街頭演説集

第157回 グリーンピア指定管理を巡る訴訟合戦

グリーンピア泥沼訴訟、呉市原告事件は全て勝訴が確定!

Facebook 2018.9.22

 去る9月18日は157回目の街頭演説。テーマは、「グリーンピアせとうち」の指定管理に係る訴訟合戦です。

 これは現在の指定管理者・㈱休暇村サービスではなく、前指定管理者である㈱ゆうとぴあセトウチと呉市との間で争われている民事訴訟です。ゆうとぴあセトウチが原告で呉市が被告となっている事件が4件、逆に呉市がゆうとぴあセトウチを訴えている事件が3件あります。
 この内、呉市原告の3事件が共に、呉市勝訴が確定しました。この3件は、共に昨年8月17日に提訴し、今年6月15日に呉市一審勝訴の判決が出ました。その後被告が期限内での控訴をいずれも断念したため、呉市勝訴が確定したものです。

 事の経緯を説明致します。呉市は所有するグリーンピアせとうちを民間企業に管理運営させるため、平成17年10月から3期に亘って、ゆうとぴあセトウチと指定管理協定を締結して来ました。
 第1期指定管理期間は、平成17年10月から22年度末までの5年半。第2期期間は平成23年度から27年度までの5年間です。この間、当初の固定資産税に相当する年間3,200万円を指定管理者負担金として、同社から呉市に納付することが基本協定に盛り込まれました。加えて、これでも黒字が出た場合は、収益の10%を呉市に納付することで合意しました。
 第1期期間は、経営が順調満帆で収益が出ていましたが、第2期期間に入ってからは赤字に転落したのです。
 このため同社は、第2期期間の最終年度を黒字化するため、指定管理者負担金の分割払いと水道料金を滞納するところとなりました。水道料金は遅れての分納に応じましたが、結局第2期期間の最終年度末には470万円が未払いのままに終わってしまいました。合わせて指定管理者負担金も、同年度末で1,770万円が未払いになったのです。
 そこで呉市は、グリーンピアせとうちの在り方を抜本的に見直すため、そのための猶予期間を2年間に設定し、平成28~29年度を第3期として、ゆうとぴあセトウチと非公募で指定管理協定を締結したのです。その際、同社の経営が厳しいため、指定管理者負担金を免除したのでした。
 ところがこの間、水道料金は一切支払わず、アルバイト料の遅滞、取引先企業への未払いが続いたのです。因みにこれは、私が平成28年12月定例会での一般質問で明らかにしました。この状況が更にエスカレートし、中国電力への電気料金の未払い故に、送電をストップさせられる恐れがありました。
 そこでやむなく呉市は平成29年3月、中国電力との受電契約を同社に成り代わって急遽締結し、代わりに電気料金を支払うはめになったのです。但し、議会に一切報告も相談もしなかったのは問題でした。
 さて、このことで呉市はようやく同社に見切りを付け、29年6月3日付けで、指定管理協定を破棄したのです。

 これに対して、ゆうとぴあセトウチにも言い分がありました。
 施設の修繕は、基本協定の中で、100万円以上は呉市が負担、100万円未満は指定管理者が負担することになっています。同社によりますと、呉市は修繕計画を策定せず、ゆうとぴあによる再三に亘っての大規模修繕要請にも応じなかったため、これが収益が落ち込んだ要因であるとしました。具体的には、子どもの国の遊具が老朽化しても、呉市は一切修繕や更新をせず、使い物にならなくなったのです。これで、子ども連れの客層が確かに減りました。
 第二に、呉市が修繕を怠ったことで、平成28年8月24日、宿泊棟の冷温水発生装置が故障。代替装置も既に故障したままになっていたため、真夏にも関わらず、冷房が全く効かなくなりました。そこで同社は客に対し、食事代と宿泊料を免除し、他のホテルへの移送を余儀なくされたのです。もし代替装置が使えたなら、悲劇は防げたのです。これにより同社は大きな損害を被ったといいます。しかもこのことを呉市が議会に一切報告せず、隠していました。これは大問題です。
 結局このことが直接の引き金となって、呉市とゆうとぴあセトウチの関係が悪化したと思われます。
 勿論、信頼関係が揺らいだのは、そのもっと前に兆候がありました。それは水道管量水器の口径問題です。
 当初は、グリーンピアを建設した年金福祉事業団が量水器を75mm口径にしたのです。ところが、平成元年の広島県主催による海と島の博覧会計画の水需要に対応するため、150mmに増径しました。安浦町の水道料金は使った分だけが加算される従量制だったのです。その後、平成17年3月に安浦町が呉市に編入合併された直後、呉市がグリーンピア安浦を当時の年金資金運用基金や広島県から低額で買い取り、同年10月からゆうとぴあセトウチが、同施設を管理運営することになったのです。
 実は、呉市上下水道局の水道料金体制は安浦町と異なり、量水器の口径が太くなることに対応して基本料金が高くなる、基本料金と従量制の混合体系だったのです。大幅な需要増が見込まれない中で、本来なら75mm口径で足りていた訳で、それを150mm口径による余計な基本料金を払わされ続けたというのです。
 それが第2期期間の終わり頃判明したようです。そこで28年の2月に、所有する呉市観光振興課が量水器の減径を行うまでの間、損害を被ったと訴えました。これが第三の主張です。
 最終的にゆうとぴあセトウチは、一方的に指定管理協定を破棄されたことで、提訴に踏み切りました。それは次の4つの訴訟に発展したのです。
 第一は、冷温水発生装置故障による損害賠償を請求するもので、訴額は2,000万円。第二は、呉市が大規模修繕に応じなかったことにより経営の悪化を招いたとして、5億795万円の請求。第三は、量水器の減径を呉市が怠ったことで、水道料金における1,649万円の損害賠償を請求。第四は、呉市が一方的に指定管理協定を破棄したことにより、精神的苦痛を受けたとして160万円の慰謝料請求です。訴額合計は5億4,604万円にも上ります。

