街頭演説集

第167回 くれワンダーランド構想の本質

くれワンダーランド構想の本質が次第に明らかに!

Facebook 2018.12.3

 去る11月26日は167回目の街頭演説。テーマは、くれワンダーランド構想の本質についてです。

 先日11月16日に、第2回くれワンダーランド構想推進会議が呉市役所内で開催され、傍聴しました。と申しますのも、第1回の時は、非公開だったため傍聴ができなかったのです。
 「くれワンダーランド構想」とは、新市長が昨年の市長選において掲げた自身のマニフェストのことで、「いきいき、わくわくするようなまちづくりを目指す」としています。では「具体的政策は何なのか?」と、初当選直後の昨年12月定例会で議会側の質問に対し、「これから議会や市民の皆様のご意見を拝聴しながらとりまとめて行きたい」との答弁がされた経緯があり、市長が「こうしたい」という具体的な施策が全くない中での名前劣りする内容だということが白日の下に晒された訳です。
 そこで今年度予算に300万円の調査費を計上し、市長諮問機関たる「くれワンダーランド構想推進会議」が起ち上げられ、去る5月17日に第1回会議が開催されたのでした。
 私は、市長マニフェストは既に、呉市第4期長期基本構想やそれに基づく長期基本計画に盛り込まれ、既に諮問機関たる総合計画審議会の答申を受け決定し、基本構想に至っては議決しているので、新たに諮問機関を起ち上げることは、税金の二重投資と訴えて参りました。
 しかも、新市長が新たに起ち上げた諮問機関は、ワンダーランドを含め3つあり、その全てにおいて会議を非公開にしたのは大いに問題でした。そこで今年6月定例会で私が「一般公開すべき」と訴え、その結果、第2回からワンダーランド会議に限って、ようやく公開に踏み切ったのでした。
 但し、これには議事録を取っていないのです。「摘録を呉市ホームページで公開している」との答弁がありましたが、これは簡易なもので、どの構成員がどのタイミングでどう発言したかは記載されておりません。単なる意見の集約結果にしか過ぎないのです。これでは、呉市の方向付けを決定する際の審議過程が不明瞭になってしまいます。

 さて、傍聴して先ず気付いたことは、配付資料に「くれワンダーランド構想」を説明するイメージ図とその基本方針の2枚のプリントが入っていたことです。公共の審議会であるにも関わらず、選挙戦で市長個人が掲げたマニフェストに係るチラシだったのです。これでは公私混同と言われても仕方ないでしょう。
 しかも会議構成員は、あくまでも市長の考えにマッチする委員を、市長判断で任命している節も伺えます。加えて3人の市民代表者は、18才から39才までの女性2名、男性1名を、選挙人台帳から無作為抽出し、本人の意向を確認した上で、任命されています。過去の市民代表を選定する場合は、公募して提出論文を審査した上で委員を選任したことからも、大きな疑問符が付きます。
 実際、15名の構成員の内、出席されたのは市民代表2名を含む10名でした。その中には今年度新たに就任された呉市顧問が3人入っていたのです。つまり身内です。顧問が新たに就任したことは議会に全く知らされていませんでした。顧問は政策面で市長をサポートする役割を担っており、市長が自身の考え方にマッチした方を任命するものです。ということは、この会議は中立性はあまり期待できないと感じました。
 しかも市長が最初から最後まで着席されており、通常の諮問機関であれば、市長は冒頭挨拶で会議の趣旨を述べて退席するものです。それだけ市長が力を入れておられる証拠でもあります。ただ、これも市長の顔色を窺いながらの審議となり易く、自由闊達な意見が出るか心配なところではあります。
 ところが、通常の諮問機関は、事務局である市の部署がたたき台を作って、それを事実上お墨付けを行うだけの、言わばアリバイ作りの性格が濃い訳ですが、この会議は違っていました。元々市長がこうして欲しいとの内容がなかったため、事務局としてたたき台は作れませんので,却って自由で闊達な意見が出されたのです。特に全構成員が順に呉市の進路について夢を語ったり、具体案を提示されたりしました。それを他の一部構成員がやんわり否定する場面も散見され、委員間討議がなされたのです。通常は委員の質問に対して全て事務局が答弁するものですが、これは画期的と思いました。

