街頭演説集

第144回 青山クラブ等の財産取得

青山クラブ保存ありきの方針は末代にまで禍根を残す!!

Facebook 2018.6.19

 昨日は144回目の街頭演説。テーマは青山クラブ等の財産取得についてです。

 最初にこの話が呉市議会に報告されたのは、一昨年12月定例会中の総務委員会でした。国が青山クラブとその別館である桜松館(おうしょうかん)を土地付きで一括売却する際、公共随意契約を呉市に打診して来たのです。前市長はこれを観光交流拠点施設として転用する目的で、内諾された訳です。
 当時は、国による売却時期を1年後の平成29年12月としておりましたが、当初の方針である青山クラブを解体する案に対し疑問の声が市民や議会から出されたことで、見直しを検討していた矢先、昨年11月に市長選挙があり、新市長が青山クラブ保存へ舵を切ったことで、去る5月に売却時期が延びたのです。その間呉市は、29年度当初予算である取得費3億3千万円について、年度末に繰越明許費を設定し、越年度執行となった次第です。
 ここで先ず、自衛隊音楽隊が近年まで使用していた桜松館は耐震・老朽改修を約7億円かけて実施した上で、音楽を嗜む喫茶・軽食堂や土産物売り場を誘致するとの当初案は、新市長になっても変わっていません。
 本館である旧自衛隊集会所、戦時中は下士官兵集会所と呼び、その家族らを含む厚生施設でした。これは平成4年度に建て替え、国が耐震診断を行った結果、否の判定が出されていました。鉄筋コンクリート造で、地下1階、地上3階建てで総床面積は1万900㎡もあります。

 さて、先月行われた見積もり合わせを3回実施した結果、国の鑑定評価に基づく予定価格を上回り、2億300万円で購入価格が決定し、現在仮契約を締結しており、財産取得議案が現在開会中の呉市議会定例会に上程されています。
 では何故、3億3千万円の予算額と大きな乖離が生じたかと申しますと、当初は桜松館を財産価値があると判断して購入することで、建物価格を上積み、逆に青山クラブは財産価値がないので解体することで解体費を控除した結果、3億3千万円に積算しておりました。ところが昨年度、600万円の予算を組み、正規の不動産鑑定評価を実施した結果、桜松館も青山クラブも財産価値がなく、どちらも取り壊して活用することが最も有効な使用方法である、即ち「取り壊し最有効使用」と判断されました。このため、建物を解体しようが改修して保存しようがに関わらず、双方の建物解体費を土地価格から控除するのが妥当となり、呉市は2億700万円と評価していたそうです。
 国も同様の鑑定結果を得て、予定価格を積算し、それが呉市の評価より低かったことで、2億300万円での決着となった訳です。

 ところで問題は、青山クラブ保存の方針です。新市長は耐震診断結果を待つものの、原則保存ありきとしましたが、この活用策が未定のままなのです。市民団体からは、ゲストハウス、映画館、市民交流スペースとの提案が出され、これも参考にして活用策を検討するとの答弁です。実際宿泊施設と市民交流スペースが有力候補となっています。
 耐震・老朽改修に30億円もかかりますが、この度の土地取得費を含め、これは合併特例債を活用します。これは平成31年度までだった活用期限が、先般国の方針転換により5年間延長されたことで可能となりました。改修にはこのほか、国庫補助金やふるさと納税、クラウドファンディングを駆使して、できるだけ市民に負担をかけない旨を、私の議案質疑に対して答弁しました。
 しかし維持管理コストは、向こう30年間で28億円、即ち年平均9千万円もかかるのです。これは半永久的に続くばかりか、耐用年数は既に超過しているのですから、早晩取り壊しの憂き目に遭いましょう。しかも、宿泊施設や交流スペースを設けようものなら、前者は赤字分を税金で補填せざるを得ず、後者は人件費たる業務委託費が別途かかりましょうから、これも税金を新たに使うこととなって、維持管理費は更に膨張するのは目に見えています。おまけに、維持管理費には国庫補助が適用されませんし、ふるさと納税やクラウドファンディングでは賛同を得難いと推察されます。
 加えて、桜松館の維持管理費は現段階では積算しておらず、これも別途必要となるのです。公共施設等総合管理計画では、平成52年度までに、現在のハコ物施設の総床面積を3割縮減すると謳っているのですから、これと相入れない愚策であることは明かです。
 青山クラブを保存活用するなら、その活用方法について、費用対効果をクリアする形で示し、議会に納得いく説明が先ずはなされるべきでしょう。

 一方私は、青山クラブ全部保存では投資効果は到底見込めないとし、アニメ映画「この世界の片隅に」の大ヒットを活かし、その一部外壁を保存することを提唱しています。そして中庭部分に戦艦大和大型試験機を設置すれば、大和ミュージアムやてつのくじら館に来館した多くの観光客が訪れ、隣接する国の重要文化財である入船山記念館や美術館にも人々が足を運ぶことで、周遊性が増し、宿泊型観光への転換と中央地区商店街の活性化に繋がると訴えて来ました。これこそが、市長の唱えるくれワンダーランド構想に資するものと言えましょう。
 この大型試験機は長さ28m、高さ5mもあり、あの戦艦大和1/10模型よりも大きいのです。これを広島大学から無償で譲り受け、現在アレイからすこじま駐車場に、分解してシートを被せられ放置していることを忘れてはなりません。前市長はこの貴重な財産を正に宝の持ち腐れ状態にして来ました。この青山クラブ取得を絶好機と捉え、大型試験機の展示計画策定に向け、同時着手するべきなのです。
 先日の将棋対局において、藤井聡太七段の着手を、どのコンピュータも一時は悪手と判定しましたが、その10数手後に出現した常識を覆す着手を見て、ソフトが反省し、一転藤井勝勢と診断しました。この一手はプロ棋士もAIでさえ気付かなかった神の一手と絶賛されたのです。AIを凌駕したとも言われています。政治には、先を見越した正しい洞察力や決断力、即ち先見の明が必要不可欠なのです。

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