 これに対して、呉市は応訴するだけでは、不利になる可能性があります。そこでこちらにも言い分があるということで、被告となった後、3つの事件で逆提訴したのです。
 即ち第一は、指定管理者負担金の未払いとなっている1,770万円の請求です。第二は、水道料金の未払いである2,182万円。第三として、電気代の立て替え分である633万円の請求です。訴額合計は、4,585万円となります。
 呉市が何度も督促をしたにも関わらずゆうとぴあセトウチがそれに応じず、結果的に呉市が不良債権を抱える羽目に陥ったことを、裁判でしっかり主張することで、被告事件を少しでも有利に運びたいとの思惑もあります。
 さて、この度の勝訴内容としては、訴額全額が認められ、29年8月29日から支払い済みまで年5分の割合が加算され、且つ訴訟費用は被告持ちとなりました。
 ところが、同社は敗訴が確定したにも関わらず未だに支払いに応じていません。他の4つの提訴の勝利が確定すれば、その訴額と相殺しても逆にお釣りが来ると踏んでいるようです。
 従って呉市として、今回の勝訴を足がかりとして、今後の裁判の成り行きを見守って行くしか手立てがない訳です。

 では、何故このような信頼関係が完全に崩壊し、公共団体たる呉市を以てして、訴訟合戦という泥沼に巻き込まれたのでしょうか?
 それは前市長が、事の重大な案件にも関わらずそれを軽視し、議会への報告を故意に怠ったが故に、その付けが回ったと言われても仕方ありません。第一に、冷温水発生装置の故障でお客様に多大な迷惑をかけたこと。その際ゆうとぴあが呉市に相談することもなく、勝手に利用料金を無料にしたこと。第三に電気料金を呉市が立て替え払いしたことが挙げられます。これらは当時、悉く伏せられました。
 その背景には、議会に報告することは、マスコミに知らせることと同義であり、事がメディアで報じられることで、指定管理者や施設のイメージダウンとなって、収益が激減するリスクがあったのです。目先の不利を避けるために、逆に傷口を大きく拡げてしまったことになります。
 極めつけは、第2期指定管理期間の最終年度である平成27年度から水道料金や指定管理者負担金の滞納があったにも関わらず、この事実を伏せたまま、指定管理議案を議会に提出したことにあります。指定管理者を決定するためには議会の議決を必要とするのです。
 当然、料金を滞納していることを明らかにしますと、議会で否決される可能性が高くなります。そうなりますと、指定管理を受諾してくれる他の企業を探す手間がかかる訳です。そこで議決を得るために、不利な材料を隠蔽したのです。
 もし、このような情報が議会に提供されていれば、私は議案に対し確実に反対に回り、本会議場で討論することで、その理由を述べたはずです。そうなりますと、マスコミが飛びつき、これも風評被害をもたらし収益が落ち込みますので、避けたと推察しています。
 ある意味では、議会は騙されたと言えなくもありません。特に前市長はガラス張りにするとマニフェストに掲げておられましたが、言動と実際はかなり異なっていたと言われても仕方ないでしょう。前市長に限らず、政治家の悲しい性とも言えます。
 真の政治は、情報を開示した上で公明正大に行うべき、というのが私の信念です。今回の泥沼訴訟合戦を教訓として、新市長が就任されたこともあり、是非共姿勢を改めて欲しいものです。

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