街頭演説集

第128回 財政健全化

財政健全化計画なき姿勢は財政規律の緩みを拡大させる!

Facebook 2018.2.28

 昨日は128回目の街頭演説。テーマは財政健全化についてです。
 呉市は、前市長が平成19年度の財政集中改革宣言を発布し、20年度から24年度まで5年間における、財政収支不足見通し384億円を解消するために、財政集中改革プログラムを実践しました。その間職員と給与削減という痛みを伴う改革を断行し、市有財産売却を初めとする歳入の確保策が功を奏し、見事目標を達成したのです。
 ところが、人口減少に伴う税収減や、高齢化に伴う扶助費の増加、そして交付税の合併算定替え終了に伴う減収があり、10年後の平成34年度には100億円の収支不足が新たに見込まれるとの見通しが発表されたのです。つまり、改革を継続しなければ、再び財政難に陥ることを示唆したのです。
 そこで私は、平成25年3月定例会で、財政集中改革プログラム後において、手綱を緩めないために、新たな財政健全化計画を策定すべきと主張したのです。しかし当時の市長は、計画策定を見送り、職員体制再構築計画、アウトソーシング推進計画、公共施設再配置計画と、3つの個別計画で対応できると豪語したのです。
 この間、確かに財政規律が緩みました。既に財政集中改革プログラムの目標達成で、財政危機を脱したのだからとの安易な心理も働き、選挙対策も伴って大盤振る舞いを繰り返したのです。
 例えば、小中学校全普通教室への空調設備化です。これにより、夏場の扇風機による電気代が、これまでの年間40万円から8千万円に跳ね上がることになります。それから昨年10月からスタートした乳幼児医療費助成拡大です。これまで未就学児までの通院助成、小学生までの入院助成を市独自に行っていたのを、小学生までの通院助成に、中学生までの入院助成に拡大したのです。これにより年間新たに1億7,600万円が必要となります。そして、今年度から保育士採用の再開です。これはアウトソーシング計画に水を差すものであって、保育所民営化を加速していれば、旧交通局やごみの収集職員、調理職員同様退職者不補充施策を継続できたはずなのです。
 さて、当局は先の総務委員会で、平成30年度から34年度までの健全な財政運営の確保策を発表しました。但しこれには大きく二つの問題点があります。
 その第一は、財政集中改革プログラムの様に財政健全化を中心とする体系ではなく、同期間における第3次行政改革実施計画の中付けになっていることです。これでは、財政健全化への意識が高まりません。財政集中改革プログラムの際は、主人公が財政健全化であって、それに行政改革を附属させていたのです。
 具体的に第3次行政改革実施計画では四つの基本方針を掲げ、その3番目に健全な財政運営の確保が記述されたに過ぎません。因みに、基本方針①として、市民ニーズに対応しする行政サービスの提供、基本方針②として、効率的は行政システムの構築、基本方針④としては、職員の意識改革と能力開発としています。
 第二の問題点は、財政健全化の確保策には、収支不足を解消するための具体的な数値目標が設定されていないことです。歳入確保策や歳出縮減策における項目を羅列しているに過ぎません。財政集中改革プログラムが目標を達成できたのは、収支不足解消の目標値を先ず明確化した上で、それに対する具体的な対策に係る数値目標を掲げたからにほかなりません。
 つまり、この度の財政健全化は計画ではなく、第3次行政改革の中の基本方針にしか過ぎないのです。これでは財政規律の手綱を引き締めることは到底できません。
 実際、この度発表された今後5年間の財政収支見通しでは、109億円の収支不足が見込まれるとしているのです。これは単年度平均21億8千万円となります。財政集中改革プログラムを達成した時点での平成25年度から34年度までの財政集中見込みは単年度平均10億円ですから、当時よりも2倍以上見通しが悪化していることになります。
 つまり、当時、何もしないで通常の財政運営をすれば毎年10億円が不足すると予想していたことから、それよりも倍以上悪化したことで、この5年間、何もしないどころが、大盤振る舞いをしたと言われても仕方ない訳です。
 しかも、25年度から29年度までの財政健全化空白5年間に対する、総括や反省も全くありませんでした。これでは新たな財政健全化計画を策定できようもありません。
 
 一方、新年度予算案が現定例会に上程されていますが、新市長になって、早くも財政調整基金17億円を取り崩さざるを得なかったのです。市長はマスコミへのインタビューで、「新しい航海に出て、岸壁を離れたばかりの状況が新年度予算。今後は遠洋に乗り出して行く」とその決意を吐露されています。確かに青山クラブ関係予算は、新年度では耐震診断の2千万円のみですから、著についた軽微は予算となっています。それが今後全部保存するとなると、30億円、維持管理費で年平均9千万円もかかりますから、遠洋航海に出ますと、更に財政赤字が膨らむことが予想されます。
 実は、今後5年間の財政収支不足109億円には、青山クラブ全部保存や桜松館改修費7億円は含まれていないのです。ということは、更に財政収支か悪化することは予想に難くありません。
 加えて、平成23年度から52年度までの30年間を見通した共施設等総合管理計画では、ハコ物の総床面積を30%削減するという大目標を掲げているのです。青山クラブ全部保存への方針転換は、これとも矛盾していることは疑いの余地はありません。
 私は来る3月2日の予算総体質問において、市民を代表し、このことをぶつけて参る所存です。
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