街頭演説集

第96回 旅タクシーの改革

旅タクシーの改革で、呉市の観光振興を図れ!

Facebook 2017.6.17

 去る6月13日は96回目の街頭演説。テーマは旅タクシーについてです。
 これは、呉市が大和ミュージアムのオープンを翌年度に控えた平成16年度からスタートさせた施策です。呉市にJRやフェリーで訪れた観光客に、市内を安価にタクシーで周遊してもらうシステムです。
 当初は7コースでしたが、平成24年にNHK大河ドラマ「平清盛」が始まった際、ドラマ館が1年限定でおんど観光文化会館「うずしお」でオープンしたことに併せ、私の提案で「清盛コース」が追加となりました。
 コースによって運行時間と料金が異なり、呉駅近くにあるくれ観光情報プラザに申し込んで予約をし、そこが発着点となります。例えば清盛コースだと2時間かかり、4人乗り小型タクシーで8,290円です。これは実際のタクシー運賃と比べ、格安に設定されています。他にも5人乗り中型、9人乗り大型と3種類の料金設定がなされています。
ところが、呉市の制度「旅タクシー」とは別に、JR西日本の制度である「駅から観タクン広島」があるのです。これはJRが観光資源のある駅を選別して全国展開しているシステムで、広島県内では呉駅だけです。つまり呉駅が発着点となり、JRを利用して訪れた観光客向けサービスではありますが、実際は誰が利用しても構いません。
 問題は、呉市において類似施策である二つの観光用タクシーが混在し、料金設定が異なっていることにあります。観タクンにはコース名称はなく、1コースしか用意されていません。そのコースは旅タクシーの清盛コースとほぼ同じで、うずしお、音戸の瀬戸、アレイからすこじまとなっており、運行時間も同じにも関わらず、小型・中型タクシー限定で、料金は6,200円と、旅タクシーに比べ 2,090円も安価に設定されています。因みに清盛コースでの5人乗り中型車の場合、10,200円ですから、これと比較すると、観タクンの方が4千円も安価になっているのです。
 実は観タクンは、JR呉駅に乗り入れ許可を得ている5者で構成する呉駅構内タクシー協会しか加盟が許されません。5者の内、個人タクシー協会を除く4法人が観タクンに加盟しています。方や旅タクシーは、広島県タクシー協会呉支部会員法人なら加盟資格がありますが、途中からの脱会法人もあって、現在は僅か9者に止まっています。しかも観タクンと旅タクシー双方に加盟しているのは1法人しかありません。逆に、同法人タクシーに乗車した場合、旅タクシーと観光タクンと双方を利用した場合、料金が異なる奇妙な体験をすることになり、呉市の観光行政に対し、不信感が生じかねません。
 それでは、この二つの類似制度を統合することはできないのでしょうか?
 旅タクシーを開始する際、観タクンの前身が既にあったのです。その後観タクンとして現在の形になったのは、平成24年度のことです。旅タクシーを開始する前に、当然呉市はJRと話し合いをした形跡がありますが、物別れに終わったのではないかと推測しています。何故なら、観タクンはあくまでも呉駅構内タクシー協会が対象であり、県タクシー協会呉支部が対象の旅タクシーとは加盟資格が相入れない、ということが先ず挙げられます。次に料金です。JRは格安にすることで、JR利用客増を図りたいとの思惑が当然あります。だから旅タクシーの料金設定は高いということでしょう。
 では、観タクンの料金を低廉化することで、通常料金の穴埋めをJRがしてくれるかといいますと、それは加盟タクシー会社が自ら被っているため、JRにとっては痛くもかゆくもありません。泣きを見ているのは呉駅構内タクシー協会の4法人です。では同協会が、この金額を受け入れられないと訴えて、運輸局に申請しなければよいのですが、そうすると、呉駅構内への入場特権をJRから剥奪されかねないという危惧を頂いているのでしょう。つまりJRに対して忖度していることになります。JRとしては、その強い立場を利用して暗黙の圧力をかけていることになり、独禁法違反の可能性があるのです。

