街頭演説集

第183回 幽霊消防団員

呉市の幽霊消防団員75名が一括退団、退職金支給へ!

Facebook 2019.3.19

 昨日3月18日は183回目の街頭演説。テーマは、幽霊消防団員の実態についてです。

 去る3月11日に招集された呉市議会予算委員会で、今年度補正予算の審議があり、消防団員の退職報償金3,350万円が追加計上されました。当初年度予算としての退職報償金は約3,000万円ということですので、予想をかなり上回った格好です。当初予算を編成する段階では78名程度の退団と予想しておりましたが、結果的に100名増えたため、これに対応するための補正予算です。
 尚、登録期間5年に満たない団員には退職報償金は支給されませんので、最終的には216名が退団することになります。

 当局は「増加原因は不明であるが、豪雨災害を受けた昨年8月頃から一気に退団希望が増え、活動実績に乏しい団員が豪雨による被災に対し、迷惑をかけてはいけないとの思いにかられた可能性がある」と答弁しました。
 因みに平成28~29年度の2ヶ年で一度も出動しなかった団員が75名もいて、この全てが退団したというのです。
 しかも、「これらの団員は幽霊団員とは思わない。待機していたり、地域の防災訓練に出たりするのも活動の一環である」と強弁したのです。

 これを受け私は、翌々日の予算委員会でこの問題を追及しました。
 昨年5月に、広島市消防団員や岡山市消防団員が、平成27~28年度において出動実績がなかったにも関わらず、報酬を受け取っていたことを引き合いに出しました。即ち、「この新聞報道を受け、呉市消防団において活動実績を調査をしたのではないのか。それを受けて活動実績のない団員を退団要請した結果が、この度の退職報償金の追加補正ではないのか」ということです。予想はずばり的中し、当局は調査したことを認めざるを得ませんでした。結局幽霊団員をこのまま野放しにしておくと呉市消防団にもマスコミの目が飛び火し、報道されるのを恐れた当局が、いち早く退団勧奨したことになります。
 しかも5年間以上登録した団員には退職報償金が支給されますが、予算説明では、この事情を伏せていたのです。
 続いて私は、登録したのみの団員には固定報酬が支給され、血税投入は退職報償金に止まらないことも指摘しました。具体的には7階級に分かれており、年額は82,500円の団長をトップに、団員には36,000円が支給されるのです。
 待機していて、身柄が拘束されるなら、当局の言う固定報酬支給もやむなしでしょうが、実際は出動するしないは団員が自由に選択できる訳です。団員は非常勤の特別職公務員ですが、通常はサラリーマンであったり、自営業であったり別の職業についているケースが多く、火災発生時に自由に出動できる方ばかりではないのです。
 加えて、「地域の自主防災組織による防災訓練に参加したり、防災リーダーとして指導することもある」との答弁ですが、消防団員でなくとも、地域住民でそのことに携わっている方は大勢おられますし、しかも彼らはボランティアですので、決して消防団員のその活動が報酬に値するとは言えない訳です。
 結局、これら登録しただけで、研修にも参加しない団員を幽霊団員ではない、言えることがおかしい訳で、身内を擁護していると言われても仕方ないでしょう。

 一方、岡山市消防団では、99分団中67分団が、個人の団員の報酬や報償金の振り込み先である通帳を一括管理していたのです。報酬は個人個人に支給されねばなりません。これは地方自治法で謳っています。
 実は呉市の場合、これまで個人の通帳に振り込んだことはなく、37分団に対し、分団長の口座に一括振込をしていたのです。それを私が平成26年度決算審査の場で指摘したことで、分団長から各団員の同意を得た上で、直接手渡しするようになりましたが、これにはトリックがありました。一旦分団長から受け取った形を取り、その後分団長に返還していた分団もあったのです。これでは地方自治法の趣旨に背くのは明白です。
 では、何故このようは悪い慣行が継続して来たかと申しますと、分団で一括管理することで、そのお金で親睦を図っていたからにほかなりません。
 私によるこれまでの数度に亘る指摘に加え、この度の広島市や岡山市の消防団による不適切な問題が表面化したことを受け消防局としては、「新年度から個人通帳に報酬や費用弁償を振り込むことに改めた」との答弁をこの度引き出しました。これは歴史的な一歩となります。

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