街頭演説集

第149回 JR呉線の長期運休

 本日は149回目の街頭演説。手違いのため、幟と襷抜きでの実施となりました。テーマは豪雨災害におけるJR呉線の長期運休についてです。

 この度の豪雨災害では、各所で土石流や土砂災害が同時多発的に発生し、公共インフラが破壊され、復旧がかなり遅れています。主要幹線道路が徐々に復旧を遂げつつある中で、人員輸送の大動脈であるJRの多くの区間が運休に追い込まれた結果、道路が大渋滞に巻き込まれています。
 特にJR呉線の再開見通しがようやく発表され、海田市~坂間は8月、坂~広間は11月、広~三原間は来年1月と、最長半年間不通になることが判明しました。
 その間去る7月17日(火)からは、呉線災害時緊急輸送バスや呉線災害時緊急輸送船が、各々呉駅と呉港から広島駅と広島港までを往復することが決まり、同時に呉駅から広島バスセンターまでのバス運行もスタートしました。いずれもJRの定期券や回数乗車券があれば無料となります。
 その後21日(土)からは、広駅~広島駅間の直行便による鉄道代行バスが運行し、呉線災害時緊急輸送バスも鉄道代行バスに切り替えられ、午前中と夕方に限られていたのが、1日中乗車が可能となりました。加えて、定期券や回数券を所持していなくていも、その都度乗車券を購入すれば乗車が可能です。更に、呉駅~広島駅間については、水尻駅まで各駅停車となり、途中駅から乗車される方も利用できるようになったのです。

 ところで、JR定期券の払い戻しについて、JR西日本のホームページを見ますと、簡単には見つけられない所に小さく記載されており、しかも「詳細は係員に相談下さい」と曖昧な表現となっています。これは、定期券の払い戻しは積極的に行いたくないとの意図が透けて見える訳です。
 更に、緊急輸送バスや鉄道代行バスに乗るまで、その間の日割り分は払い戻しが利くのかとの素朴な疑問に対しても、JRは説明責任を果たしていません。この件については、呉市災害対策本部からJRに問い合わせてもらっているところです。

 またJRは、本日23日(月)から、広駅~呉駅間の鉄道代行バス運行を目指し調整中と発表しながら、結局当日になっても実現を果たせませんでした。これは新広駅、阿賀駅に途中停車するもので、JR定期券や回数券所持者には無料となり、所持していない方もその都度乗車券を駅で購入して頂ければ乗車できるというものです。広島電鉄に委託したり、他社からバスをチャーターし、運転手を確保する等の調整がつき切れなかったものと推察しています。
 私は、更に広以東、即ち仁方、安芸川尻、安登、安浦各駅から定期や回数券を使って乗車する通勤や通学者に対しても、定期券等が活用できる鉄道代行バスの運行を、呉市災害対策本部に要望しました。そこで呉市は、国や県を通じてJRに働きかけを継続してはいますが、まだ決まっていません。
 そこで、安浦駅から広島方面への通勤や通学手段の道筋を、呉市が昨日、JRに成り代わって図式作成しました。本来JRが示すべきでしょうが、他社との連携もあるため、積極的な姿勢は感じられません。
 具体的には、安浦駅からは安浦交通が運行している生活バスを復旧させており、終点たる川尻小用バス停に着きます。そこから既存バス路線である広電による仁方川尻線に乗り換えます。そこから広駅で降り、広島駅直行の鉄道代行バスに乗り換えるか、呉駅で降りて広島駅若しくは広島バスセンター行きの鉄道代行バスに乗り換えるかのどちらかを選択することになります。
 但し、広駅までの区間は、例えJR定期券や回数券を所持していても、現段階ではそれらが利用できません。これではJR呉線のお得意客に対して、極めて失礼な仕打ちと言われても仕方ないでしょう。

 一方、このような状況ですので、せめて広駅~呉駅間だけでも列車を走らせて欲しいとのご要望が市民から出されていました。
 と申しますのも、JR呉線の運休理由として、水尻駅周辺が被災して線路が寸断されているのは、報道でよく聞くところですが、他の被災箇所についてはJRがきちっと公表していないからです。そこで私が呉市を通じて、JRに問い合わせたところ、複数箇所に崩落箇所があるというだけで、具体的な箇所は明らかにされなかった経緯があるのです。
 そこで、現在列車が停車している安登駅から呉駅若しくは広駅間を走らせられない理由について追求しました。するとようやくその運休理由を説明されたのです。
 それによると、

  1. 総合指令所において運行管理や信号制御しようにも、各所でそのための回線が断絶している
  2. 車両を安全運行するための法定点検するための検査施設が広島駅近くにあり、列車をそこまで移動てきない

と2点の理由があるとのことです。これらも私が要請して初めて、JRが説明責任を果たしたと言えましょう。

 結局、呉市災害対策本部とJRとの連絡調整が殆どできていなかったのです。JRの運休問題は自治体を超えて広域に亘りますので、広島県災害対策本部が調整を行っています。となれば、県と呉市の災害対策本部同士の情報共有を図り、連絡調整を蜜にする必要あるのです。
 またJRは、呉線災害時緊急輸送船、即ちJR定期や回数券があれば無料で乗船できる呉~広島間フェリーを、乗員が少ないため、廃止も視野に検討している伏しも伺えます。民間企業ですから、採算の合わない交通手段は切り捨てられる訳です。
 となりますと、広駅以東の鉄道代行バス運行は厳しいのではないかと思えてなりません。そこで呉市長が国に対し、災害救助法による財政支援の適用範囲拡大を要望すべきなのです。本来災害救助法に指定されると、災害復旧に係るソフト事業において、国や県が財政を肩代わりしてくれます。例えば自衛隊が派遣されて入浴支援したり、病院への代替輸送とかはその対象となりますが、民間事業は福島第1原発の時もそうであったように、民間事業者の責任で対処するのが原則となっています。ですから、JRとしても費用対効果の見込めない災害対策に、後ろ向きとなるのはやむを得ないことは理解できます。
 但し、JR線が長期に亘って運休するというのは、未だかつてなかったことです。政府においても想定外だったはずで、私は呉市に対し、災害救助法による財政支援適用範囲の拡大を訴えました。即ち、鉄道代行輸送の赤字補填を想定しています。去る21日(金)は、安倍総理が来呉して視察し、その際呉市長が要望書を手渡されましたが、この内容は恐らく含まれていなかったと推察しています。
 この度の被災はJRの損害も多々ありますが、それを利用していた市民も通勤や通学が足枷にされ、不利を被っている訳です。西日本豪雨災害が法制定後4番目、豪雨災害では初の特定非常災害に指定され、市民の行政手続きを緩和するのですから、是非国として検討してもらいたいものです。

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