 さて、両制度の統合が困難であれば、その料金格差を埋めるのは、サービスで勝負するしかありません。実際旅タクシーは、運転手自らが観光施設に乗客と一緒に降りて、無料ガイドすることになっているのです。これが観タクンとの最大の違いであり、呉市としては、このメリットを大宣伝に宣伝する必要があります。
 ところが、呉市はPRがへたです。呉観光ホームページ「くれナビ」を開いても、トップ画面から旅タクシーに行き着く道がありません。カスタマ検索で「旅タクシー」で検索すればようやく出て来ますが、呉市外から訪れる観光客が「旅タクシー」をキーワードにできるはずはありません。
 しかも旅タクシーのページい行き着いても、肝心なコース巡りの紹介文、そして観光資源の写真が掲載されていないのには驚きました。ただ、箇条書きで列記しているに過ぎず、味もそっけもないページに仕上がっています。せめて、チラシの両面をPDFで掲載するべきでしょう。本来ならば、コースの地図、観光地の写真と概要説明を記載するのが当然です。
 そして肝心なのは、「運転手の無料ガイド付き」、「通常料金より安価」と、お得感が感じられるようにする宣伝文句も皆無なのです。
 加えて、大和ミュージアムやてつのくじら館を訪れた観光客のために、そこを出発点とする視点が欠けています。大和ミュージアムから観光情報プラザまでは徒歩で5分はかかります。これでは不便極まりありません。出発点が大和ミュージアムであっても、帰着点は観光客の希望により、呉駅や呉中央桟橋、宿泊予定のホテルへの自由設定を可能にするべきでしょう。そのこともPRすべきです。
 また、大和ミューアムの指定管理者は日本旅行や凸版印刷が入っておりますので、そこと連携を密にしてパック商品化や、同施設内での旅タクシー案内チラシの配布やポスター掲示をするのです。更には、呉市旅館組合と連携して、必要な宿泊施設には案内チラシ配布やポスターを掲示すると効果は上がるでしょう。飛行機で広島空港に降り立ち、エアポートバスで呉市を観光に訪れた方は、ホテルに先ず直行される場合もあったり、ビジネスを昼間済ませてから、夜宿泊される方もおられますので、宿泊施設でのPRは一定の効果があります。その際は、ホテルまで旅タクシーに迎えに来ることも可能にするのです
 そして、ホテル接客係の職員に対して、旅タクシーの説明会を行ったらよいと考えます。
ところで、ここで切実な問題があります。運転手の無料ガイド付きを謳い文句にしたとして、本当に運転手がガイドできるのかということです。
 旅タクシーに登録するには、会社の代表運転手が呉市主催の研修会を受講する必要があります。毎年研修会は行っているようですが、1度講習したらその運転手の所属する会社は旅タクシーとして登録されますので、それっきりになっている可能性を否定できません。 ということは、同じ会社の運転手でも研修を修了した者と、していないものが混在することになります。しかも過去研修をした運転手が既に退職しているかも知れません。これらのことを呉市は全くチェックしていなかったことが、この度判明致しました。
 実は、観光客からくれ観光情報プラザに申込の電話があった際、登録9者のローテーションでタクシーを呼びますから、登録会社であっても、未研修の運転手が迎えに来る可能性も否定できない訳です。しかも、ガイドマニュアルも作成していなかったのです。この観光施設では、これだけは説明して欲しい内容を列記して、運転手に配布しておくべきでしょう。
 つまり推察致しますと、実際観光施設に乗客と一緒に降りてガイドしている運転手は稀なのではないでしょうか?これでは、「運転手の無料ガイド付き」はへたに宣伝すると、逆にトラブルになるリスクもはらんでいることになります。
 そこで私案では、この研修を徹底して受けてもらい、研修を受けた運転手の座席には、「無料ガイドOK」の如くステッカーを貼ることです。登録会社で誰が研修を修了しているのか、受講したのかも呉市においてデータ化することも必要です。
 ただこうなりますと、いくら研修費が無料であっても、その分多大な時間を使いますので、営業時間が削がれます。そのため、実際の運行料金との差額を呉市が予算化して埋め合わせる、即ち補助金を支出することを提案致します。そうすれば、呉市の大々的宣伝効果によ、利用客が増え、しかもタクシー会社にとって利用料金収入も安定するので、加盟会社が増えるでしょう。
 また、今後はコースの見直しも必要になって参ります。過去の利用実績を踏まえ、利用の少ないコースを他と統合したり、重複している施設のコースを統合したり、更に、「この世界の片隅にコース」や「日本遺産コース」を新設したりすることも大いに検討すべきです。
 私は、呉市が観光振興を図る上で一皮むけるためにも、このような改革を早急に検討することを、今後訴えて参る所存です。

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