街頭演説集

第150回 災害ボランティアの在り方

呉市は、災害ボランティアへの支援強化を!

Facebook 2018.8.2

 去る7月30日は、150回目の街頭演説。7月6日を中心とした豪雨災害の爪痕が深く残る中、テーマは災害ボランティアの在り方についてです。

 呉市では、天応、川尻、安浦の3地区において特に被害が大きく、市災害対策本部内に、先般地域特別対策チームを起ち上げました。略してTKYです。天応、川尻、安浦の頭文字を取っています。
 そこで先日天応地区の被災状況を視察し、ボランティ活動の現場を訪ね、直接生の声を聴かせて頂きました。

 ボランティアは、弁当や飲料水を持参の上で参加することが条件となっています。ボランティアセンターを司っている呉市社会福祉協議会のホームページにも、このことが記載されています。いわゆる手弁当が原則です。しかしながら、日々この炎天下で土砂を掻き出しているボランティアはいくらでも飲料が欲しい訳です。
 くれ災害ボランティアセンターでは、救援物資の内、ボランティアに提供するのはスコップ等の作業用器具類で、外部から届いた物を適宜ボランティアセンター・サテライトに送っています。水もその一つです。特に断水時では、水と氷がサテライトにとって最重要で、天応においては、断水が解除された以降は水よりも、寧ろ需要はポカリスエットやジュースと共に氷でした。
 この様なドリンクが救援物資として届いても、避難住民に優先的に回すということで、水以外は氷も含め、当初は一切サテライトには送られていません。そこで、地元のボランティア受け入れ有志の方々が率先して、氷やドリンクを調達して来た経緯があります。それも当初は有志が自腹を切っていました。
 その後は、道路事情の回復等で、スーパー等企業から飲料水や氷を調達できるようになりました。7月25日(水)にようやく、氷を保存しておくストッカーが天応市民センターと天応サテライトに入りました。社会福祉団体から借りて来たものです。お金がないので、やりくりが大変ということでした。これらは、くれ災害ボランティアセンターを事実上切り盛りしている、呉市社会福祉協議会の努力の賜と言っていいでしょう。但し、地元受け入れ世話人との連携がうまくいっていないこともあって、逆に内部で混乱も生じているようです。
 ここで、ボランティアのためを思って、地元受け入れ世話人が、水以外のドリンクをくれ災害ボランティアセンターに要求するのも理解できないものではありません。勿論、現場で汗を流しておられるボランチティアの方々にとっては、水よりドリンクの方がよいでしょう。ただ、ボランティア登録して活動しておられる方は、当初から手弁当という覚悟を決めてお越しになっておられます。だからそれば水であったとしても、文句は言われないと思いますし、実際不平不満の声は上がっておりません。
 つまり、作業をされる外部から来て下さったボランティアと、それをもてなし、受け入れようとされる地元有志世話人との意識のギャップがあると言わざるを得ません。

 このことが、天応サテライト移転において、如実に表れました。
 7月22日(日)から、ボランティア活動の拠点たる天応サテライトが、天応市民センターから天応ポートピアパーク内にある電気設備棟に移転となりました。これは、①行政窓口が混乱をきたさずスピーディに事務を行えるようにする②3階に併設している天応まちづくりセンターには避難民が生活を強いられているため、平穏さを保つ-この2点が理由でした。
 勿論地元の自治会連合会には、事前説明をして了承を取っていたのですが、地元のボランティア受け入れ有志に伝わっていなかったことで、これも一波乱あったのです。
 移転することにより、昼食時にポートピアまで市民センターから400m区間を歩いて行き、そこで冷房完備の大会議室で食事休憩するボランティアは皆無です。昼時には、市民センター前に地元世話人が調達して貼ったテントの中に、大型扇風機を回して食事を摂っておられます。隣接の市民センターに入れば冷房は効いていますが、トイレを除いて入れないように規制されているのです。
 活動が終わって、ポートピアのサテライトに帰っても、炎天下の中で立ったまま、冷たいドリンクを飲まれ、そのまま帰途につかれます。冷房完備の大会議室には誰も入ろうとしませんでした。
 また、16時からは隣接の敷地内で、自衛隊による入浴サービスが始まりますが、1回に20人程度しか入れません。これは、天応市民センターと天応小学校体育間で避難生活を強いられている方を、送迎バスで20時半まで4回に分けてピストン輸送してサービスを提供しているものです。よって、ボランティアは入浴する枠はありません。尤も、それを望んでおられるボランティアも殆どいないでしょう。彼らは地元救済のために、肉体労働を率先して自発的に提供しておられるのです。

 結局は、天応サテライトの組織体制が確立していないことが、混乱の要因だと考えます。事務的には、呉市社会福祉協議会から派遣された職員が殆ど休む間もなく、くれ災害ボランティアセンターとの調整をこまめに行っておられます。
 しかしながら、責任者がおられません。各自治会長はボランティアを案内する役目を既に担っておられますので、自発的にお世話をなさっておられる地元有志の方を責任者に立て、社協職員を事務局長に明確に位置付け、市民センター長との連携を強化する手段もあったかと思うのです。であれば、サテライト移転の際にも、共通認識の下で課題を整理し、混乱なく事を遂行できた可能性は捨て切れません。
 行政は、ボランティア受け入れ地元有志世話人の声に、真摯に耳を傾けることが大切です。ここの歯車が合っていないと、ボランティアが機能せず、結果的に、本来目的である民地土砂の撤去作業に悪影響を及ぼしかねません。行政とボランティアの仲介を自主的に担っておられる地元有志世話人に対し、十分配慮すべきでしょう。
 先般呉市議会で、会派幹事長等による初の災害連絡調整会議を議長が招集されました。この中でも、ボランティアに格段の配慮をする旨の要請があり、反対意見は出ず、議長要望書に盛り込まれました。
 7月31日付けに議長名で市長に提出された「平成30年7月豪雨に関する要望書」には、最後の10番目に「災害ボランティアについて」と題し、財政措置を含め、活動支援を強化することと、活動し易い体制づくりを行うこと、と明記しているのです。
 災害対策本部も、てんやわんやで過熱状況だというのは勿論理解しております。しかしながら、災害ボランティアに対し冷たいと言われてはいけません。呉市として、ボランティアへの支援強化を切に求めるものです。

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