差別撤廃を標榜する人権啓発の公的支援策に差別が!
Facebook 2017.11.20
この推進母体は、地区自治会連合会単位に人権啓発・教育推進協議会を組織し、概ね連合会長が当て職で会長となっておられます。役員には民生委員、自治会長、PTA会長、校長、教頭、呉市行政職の一部が就任しており、事務局は呉市の一課が務めています。
その予算規模は年額2万円で、呉市社会福祉協議会からの助成金が充てられています。
ところが合併町には、これとは別枠で各15万円が呉市直轄で支出され続けて来たことが、先の決算委員会での私の質疑で初めて明らかになりました。その使途は、映画上映会開催費用です。鑑賞者は無料となっています。
具体的には、合併直後の平成17年度に音戸、倉橋、安浦町でスタートし、18年度に蒲刈、豊浜町を加え、19年度に川尻、豊町を加えました。以来毎年度7町分の105万円を予算計上していたのです。下蒲刈町のみは、上映会を開催しないと意志表明されたことから、予算は計上されませんでした。
問題は、「何故合併町のみが優遇され続けて来たのか?」ということです。「合併町の人権啓発・教育が遅れていたから、それを充実させるため」との答弁ですが、これでは全く理由になっていません。旧市内の地区人推協で啓発が進んでいるとは、どのような物差しで測ったのか、それも不明瞭です。
しかも、合併後にこのような不公平な予算を、即ち17年度当初は新規予算だった訳ですが、議会に全く説明しておらず、これまでも闇に包まれたままだったのです。と申しますのも、予算書には人権啓発推進事業全体費が記述されているのみで、この事業そのものは、合併前から継続していたため、全体では新規予算にならない訳です。人権啓発で差別をなくそうと謳っているのにも関わらず、旧市内と合併町間で差別があるとは、ジョークにもなりません。
私は、来年度から即刻本予算を廃止するよう訴えました。当局は決算委員会の場ではそれに答えず、後日更に追求しますと、合併町地域まちづくり振興事業補助金の改革に合わせて行うということが判明致しました。この補助金こそ、昨年度末の包括外部監査で不公平を指摘され、私も改革を主張し続けたものです。具体的には、合併町のまちづくり協議会に対してのみ、旧市内と別枠で毎年度300万円ずつが交付され続けて来たものです。
15万円を廃止されれば、担当部署の人権センターに批判が集中するため、企画課の300万円というもっと大きな不公平の改革の影に隠れようとする算段は明白です。振興補助金改革は一朝一夕にはできませんが、上映会支援費は、市長がその気になれば即廃止できる内容だからです。
一方、啓発事業131万円の内、残りの26万円は、毎年開催される人権講演会や12月恒例のヒューマンフェスタの事業費の一部に充てられます。
これは、「世界人権宣言」呉実行委員会との共催事業です。同委員会に対して、呉市から負担金が、予算26万円中10万円支出されています。他に呉市自治連を含む加盟26団体から各3千円の負担金、1個人から千円の負担金収入があり、計7万9千円、講演会の入場料が1人500円で約65万円の収入となっており、呉市自治会連合会副会長が会長を務めておられます。
方や28地区にある人権啓発・教育推進協議会を一つにまとめたのが、呉市人権啓発・教育推進連絡協議会で、これは呉市自治連会長が会長を務めておられます。つまり、似たような公共的団体が二つ存在することが判りました。しかも同一事業を主催しているのですから、これこそ一本化すべきでしょう。
そこで、何故二つ存在するのか調べてみました。呉市人権啓発・教育推進連絡協議会の前身は呉市同和教育推進連絡協議会で、「世界人権宣言」呉実行委員会と共に昭和59年に設立されています。その後平成14年6月、前者を現在の呉市人推連に発展的解消したのです。
これは、昭和62年度に施行された同和対策事業の根拠法だった時限立法たる地域対策財政特別措置法(地対財特法)が平成13年度末で廃止されたことに伴うことは明白です。法廃止後は、同和対策に特化することなく、広く人権啓発全般を行う責務が行政に課せられたことによります。
ということは、地対財特法廃止時点から、二つの人権組織を統合すべきだったと言えましょう。
因みに、呉市人推連の収入財源は、呉市社会福祉協議会からの助成金18万円、各地区人推協からの負担金2千円で5万6千円となっています。地区人推協負担金の原資は呉市社会福祉協議会助成金ですから、全て社協からの助成金ということになります。ならば、地区人推協は地区社協に包含せしめることも一法でしょう。同じメンバーが当て職を分担し合っている構図は、個々に負担になるので、スリム化を検討すべきです。
整理致しますと、今後の課題としては2点です。第一は、合併町と旧市内との不公平を是正すること。第二は類似する組織を統合することです。私は今後も実現に向けて精進して参る覚悟です。