街頭演説集

第145回 学校給食の地産地消

給食の地産地消推進は、学校給食協会が足枷に!

Facebook 2018.6.28

 去る6月25日は145回目の街頭演説。テーマは学校給食の地産地消についてです。

 先ず、学校給食の地産地消の意義については、平成17年に制定された食育基本法に基づいて策定された国の食育推進基本計画において、「学校給食を生きた教材として地産地消を進める」と明記されています。つまり児童生徒への食育は、学校給食の地産地消と表裏一体を成している訳です。
 では呉市の地産地消率はどのようになっているのでしょうか?市内産に限って言えば、平成25年当時で7.4%、29年時では4.0%と激減しています。これを県内産に拡げると25.4%となるから、先の私による一般質問において市教育委員会は、地産地消はなされていると強弁しました。これで地産地消を進めていると胸を張るのは、到底納得できません。先進市では市内産地産地消率が2割~5割であって、県内産では7割に達しているからです。

 では、何故地産地消が遅れているのか、と申しますと、旧市内では全小学校の給食材を一括購入する手段として、任意団体である呉市学校給食協会を窓口に据えているからです。これは呉市全額出捐の外郭団体で、事務局は教育委員会内にあり、事務局長は市職員の天下り先となっています。旧市内では、学校給食献立委員会が統一メニューを作成し、それを2ブロックに分けてメニューを提供することで、安定的な食材提供を図ろうとするものです。加えて一括購入することで、各自校調理場の事務が省け、価格が安価になるというのが、その設立の狙いなのです。
 食材を大量購入するということは、確かに経済的には効率的ですが、その分地場産食材の購入は遠のき、地産地消が進まないという弱点を抱えています。
 しかも、野菜、果物、肉、魚等はそれぞれ小売組合と随意契約で食材を納入しており、合併町でも地元の小売店から購入していますので、どこの産地で穫れたのかは定かではなく、これも地産地消が進まない要因の一つとなっています。
 小浜市では、校区内型地場産食材を提供しており、校区単位で地場産野菜や米を供給しており、校区内で賄い切れない場合は隣接校区に拡大し、それでも不足する場合は、市内全域に拡げる徹底ぶりです。勿論学校給食協会は存在しません。保育所、小中学校を含めて月単位での統一献立ではありますが、それをどの日に提供するかは、各校が自由なのです。この様に細かくメニューの提供日を変えていることが、キーワードです。
 東京都足立区では、自校調理場毎に食材を購入し、栄養士がメニューを工夫し、競わせることで、美味しい給食を提供しており、レシピ集まで刊行しました。この結果大幅に残食率が低下しました。当然学校給食協会はありません。
 呉市は過去の歴史から学校給食協会の存在は当然と思い込んでいましたが、設立当初は国策としても地産地消や食育推進の考え方そのものがなかった訳です。現在はこの流れに代わって来ていますので、学校給食会を一旦白紙にした上で、地産地消率向上策を検討する必要があるのです。もし将来解散できれば、それに係る人件費を節減できることにも繋がります。
 そこで、先ず学校給食協会が元々存在していなかった合併町でモデルケースを作って実現性を高めて行く努力が求められます。音戸学校給食共同調理場では倉橋生産組合から一部の食材を直接購入しています。これは産地直送なので、農協や市場という流通マージンが省け、価格が安価となります。更には地場農家の方を招聘して食育事業を推進することも可能となります。
 農林振興課と協力して、農協との調整を図りつつ生産組合から納入する方式を食材単位で少しでも図れる様に検討すべきでしょう。川尻小中学校は親子方式、安浦小中学校は自校調理方式、蒲刈、豊浜、豊各小中学校では蒲刈学校給食共同調理場が、各々食材を発注しているため、地産地消を進める素地があるという訳です。特に蒲刈共同調理場では、地元産の藻塩を一部購入し通常の価格の半額となっており、地産地消の見本となり得ます。

 一方呉市は、私が訴えて来たこともあって、今年度から旧市内の小学校においては、週5日の内、4.5日の割合での準完全米飯給食となりました。4.5日というのは月2日程度を主食としてパンか麺類にするという意味です。因みに、昨年度までは週2.5日だった訳です。
 私が平成25年9月の一般質問で提唱してから、実現まで実に4年半もかかりました。時間を要した理由は、米の購入先である公益財団法人・広島県学校給食会との調整に手間取ったからに他なりません。これまで呉市学校給食協会は、米とパンを一貫して県学校給食会から随意契約で購入して来ました。県学校給食会は、呉市内の指定業者から呉市学校給食協会に米を納入します。その業者に炊飯業務を随意契約で委託するため、同業者が不足する炊飯釜を新たに設備投資する必要があったのです。
 結局、県学校給食協会が米の販売権を独占的に握っているようなもので、流通マージンも発生しています。しかも、これでは米の産地は全く不明であって、地産地消は成り立ちません。
 では何故、米を県学校給食会から購入せねばならないのかと、市教委に糺したことがあります。すると、昭和51年の学校給食法施行規則改正に伴った、同年の文部省体育局長通達が根拠だと言います。それは「特殊法人・日本学校給食会が食糧庁から特別価格で買い入れた玄米をとう精または加工した上で、都道府県学校給食会を通じて学校や共同調理場へ供給すること」と、あるのです。
 ところが、国が生産者から買い入れる食糧管理法は平成7年に廃止され、同年度からは民間供給を調整する食糧法に衣替えしているのですから、現在は意味がないと考え、私が文科省学校給食係に問い合わせますと、この通達は平成14年に廃止になっていることが判明致しました。つまり、県学校給食会から購入する義務付けは解かれていたのです。ということは、呉市学校給食協会が業者と直接取引して構わないことになります。
 であれば、米飯給食を拡大する際、県学校給食会と調整しなければならない理由はなかったのです。

 今となっては、市内業者が炊飯釜を購入されたので、今後の課題となりますが、委託炊飯ではなく、自校調理場や共同調理場毎に自ら炊飯を行う自所炊飯にすることを検討すべきでした。
 滋賀県竜王町では、呉市の様に準完全米飯を導入した際、共同調理場で家庭用炊飯器を必要量購入し、自所炊飯致しました。因みに米は、地元の有機栽培生産者から農協を通じて、滋賀県学校給食会時代よりも安価に購入しています。
 導入当初、炊飯器購入の他に炊飯棟を建設しましたので設備投資は必要だったもの、炊飯炊飯よりもkg当たりのコストが、炊飯に係る新規雇用した嘱託職員の人件費や光熱費を含めても、59円から39円に節減できるため、投資分も吸収でき、結果的に安くつくというのです。食材購入に係るその余剰分を、例えば魚類を増やすことにも回すことができた可能性もあります。
 肉類から魚類献立に大幅変更した、長野県上田市の学校給食では、当時の大塚貢校長の功績により、児童の健康状態が良好になり、学力もアップ、いじめや不登校も激減したのです。地産地消と食育が最重要だということなのです。
 呉市では蒲刈共同調理場のみが自所炊飯となっており、私は他地区でもこれを拡大する様訴えました。自所炊飯であれば、温かいままの美味しいご飯を食することができる訳です。
 いずれに致しましても、地産地消と自所炊飯、そしてパンや麺類を廃止して完全米飯給食の実現に向け、今後も訴えて参る所存です。

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