街頭演説集

第109回 そごう呉店跡地の活用策

そごう公募売却における解体費への公的補助を問題視!

Facebook 2017.9.27

 去る9月19日は109回目の街頭演説。テーマは、そごう呉店跡地の活用策です。
 さて呉市は、去る9月8日の呉市議会総務委員会で、そごう呉店跡地の公募売却方針の概要を発表しました。そごう呉店を市役所に大規模改修して活用すればよかったと、市民の声をよく聞きますが、あの建物と敷地が呉市所有と勘違いされておられるケースが殆どのようです。
 建物は再開発ビルなので、㈱そごう・西武が77%の地上権を所有しており、呉市所有分は6階フロアと7階の奥、即ちKURE若者プラザが入居していた部分で、全体の19%が該当します。そのほかにも民間権利者が7者おり、最近まで営業を継続していた1階の酒店や喫茶店を初め、4%を所有していました。
 また敷地部分は、呉市が79%、そごう・西武が18%、日本通運㈱が3%を所有しています。
 さて、そごうが閉店してから4年半、何故今日までもつれたのか?これには二つの大きな理由がありました。
 第一は、そごう・西武は建物の売却方針を打ち立てたのに対し、呉市は一貫して賃貸での活用を模索していたことです。私はそごうと一括売却の有用性を主張して来ましたが、方針転換をしたのが、1年程度前だったのです。
 第二は、建物売却には9権利者の合意、即ち呉駅西再開発ビル管理組合としての統一した方針決定が必要です。そごう・西武や他の民間権利者から見れば、高く売却したいのは当然のことで、最高値を付けた事業者に売却する意向だったと推察されます。
 ところが呉市としては、再活用内容において、呉市の賑わい創出や経済発展の貢献度を尺度にしますから、この部分の合意に手間取りました。その間、事業者からの引き合いは続いていたようです。
 実は、この度合意に至ったのにはトリックがありまして、先ず、管理組合における9者の権利者を3者、即ち呉市、そごう・西武、日本通運に集約したことがポイントです。委員会ではこの点の詳細説明を当局がぼかしたため、私が追求しました。すると、日本通運を除く民間6者の権利床を、そごう・西武が一旦時価相場で購入することになったことが判明しました。これなら低価格で売却しても、大きな売却損は発生しません。これが合意に至った真相だと踏みました。但し、その分そごう・西武にはリスクがある訳です。
 では、いつ公募するのか、そのスケジュールは未定でした。理由は、民間権利者の内1者との売却手続きが遅れているとのこと。通常はスケジュールが固まってから、議会へ報告するものです。何故、先走って発表したかは、11月に実施される市長選挙に間に合わせるためだったことは、誰が見ても明らかです。
 ところで、公募売却に当たって、いくつかの条件が示されました。
 ①建物と土地を一括購入すること②建物を再活用するか、解体して建て替えるかは自由③床の5千㎡以上は商業施設として活用④内、3千㎡以上は飲食、物販とし、2千平方㍍以上は遊戯、ホテル、映画館、フィットネス等の賑わい施設とすること④所有権移転後1年以内に解体若しくは改修に着工すること⑤所有権移転後5年以内に創業すること⑥事業開始後10年間は提案内容通り遂行すること-です。
 例えば、現そごうの総床面積は約2万3千㎡ですので、同規模の建物に建て替えた場合、1万8千㎡はマンションにして転売してもよいことになります。
 そして、売却価格に最低制限は設定しないことが、最大のポイントです。
 一方、これまでの方針では、建物は一括売却、土地は借地というものでした。その際、大型商業施設再生促進事業制度を創設した上で、建物の改修費として、1/2、2億円を上限に公的補助するというものでした。この度は引き合い業者の意向も踏まえて、建物と土地の一括売却を英断しつつ、改修の場合は3億円を上限に引き上げ、改築の場合は、5億円を上限に補助する制度を検討しているとしました。
 この場合、マンション部分は転売して収益が発生し、所有権が移転されるため、補助の対象外としたところです。
 委員からは、「建て替える場合、解体費も補助対象とすべきではないのか?」と質問が出されたのに対し、当局は「対象となると思う」と答弁。そこで私が、「建物付き土地を購入する場合、直後に解体すれば、解体費用が控除され、地価が建て付け減価されるので、それはおかしい」と質問しました。対して当局は、「補助金が二重投資にならないよう、制度設計を考える」と、答弁修正に追い込まれたのです。
 また私は、「これまでは建物のみの売却方針だったことで、改修費用を平成27年度予算では2億円を計上していた。ということは、公募する際の事業者側の担保として、予算の裏付けが必要ではないか?その際は補正予算を組むのか、それとも公募仕様に、『補助金支出は議会の議決が条件』との文言を入れるのか?」と、核心を突きました。当局は「要綱を策定するので特に予算化はしない」旨の答弁でしたが、それでは応募者において不安が生じるし、そもそも議会は所有権移転後の予算を絶対否決しないとたかを括っていることになります。これでは議会軽視と言われても仕方ありません。
 この背景には、公募前に補正予算化しても、事業者が決定し、解体後の建て替え完了まで年数がかかるため、すぐ執行できないというジレンマがあるのです。これには答弁があいまいにされたままとなりました。
 いずれにしても、よい事業者が選定されること、できるだけ高値での売却となることを切に祈るものです。
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