街頭演説集

第181回 ゆうとぴあセトウチの水道料金訴訟

ゆうとぴあ量水器損害賠償訴訟における被告・呉市の教訓

Facebook 2019.3.8

 去る3月4日は181回目の街頭演説。テーマは、㈱ゆうとぴあセトウチによる量水器に係る水道料金損害賠償訴訟についてです。

 ゆうとぴあセトウチは、呉市が所有するグリーンピアせとうちの指定管理者を長年務められ、去る平成29年6月8日を以て、呉市から指定管理協定を解除されました。そのことに関し呉市を訴え、呉市も訴え返し、現在泥沼の訴訟合戦が継続中です。
 その中で水道料金に関する訴訟が2件あり、その一つが水道料金の量水器(水道メーター)における口径が現実の水需要に適していないことで、ゆうとぴあセトウチが損害を被ったとして、呉市を訴えたものです。昨年12月13日に広島地方裁判所呉支部がこれを棄却し、翌年1月7日までの期限までに原告が控訴しなかったため、呉市の勝訴が確定しました。
 具体的には、指定管理者となった平成17年10月1日から27年度10月8日までの10年間に亘って、原告が水道料金を1,649万円も支払い過ぎたという主張です。
 即ち、呉市が購入する前のグリーンピア安浦の所有者である年金資金運用機構が、当時博覧会があり水需要が大きかったことで、150mmの量水器口径にしていました。当時は、安浦町が呉市に合併しておりませんでしたので、量水器の口径に関わらず、水の使用量に応じて料金がかかっていました。
 ところが呉市に合併したことで、水道料金制度が変わったことが問題となりました。つまり、基本料金と従量制の二重構造になったのです。呉市では75mm口径と150mm口径の量水器とでは、当然後者の基本料金が高くなる訳です。実際、グリーンピアせとうちの水道給水管の口径は70mmでした。
 判決理由は、当時の呉市水道局にしても、施設の所有者たる呉市にしても、量水器の口径変更を促したり、変更する責務はなかったということです。あくまでも指定管理者たるゆうとぴあセトウチこそが、自身の経営から、量水器の口径変更を呉市に要請する責務があったということです。
 実は、経営状況が厳しくなった平成27年度に、同社が呉市観光振興課に対し、口径変更を要請しました。それを受けて同課が44万円をかけて量水器の口径変更の施工をしたのです。

 一方同社は、平成27年度から水道料金を滞納していました。指定管理者を解除されるまでの間、合計2,182万円となります。この場合は、逆に呉市が原告として同社を訴えておりましたが、昨年6月30日に呉市が勝訴しました。これを受け上下水道局は、同年9月10日に確定債権請求書を送りましたが、未だ回収に至っておりません。
 勝訴したことで強制徴収権はありますが、水道料金は私債権のため、相手の財産調査をして裁判所に手続きしなければ空振りになってしまいます。しかも呉市は、指定管理者負担金の未納分や、電気料金肩代わり分における損害倍書請求の訴訟を、原告として係争中です。このため、この判決とセットで考えるため、強制徴収を見送っているということです。
 勿論、同社は同社で、呉市が計画修繕を怠ったことや、そのことで冷温水発生装置の故障故に夏の冷房が止まり、損害を被ったとして呉市を訴えており、これらを以て泥沼化と呼んでいる訳です。

 戻って、この度の量水器問題ですが、これはやはり呉市が指定管理者を公募する段階で、量水器を変更しておくべきだったと考えます。そうすれば、少なくともこの訴訟は提起されることはなかったことは明白です。安浦町から呉市に合併した時点で、呉市水道局は安浦町民に対して、水道料金制度の変更を周知徹底しましたが、他県から応募した会社は、このことにうとかったと容易に推察されるからです。呉市水道局も指定管理を公募しようとしていた呉市に対し、忠告を進言すべきだったでしょうし、それがなくても、呉市が気付いてしかるべきだったというのが私の個人的な見解です。
 たまたま、裁判所が棄却したものの、他の裁判所だったとしても、同じ判決が必ず下されるとは100%言い切れないからです。このことも呉市は大いに反省し、同時に教訓とすべきだと思います。

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