街頭演説集

第108回 義務教育学校への早期移行

一体型小中一貫教育校から義務教育学校への早期移行を!

Facebook 2017.9.13

 一昨日は108回目の街頭演説。市長選出馬予定者の挨拶運動と重なりました。テーマは、小中一貫教育の方向性についてです。
 呉市は、文科省から小中一貫教育研究開発指定に係る助成金を受けた上で、全国でトップを切って一体型小中一貫教育校を開設しました。平成18年度の呉中央学園を皮切りに、21年度の警固屋学園、24年度の広南学園、25年度の倉橋学園がそれです。
 呉中央学園は、五番町小学校と二河小学校統合し、二河小学校と中学校の敷地を活用、警固屋学園は、隣接する警固屋小学校と警固屋中学校の間に自由通路を建設して往来を楽にしました。広南学園は、長浜小学校と小坪小学校を統合し、長浜小学校と中学校の敷地を活用、倉橋学園は、県立倉橋高校廃校に伴う跡地を県から安価に取得して開設したのです。
 一体型小中一貫教育のメリットは、1年生から9年生まで義務教育を同じキャンパスの中で実施することにより、大きく二つの効果があるといいます。
 第一は、小学校教諭が中学校生徒を教え、中学校教諭が小学校児童を教える、いわゆる小中乗り入れ授業が可能になることで、中一ギャップ解消に繋げることができます。
 第二は、縦の交流授業により、中学生が小学生を指導することで自尊感情を高揚させ、自信にも繋がり、小学生は中学生を範とすることで目標が明確になり、学習意欲が湧くことです。
 これらを更に具体化させるため、前期1年生から4年生、中期5年生から7年生、後期8・9年生という区分、いわゆる呉市方式と呼ばれる「4・3・2区分」での教育カリキュラムを確立し、全国の範となっています。
 その結果、学習成績の向上といじめや不登校の減少が、目に見える形で効果を現して来ました。そこで呉市は、小学校と中学校が離れていても同じ教育カリキュラムを実践することで、分離型小中一貫教育を推進して来たのです。但し、分離型は小中乗り入れ授業が一体型に比べて少なくなることは否めません。

 では一体型小中一貫教育校、具体的には呉中央、警固屋、広南、倉橋各学園は、一つの学校なのでしょうか?そうではありません。学園は愛称でしかなく、法律的には各々呉中央小学校と呉中央中学校という風に、別々の学校で、それぞれ小学校長と中学校長が人事発令されているのです。
 教育委員会は過去、「学園が愛称に止まっているのは法律が追いついていないため。いずれ将来法律改正がなされれば一つの学校となり『学園』は正式名称となる」と答弁していました。
 ところが、学校教育法が平成28年度に改正施行され、義務教育学校の設置が可能となったのです。それに伴い、初年度である28年度には、呉市とトップランナーを競ってきた東京都品川区を初めとして、全国22校が義務教育学校に移行しました。今年度は更に増え、来年度から移行する所も多々あるとのことです。
 そこで、先の9月定例会で私は、「小中一貫教育のトップランナーである呉市が何故、義務教育学校に移行しないのか?過去の答弁と矛盾している」と一般質問しました。
 すると市教委は、①校長が1名になるので、小学校長会、中学校長会のどちらにも出席せねばならず事務が増える②暫定措置はあるものの、小学校教諭と中学校教諭双方の教員免許を持たねばならず、人材不足-の2点を挙げつつ、「当面義務教育学校への移行は考えていない」と、過去の方針を転換したことを暗に認めたのです。
 しかし、これは児童生徒の教育効果を考えますと、教育事務負担という教員の立場を優先する本末転倒の理由です。
 例え校長の会議出席が増え、校長業務過多のデメリットよりも、校長が1人のため指揮系統が一本化され、組織の運営がスムーズに行われ、児童生徒への教育にも好影響を及ぼし、総合的に観て遙かにプラスとなります。しかも副校長が二人加配されますので、校長が過多の際は、副校長が代理で校長会に出席することは可能ですし、教頭会には、副校長が2名いるのですから、十分対応できる訳です。
 また、小学校教諭か中学校教諭の免許しか持っていない教諭は、県主催の研修を積極的に受けさせ、双方の免許取得が逆に進むことで、より中身の濃い小中一貫教育が早期に実現することにもなります。考え方が非常に消極的であり、全く逆です。
 加えて大きなメリットとして、6年生の卒業式と7年生の入学式が不要となり、文字通り1年生で入学、9年生で卒業を迎えることになり、9年間の一貫した教育が実践できることが挙げられます。この様な教育的効果を考えますと、デメリットを吸収してお釣りが来る訳です。
 このことを踏まえ私は、当初教委が構想に位置付けていた横路、蒲刈に加え、現実に小中学校が隣接している阿賀も含めて、早急に義務教育学校創設を目指すべきと訴えました。しかし市教委は、「これらをいきなり義務教育学校にする考えはないものの、一体型小中一貫教育校設置については、今後検討する」と答弁。これでは過去の一般質問から全く進展していないことになり、市教委の教育理念が極めて欠如していることを自ら露呈する結果となりました。
 ところで、1年生から9年生までの一体感を醸成するにおいて、本市の課題は給食問題です。即ち、音戸共同調理場を活用した倉橋学園や警固屋中学を除き、1年生から6年生までが自校調理たる食缶方式給食、7年生から9年生までが弁当箱方式と持参弁当併用の選択制デリバリー給食と、異なっているからです。これでは、一貫した地産地消や食育が実践できません。食は教育の根幹に位置付けるべきだからです。
 そこで、呉中央学園では調理場のキャパが不足していると過去の回答ですが、増設した場合のイニシャルコスト回収年数について問うたところ、「全く考えていないから積算は無意味」との答弁でした。また広南学園では現状のキャパでも中学生も食缶方式給食が可能であることを指摘。それに対しては「PTAと相談した結果、中学校はデリバリー給食を選択された」と、PTAに責任を転嫁する始末です。確たる教育理念があれば、逆にPTAを説得する立場であるにも関わらず、これでは市教委の責任放棄と言われても仕方ありません。
 結局、小中一貫教育における義務教育学校への移行、隣接小中学校の義務教育校創設等が曖昧になっているのは、本市が教育基本法第17条第2項に定められた教育振興基本計画を策定していないからです。
 平成24年6月、不肖による一般質問に対して当局は、「今度策定して行く」と答弁しておられます。その後昨年度、地方教育行政法改正施行に伴う呉市教育大綱策定がなされ、同時にそれに基づく呉市幼児教育振興計画を策定しました。特に後者の根拠である教育基本法第11条には、計画策定について触れられていないのです。更に今年度は、スポーツ振興計画や文化芸術振興計画も策定中です。
 これら新たな動きにも関わらず、未だ教育振興基本計画を策定していないとは驚きです。私は再度市教委に対し、同計画を策定するよう強く要請したところです。

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