 一方、市長と一部構成員との温度差も明らかになったのです。と申しますのも、会議音冒頭、事務局側、即ち呉市から構想の推進に当たっての心構えや考え方の大枠が示されたのです。
 それには、

  1. これまでのように市主導で予算や計画を組んで事業執行していくものではない
  2. 市民や民間企業の発送で自主的・主体的な取り組みを市全体に広がることを目指す

の2点です。つまりハード整備ではなく、寧ろ規制緩和だったり、妙案提示であったり、できるだけお金を使わず、ソフト中心で市民協働を行っていくとの趣旨です。市は情報を積極的に発信し、団体連携のネットワークづくりや、民間の創意工夫を活かせる環境づくりを担うとしています。
 ということで、選挙時のマニュアルとはかなりスタンスの違いが見みて取れました。
 但し、ワンダーランド構想の4つの柱の内、①産業創造-においては、既に別途「中小企業振興基本条例制定検討懇話会」を起ち上げ議論をしており、これはソフトが主体です。②交流都市への発展-では、青山クラブ活用策が入って来るでしょうが、これはハードが主体となり、その活用提案をされたNPO代表を構成員に迎え、その意見に期待している節が伺えます。もう一つの目玉である呉駅前の総合開発では、既に別途「呉駅前周辺地域総合開発に関する懇談会」を起ち上げ議論していますが、これはハード主体です。③女性と若者支援-では、女性経営者を構成員に迎え、その提案に期待しているようです。④島ライフ-は、安芸灘大橋無料化が中心で、これもソフト主体すが、県との事務的な会議を開いただけで、進展は到底望めそうもありません。
 となりますと、ハード部門は②青山クラブ活用に限られて来るかも知れません。と予想しながらも会議では、「道の駅や海の駅構想を進めてはどうか」との意見を中心に観光施策に議論が集中しました。国土交通省が指定する海の駅は、ゆたか海の駅、桂浜海の駅、クレイトンベイホテル海の駅と3箇所ありますが、プレジャーボートの桟橋が必要なので、阿賀マリノポリスでの可能性はなきにしもあらずですが、ここは放置艇対策としての係留施設を主体とする港湾計画に変更したばかりです。道の駅としては呉ポートピアパークの活用策も具体的提案がなされましたが、過去議会でもこの提案に対し、ハード整備に巨額の公費がかかることで市が難色を示して来た経緯があります。これらは、青山クラブを含め全て市が整備を行うことばかりで、市民協働とはかけ離れた議論に進展した感は否めません。
 また、ある団体代表の構成員が、会議で市に対し要望した際、市長がそれを遮り、「それは貴方の団体が主体となり、他の団体を巻き込んで進めて欲しい。市はそれをバックアップさせて頂く。これは逆陳情です」と切り返し発言をされました。市が逆陳情するとは前代未聞ですが、市長のこのスタンスは財政難の折、的を得ていると言えましょう。しかし、即座に切り返すのはとても怖くて言えない雰囲気が、過去の諮問機関だったのです。市長自身が最後まで会議に参加されたこと、市長理念がこの場合据わっていたことで、このような発言が飛び出したのでしょう。この光景には、寧ろ感心さえさせられました。市民協働枠をはめられたワンダーランド推進会議として、ある程度議論が制約されるのでは、との印象を持った次第です。
 いずれに致しましても、ハードなのかソフトなのか、市主体なのか、市民協働なのか、それぞれの構成員や市長との思惑の違いがかいま見られ、今年度末にまとめられる答申に目が離せなくなったところではあります。

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