街頭演説集

第143回 中央公園防災整備事業

中央公園防災化における基本計画と基本設計の誤魔化し!

Facebook 2018.6.16

 去る6月13日は143回目の街頭演説。テーマは中央公園防災整備事業についてです。

 呉市は昨年11月に、中央公園防災整備に係る基本計画を発表しました。実は、平成28年度に防災公園化に係る調査費500万円が組まれており、このコンサル結果を受けて、29年度に基本計画案を議会や市民に公表し、修正を加えて基本計画を決定し、これに基づき、初めて基本設計を発注するのが正しい手順です。
 私は29年度に基本設計を発注するまでの、できるだけ早い時期に基本計画を公表するよう、何度も当局に要請しておりました。
 ところが、11月の呉市議会産業建設委員会で私は、基本設計費が今年度組まれているが、いつ発注するのか問うたところ、何と2ヶ月前の9月に既に発注済みだったことが判明したのです。ということは、ここで議論しても既に遅い訳です。おまけに、市民説明会が30年1月に開催されました。
 ここでも、市民の意見を聴くと言いながら、ガス抜きの場になったと言われても仕方ありません。

 では何故、基本計画の発表が基本設計を発注した後になったのでしょうか?
 それは防災公園化することで、現在ある噴水池がなくなり、憩いの場としての存在意義が大幅に薄れ、市民の反発を恐れたことが容易に推察されます。実は発表した昨年11月は、市長選直後だったからです。
 防災公園というのは、大規模災害時に市民が避難することを想定しています。であれば、現在の噴水池は周囲の地盤と比べ低くなっており、避難所に不向きであるばかりか、池が邪魔して市民を収容するスペースが確保できません。因みに現在の池の深掘り構造は、洪水の際雨水を一時貯留する機能を有しておりました。この度の計画では、災害時に避難場所として活用するため、市役所庁舎と同じく標高4mにしてフラットなスペースを確保することが柱になっているのです。
 何故4mかといいますと、南海トラフ大地震による津波の想定高さは1.6m、満潮時の標高2mを加えますと、36mとなり、それより高く設定することが、災害対策としては必要だったのです。
 つまり、防災公園化は公園本来の目的である、憩いの空間と異なるベクトルを向いている訳で、市長選挙前に基本計画を発表すると選挙に不利になると考えた前市長が、公表を選挙後に遅らせるよう当局に指示したことはほぼ間違いありません。

 ところが新市長になって、今年1月の市民説明会で様々な意見が出たことで、その場でアンケートを取り、それを踏まえて基本計画を敢えて修正したのでした。その内容が去る5月31日の産業建設委員会での行政報告で示されました。
 それは今年1月時点と比べ、市民意見を反映し、憩いの空間を加えたものに修正していました。即ち自由広場を三分割して、キッヅ広場と多目的広場を新設し、自由広場内に屋根付きテラスを2箇所、屋根付き休憩所を2箇所新設するというものです。更に県が整備を予定している内神川分水路と自由広場との間に園内道路を位置付け、その内側に分水路との勾配を緩和するための緑地帯を設けます。
 既存計画では、園内道路を自由通路内に格子状に位置付け、勾配を緩衝するための緑地帯をできるだけ外側にしていたことから、この度の修正では、自由広場面積がその分小さくなっていました。つまり、憩いの空間を確保するため、かなり防災機能が縮減されたと言えましょう。
 既に基本設計が発注され、それは今年9月までが納期となっているため、残り僅か3ヶ月での計画修正は、設計受託業者にとっては大いに不利になります。それでも契約金額変更は行わないとの強弁が当局からありました。受注業者を説得したに違いなく、正に業者泣かせです。
 しかも、この度の修正変更を基本計画の見直しと言わずに、「基本設計の考え方」として公表したのです。おまけに昨年11月時点で議会に報告した際には、「基本計画」としていたのが、今年1月の住民説明会時点でこれを「基本計画案」とし、3月に「基本計画」を発表したと説明しておりました。これらは言葉の魔術であって、選挙を意識した上での全て詭弁と言えましょう。

 そこで私は、昨年6月に基本設計を発注した際の基本設計業務仕様書を情報公開請求致しました。何と、その業務目的には、次の如く記述されているではありませんか!即ち、「中央公園防災整備事業基本計画(平成28年度)に基づき、・・・・公園として再整備に向けた基本設計を行うものである。」・・・・驚きました。基本設計発注は基本計画決定後にするのは当然としても、その計画そのものが、既に平成28年度中に策定されていたことが判明したのです。
 呉市が議会に対し、平成29年11月に基本計画をようやく発表したのは、少なくとも8ヶ月近く遅れていたことになります。それを市民意見を聴取して基本計画を策定したのが30年3月だというのです。その内容は議会に発表されておらず、それが報告されたのが30年5月31日だったのです。しかもその際は基本計画と敢えて言わず、「基本設計の考え方」として、誤魔化しているのです。基本設計の見直しと表現しなかったのは、請負業者との契約変更問題が出て来るからにほかなりません。
 大体基本計画策定前の基本構想は、平成25年度に発表されているのですから、市長選挙をまたぎ、前市長の選挙対策としての意図が色濃く滲み出た結果と言えましょう。その上で新市長も次期選挙を意識してか、市民意見を十分採り入れて、憩いの空間を増やしたと言われても仕方ないでしょう。
 選挙に有利な施策の発表を、例え煮詰まってなくても勇み足で行ったのはそごう呉店跡地活用です。この度はその逆で、選挙に不利な施策の発表は、選挙後に後回しするという身勝手な手法が浮き彫りになりました。施策を選挙の道具にしては決してなりません。
 来たる6月27日(水)には、この基本設計に係る市民説明会が開催されます。昼の部は14時から、夜の部は18時から、いずれも市役所1階のくれ協働センター会議室となっていますので、ご関心のあられる方は是非お越し下さい。

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