市営バスを民営化したのは平成24年度からですが、赤字分は税金で補填するというのが、この経営支援補助金です。民営化しなければ、当時の呉市交通局への補助金が、官民人件費の差により、大体5億円程余計にかかることを先ず押さえておく必要があります。
民営化の際、当局から議会への説明では、広電に民間移譲後は、独自に内部留保できる独立採算性の呉バスカンパニーを設立し、その経営支援として補助金を交付するということでした。当初私は、赤字路線と黒字路線をトータルしての赤字分に利潤幅2%を上乗せすると理解してておりましたが、その後私が2年前の一般質問で確認したところ、路線の黒字分はそっくりインセンティブとして広電の内部留保になるということでした。そうしなければ、広電にとって呉市内のバス事業に乗り出すメリットが小さいということなのです。
その時の説明では、その内部留保は、呉市内の待合室・上屋等整備やバス車両購入費に充てられ、市内交通事業における市民へのサービス向上策として地元に還元されるとのことでした。
ところが、そうではないことが、この度の28年度補正予算が経営支援補助金の追加分として、8千万円組まれたことに対する私の質疑で判明致しました。
8千万円の内訳は4,300万円が人件費増への対応、残り3,700万円は、築地にあった、旧交通局中央工場の敷地を広電が購入したことによる、既存の設備の除却費用だというのです。これは資本的支出だから、以前交通局が警固屋営業所敷地を民間売却した際、建物を解体撤去するのに内部留保である建設引当金を充てたように、広電も24年度からの内部留保を充てるべきではないのか?そこで私は、民営化後5年間の内部留保は2億5千万円との答弁を引き出しました。
しかし、昨年6月に中央工場敷地を呉市から取得する際の2億7,500万円で、内部留保はそっくり消えていたのです。ですから、新たに除却費用を経営支援補助金として追加しようとしたことが判りました。因みに、バス上屋の除却費用は既に、敷地の鑑定評価から建て付け減価しておりましたので、設備除却はあくまで広電による新工場建設事情ということになります。
しかも、旧施設を除却後、現在新たに工場を建設していますが、これは減価償却費を今後、全11路線に係る必要経費として案分計上され、結局償却期間が切れるまで、毎年度経営支援補助金に上乗せされる訳です。これは、民営化に係る当初説明では、全くなされていませんでした。この上乗せ分は、新年度の経営支援補助金が4千万円増額することの大きな要因になっている訳です。
一方呉市は、民営化に係る基本協定を平成22年12月に、広電と締結しています。当時の交渉時は、交通局所有バス車両を広電に購入してもらい、交通局の入居していた同局所有の呉駅西共同ビルを有料使用してもらう考えで臨みました。
ところが足下を見られ、バス車両は全て無償譲渡、呉駅西共同ビルの1~2階部分や、隣接の呉駅西駐車場1階のバス車庫を初めとする全ての建物や土地は5年間無償貸与することになったのです。加えて、交通局が経営健全化を進めるために、東営業所と警固屋営業所を統合して、新たに広島ガスの敷地内に整備して間もなかった阿賀南営業所は、広電は使用しないと表明しました。そのため、建物の20年間の契約を締結していた三井リースに違約金を5億円支払う羽目に陥ったのです。
そればかりか、新たにバス購入費補助金を10台分1/2補助として、毎年度1億円を限度に5年間交付することになりました。当然6年目からはこの補助はなくなると踏んでいたところ、何の説明もなく、5年目に当たる28年度予算から3台分1/2補助として3千万円の予算が計上されていたのです。当然29年度にも計上されています。
当時の議事録を読みますと、5年経過した以降の対応は、広電や議会にも相談して決めるとの答弁がありましたが、全く議会への相談や行政報告はなく、予算説明もないままでした。このことを私がこの度の予算委員会で追及したところ、当局は議会への説明不足を認め、謝罪した格好です。
では、補助金1/2の残り1/2はどうやって広電が捻出しているかといいますと、それは減価償却費として毎年度予算化される経営支援補助金に含まれていることが、この度判明致しました。バス購入は内部留保を活用する旨の過去の答弁とは、完全に矛盾致します。結局全て税金だった訳で、このような不利な協定内容を、議会に一切説明して来なかった当局の説明責任は、厳しく問われなければなりません。
また、土地や建物の無償貸与は、中央工場敷地を5年目に購入したこともあって、5年間で切れると思っていましたが、行政財産の目的外使用が5年間を限度にしているので、それ以降の5年間は無償貸与を継続更新することが、私の質疑で判明致しました。つまり、呉駅西共同ビルには、バス経営の拠点である広電宝町営業センター(広電呉輸送営業部)が入居していますが、これらを含め全て、無償貸与を新年度から更新することが判ったのです。
更に、民営化時に説明のあった、呉市内バス事業を独自経理するという呉バスカンパニーは、民営化初年度である24年度決算から独自決算を行わず、26年1月に正式に廃止していたことが、私の質問で明らかになったのです。つまり内部留保は全て広電本社に吸い上げられ、それはこの度の中央工場敷地購入の様に、財産取得の際にだけ使い、その他の建物やバス停上屋整備等は、全て減価償却費として、経営支援補助金、即ち血税が充てられるという仕組みに、変わってしまっていたのです。呉バスカンパニーの解散は、議会に対し、これまで明確な説明はありませんでした。
加えて人件費増や購入建物除却費用など、新たに発生した経費は、補正予算で追加すればよいということになります。
私は、22年前に呉市議会議員に初当選した際、マニフェストに市営バス民営化を掲げました。当選後初の一般質問でも、このテーマを採り上げました。当時は市長を初め交通局管理者から、「民営化は考えていない」と一笑に付されましたが、現市長が就任されて、民営化に舵を切り、実現した経緯があります。
バスの民営化は5年前に実現はしましたが、それで終わりではなく、経営支援補助金に纏わる様々な諸問題が山積していることがこの度解りました。今後も路線バス政策においては、相手のいいなりにならないよう、目を光らせて参る所存です。