街頭演説集

第184回 広電バスへの公的支援

バス運行に係る広電への血税投入に歯止めを!

Facebook 2019.3.29

 去る3月25日は184回目の街頭演説。ついにコート着装が不要となりました。テーマは、広島電鉄(株)への公金支出についてです。

 平成23年度末に呉市交通局を広島電鉄へ経営権を移譲した際、協定の中で、赤字路線は2%の利潤を上乗せした上で呉市が赤字補填、黒字路線は全てが広電のインセンティブとなり内部留保に回りました。
 その赤字補填分は経営支援補助金と呼び、予算ベースで平成28年度3億1千万円、29年度3億5千万円、30年度3億6千万円、31年度は3億8千万円で、年々増え続けています。
 特に先般開催された予算特別委員会において、30年度追加補正予算が1億9千万円も計上されたのです。
 昨年の豪雨災害でバスがストップしたことで、その影響が大きいと思っていましたが、あにはからんや、その影響額は4千万円の収入減に止まったのです。追加補正における他の要因として、燃料費がリッター16円高となったことによる影響が3,200万円、時間外手当による人件費が5千万円増、乗車人員の自然減による収入源が6千万円、2本の黒字路線の内、長ノ木・長迫循環線が赤字に転落したことで1千万円の穴が空いたというのです。
 ということは、災害による特殊要因より、寧ろ燃料費や人件費、乗車人員減という自然減収が当初予算を押し上げたと言えましょう。これにより、平成30年度決算ベースにおける経営支援補助金は5億5千万円となります。

 一方、呉市からの公的資金の補填は、敬老・心身障害者優待バス運賃助成があります。平成30年度予算では、敬老分が約3億円、心身障害者分が約5千万円と、合計3億5千万円となっています。
 民営化の際、当局は議会に対し、バス購入補助金を除く、呉市からの負担金と補助金を合わせた支出額は8億円以内に抑えるというものでした。となりますと、30年度決算ベースでは約9億円となり、1億円も超過してしまうこととなります。
 約束を反故にしたと言えなくもありません。私の指摘に対し当局は、経営効率の悪化したバス路線を、今後更に生活バスに切り替えることで、広電への持ち出しを抑制して行きたい、と答弁しました。民営化後、白石白岳交叉点循環線や焼山循環線等、既に生活バス化した路線があり、この拡充策と言えます。つまりタクシー会社等に生活バスを運行させての赤字補填額の方が、広電バスへの経営支援補助金よりも安価になるというのです。
 また、災害要因で赤字になったのを安易に税金で穴埋めしていいのか、疑問が残ります。昨年の豪雨災害では、JRや他のバス会社も運行がストップしており、その収入源は自らの事業経営の中で補って来たのです。東日本大震災による原発事故にしても、経営者の東電が損失補償をするスキームとなっており、私は、広電バスにのみ安易に税金を投じるのは問題だと指摘しました。
 何故なら、呉市内を走る広電バスは、呉市が運行委託しているのではなく、あくまでも広電が運輸局に路線申請しての、自主運行であるからです。民営化時の協定には、単なる不足分を赤字補填する旨が記載されているだけで、災害時の補填については特段触れておらず、想定していなかったものと推察されます。これでは民間の交通事業者と比べ、不公平と言えましょう。しかもこれまでの内部留保があるはずですから、損失補填引当金などに積んでおけば、自らの責任において補填するのが本来の姿だと考えます。

 ところで、呉広島空港線においても、呉市からの運行負担金に係る30年度追加補正が1,200万円つきました。当初予算は1,300万円でしたから、これは倍近い補正額となって、極めて異常です。 要因は、飛行機のダイヤ改正に伴い、これまで9往復だったのを12往復にしたことでバス車両を1台増やしたことによります。これにより1便平均11.3人だったのが、29年11月から8.4人に激減したのです。
 私は当初予算審議の際、必ず追加補正が出ると予言しておりましたが、これが見事に的中した格好です。
 実は財界の要望に屈して、前市長が廃止したばかりの呉広島空港線を復活させた際、広電の提案は、1便平均10人乗れば収支トントンなるも、8人程度として、1,089万円の損失補填を提案した経緯があるのです。因みに当初は1日7往復でした。その提案を採用したなら、1,089万円を限度に公的負担を止めるのが本来の姿ですが、どんなに赤字になったとしても運行ありきとの姿勢が見え隠れしています。
 この辺りの線引きを明確にする必要があるでしょう。安易に赤字分を補填するだけなら、どの事業者でも努力なく運行が可能となり、極めて甘い施策となります。
 ましてや呉広島空港線は、当初広島県から補助金が出ており、宣伝は呉市が税金で行っているため、広電にとって極めて有利だったはずなのです。
 因みに来年度予算の運行負担金は、今年度と同額の1,300万円です。積算根拠は、1便平均11.3人の乗車ということです。昨年11月より、飛行機のダイヤが再改正され、それにともない、1日12往復を9往復に戻したことで、平均乗車人数が回復するとみてのことです。
 人件費や燃料費増で再度補正を組まないことを願うものですが、私は、このような場合に、補正を安易に組むことを抜本的に見直すことこそが肝要だと考えています。

タイトルとURLをコピーしました