街頭演説集

第112回 衆議院議員総選挙の結果分析

政党への政務活動費支出は違法!!

Facebook 2017.10.23

 本日は、112回目の街頭演説。昨日投開票された衆議院議員総選挙の結果分析をテーマに採り上げました。
 この度は、民進党が分裂し、希望の党への合流と立憲民主党が創設されたことで、自民党へ漁夫の利が舞い込んだ格好です。各選挙区では、自民党の対立候補として、希望の党と立憲民主党候補が乱立している所が散見され、この二人の得票を合計すれば、自民党候補を上回っているケースも多々見受けられました。
 その要因は、小池百合子希望の党代表が打ち出した「排除の論理」であることは明白で、憲法改正や集団的自衛権行使容認、消費税増税凍結等の踏み絵を踏まされることに反発した民進党リベラル派が決起した結果と言えましょう。ただ、政策が異なるのにただ数合わせすればいいという安易な考えも疑問を感じざるを得なく、ある意味で、排除の論理が間違っていたとも思えない伏しもあります。
 また、勢いのある希望の党が失速した原因の一つに、小池百合子代表が出馬しなかったからだ、との指摘もありますが、もし出馬していたとしても、それはそれで、都政を放り出したとして批判に晒されるのは必定です。以前大阪維新の会が国政に躍進した際も、橋下徹代表は国会議員ではなく、大阪府知事に止まりましたし、これは小池氏が東京都知事である図式と全く代わっていません。
 ということは、失速要因は他にあるようです。その筆頭に挙げたいのが、衆院解散後の去る10月5日に、希望の党の姉妹地域政党である都民ファーストの会所属都議会議員2名が離党会見を行ったことです。その2名は小池都知事誕生の立役者となった音喜多駿氏と、上田令子女史です。突発的なこの会見は、小池知事や希望の党にとって、少なくないダメージだったと推察されます。
 彼らは元々都議会において、僅か3名で「かがやけTokyo」の少数会派で活動しており、一昨年7月の小池知事誕生に大きな推進力として活躍されました。都議選後の昨年9月、小池知事を代表に地域政党「都民ファーストの会」が起ち上げられ、それに併せて今年1月、会派名を「都民ファーストの会東京都議団」に変更した経緯があります。
 その離党理由を説明する会見で、最も驚かされたのは、政務活動費を毎月15万円、都民ファーストの会に上納する義務が課せられていたことです。都の政務活動費は、全国議会で最高額であり、議員1人当たり月額50万円です。即ち、年間600万円にもなります。今年7月の都議会議員選挙で、都民ファースト所属の議員は55名に一気に膨れ上がりましたので、これを基に計算すると、年間9,900万円が都民ファーストに流れる計算です。
 ここでいう、お金の受け皿となる都民ファースト会とは会派ではなく、地域政党の方でしょう。何故なら、政務活動費自体が東京都では議員個人ではなく、会派に交付されますので、もし会派にストックされた場合は、その使途を明確にする必要があり、留保はできないシステムとなっているからです。政務活動費の余剰分は行政側に返金する義務があるからに他なりません。
 因みに東京都議会は、来年度から1万円以上の領収証を含めて会計報告がホームページでアップされますので、それを見ればこのことは確認できるでしょう。
 そこで彼らのいう、月15万円の上納というのは、地域政党たる「都民ファーストの会」という意味だと受け取りました。そして、その使途が「情報公開されていない」ことが、離党理由の一つに挙げられた訳です。
 ただ、私から言わせると、もし政務活動費が地域政党に流用されたとすれば、これは地方自治法第100条と東京都政務活動費交付条例に違反すると考えます。何故なら、地域政党は私的な政治団体ですので、それに都民の血税が原資となっている政務活動費が活用されることはあってはならないからです。ましてや、その使途が不明朗であれば、その公金が都民ファーストから国政政党たる「希望の党」へ流れ、この度の選挙資金として活用されたのではないかという、疑念が拭えないのです。
 不思議なことに、記者会見を受け、この問題を深く掘り下げたマスコミは皆無でした。政務活動費の不正流用が続発する今日、マスコミが採り上げないのは極めて奇妙と言わざるを得ません。選挙前にこの問題を採り上げることで、希望の党の更なるイメージダウンを避け、自民党に有利になるのを防ぎたかったのがマスコミの真意と言われても仕方ないでしょう。
 一方我が呉市の政務活動費は、議員1人当たり月額5万円ですから、都議会議員の僅か1/10です。それでもこれで足りているのは、都と比べて使い道がかなり制限されているからです。
 具体的には東京都議会や広島県議会、広島市議会等では、事務所費、それに伴う光熱水費、それに伴う人件費の一部について、政務活動費からの支出が認められていますが、呉市議会では一切不可です。理由として、議員個人の活動は私的な活動と解釈しているからです。これは裁判の判例でも示されています。ですから、熊本憲三広島市議会議員が雇用していない女性の人件費をカラ請求したとして、詐欺で書類送検されるようなことも起こりえません。
 加えて、議員個人を宣伝する広報紙の印刷や配布費用なども、上記理由で認めておりません。会派発行のみが認められているのです。ですから辞職した橋本健神戸市議会議員が刑事告発された様に、広報紙をカラ印刷して不正請求するような事件も起こり難い訳です。 この様に、議会毎に異なる政務活動費の使途が、問題を誘発する温床になっており、法律を所掌する総務省が全国一律の使途基準を示すことが重要で、私は過去何度もこのことを訴えて来たのです。
 繰り返しますが、地域政党が所属議員に対し、公金たる政務活動費を上納金として徴収することがあってはならないのです。この問題は、マスコミが大きく採り上げ、オンブズマンあたりが刑事告発するくらいの事態に発展させるべきではないでしょうか?
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