街頭演説集

第195回 地域生活支援拠点の充実策

障害者の地域生活支援拠点がスタート!充実策を提唱!

Facebook 2019.7.2

 昨日は195回目の街頭演説。テーマは、障害者に係る地域生活支援拠点事業についてです。

 これは呉市第5期障害福祉計画に位置付けられたもので、障害者の親亡き後や重度化、高齢化、緊急時に対応する福祉サービスの安定提供を目指しています。国は自治体単位に最低1箇所の体制整備を促していますが、本市においては、新たにハード整備をすることなく、既存の事業所を市内バランスよく4箇所を拠点指定した上で、互いに補完し合い連携する面的整備型を選択し、本年5月1日よりスタート致しました。
 具体的には、中央・宮原・警固屋・音戸・倉橋地区では社会福祉法人「ふれんず」、昭和・吉浦・天応地区では社会福祉法人「きぼう」、阿賀・広・郷原地区では社会福祉法人「広島岳心会」、仁方・川尻・安浦・安芸灘地区では特定非営利活動法人「地域ネットくれんど」を各々地域拠点としています。

 一方国は、相談機能、体験機会の提供、緊急時支援、専門的人材養成、地域の体制づくりと、5類型を示しています。
 この中で、相談機能、緊急時支援、地域の体制づくりの3類型は全4拠点施設での体制を整備し、体験機会の提供と専門的人材養成は4拠点が共同実施するとしています。
 地域の体制づくりとは、地域の様々なニーズに対応できるサービス提供体制の確保や連携体制連携体制の構築等に取り組むことです。本市では、各拠点事業所が地域の保健、医療、保育、教育、福祉等の関係機関が参加する地域ネットワーク会議を開催し、相互に情報提供を行います。
 また、体験機会提供と専門的人材養成では、費用を事業者丸抱えで押し付けるようになる懸念が拭えません。先の一般質問でこの点を質したところ、前者については、障害福祉サービスの報酬加算制度が設けられているものがあるということでした。後者の研修会開催費用については、委託料に一定額を含めているといいます。
 但し、報酬加算がないものや、委託料はみなし加算なので、曖昧な点があり、今後精査を重ねて参るつもりです。

 さて5類型の内、ニーズが高いにも関わらず最もサービス提供が難しいのが、事故等による親不在に伴う緊急時における受け入れ先の確保だと思われます。緊急短期入所、緊急居宅介護、駆けつけ応援がそれに該当致します。
 何故なら、日帰りにしても宿泊にしても、スペースや世話をする人材を即興で確保する必要があるからです。しかも24時間での緊急連絡体制構築がその大前提となります。
 更には、類型の一つである、日頃体験機会提供の有無や、障害の特徴に応じた対応ができる専門的人材による対応も望まれます。
 答弁によると、予め支援体制を検討しておき、関係機関による情報共有等の「緊急時に備えた事前調整」に努める、としています。受け入れ先は、原則障害福祉サービスの短期入所事業所となり、地域生活支援拠点は自ら運営する短期入所、或いは協定に基づき他者が運営する短期入所で受け入れることになるそうです。受け入れ準備が間に合わないとか、対象者が拒否するなど、短期入所が利用できない場合には、安全な居場所が確保されるまで地域生活支援拠点が、自宅や通所先など慣れた場所での見守りを行う「駆けつけ支援」を行うこと、としています。
 拠点機能として、支援員のスキルアップを目的とした講座や研修を行う等、専門的人材の養成や連携体制の強化を図ることで緊急時支援の体制整備に努める、としました。
 但し、4拠点の中には夜間対応ができていない施設があります。そうなりますと、職員が24時間体制で、代表電話から携帯電話に転送着信し、対応に当たることになります。このときの時間外手当は全て施設持ちで、呉市からの負担はありません。
 これに対しては、委託料に緊急対応分として費用を含めており、緊急に短期入所の受け入れを調整した際は、計画相談支援を行う拠点事業所は障害福祉サービス報酬が算定されるのだそうです。これも委託料へのみなし含有で、でき高払いではないため、現場である事業所の意見を十分踏まえて対応する、との答弁を引き出しました。

 また、緊急時の受け入れ先において、現時点でどの事業所で空きスペースがあるのか、4拠点以外の事業所を含め即座に把握することができれば、スムーズに対応することが可能になると考えられます。
 そこで、国のモデル事業を実施した栃木市では、各事業所が入力して、互いに空き情報を共有し合うことのできるオンライン化を実現しました。これを緊急時の相談員のスマートホンに接続すれば、24時間体制の緊急時連絡の際にも大いに役立ちます。オンライン化が進めば、体験機会の空きスペースも含めて、状況をたちどころに把握することも可能となります。
 また、精神障害者や長期入院しておられた精神患者に対する日常生活への復帰をサポートすることは、目に見えない障害であるだけに、根気強い支援体制がかかせません。心理療法士等の専門職に加え、同じ境遇を体験した障害をお持ちの方が相談相手になり、社会性を身につけるための訓練をサポートする地道な活動は有用と考えます。
 八王子市では、精神障害者当事者によるピアサポーターを登録して、それに当たる制度を構築し、実践しておられます。
 これらの特徴的施策については、先進事例を調査しつつ研究するとの答弁があったものの、単市予算も必要なことから、今後の課題となりました。
 地域生活支援拠点事業はまだまだ著についたばかりで、その全体像すら解り難いものとなっています。しかも拠点がどこにあって、どこが中心的役割を担いコーディネートするのか、呉市には基幹相談支援センターもないため、推進するに当たり、課題満載ではないでしょうか?
 しかも、呉市のホームページで探しても、本事業を体系的に明らかにしたものが見当たりません。市政だよりにも掲載されていません。議会にも報告していない訳ですので、これは問題です。他都市ではこの事業をきちっとアップしている事例も見受けられます。
 私の追求を受け、これから啓発パンフレットを発行し、施策の概要や体系図をホームページにもアップすることになりました。

 ところで、この事業を推進するに当たってネックになっているのが財源です。地域生活支援拠点事業には法的根拠がなく、国が先進事例を調査し、第5期障害福祉計画に盛り込み、各自治体に通知したに過ぎません。つまり自治体にとっては努力目標であり、直接の公的補助金がないため、自主財源を充てる必要がある訳です。
 具体的に、相談業務は計画相談等既にある体制で済ませ、体験や緊急時の受け入れの場提供に係る人件費は、その都度障害福祉サービスを使った公的支援頼みになると思われます。専門的人材確保や養成については、過去県頼みにしていた傾向があり、これを呉市独自に研修会を開催するとなると、障害福祉サービスではありませんから、単独予算となることは必定です。
 そこで、少なくとも一部を地域生活支援事業として位置付けられれば、国1/2、県1/4が予算の範囲内ではありますが、公的補助を受けられることになります。
 栃木市では緊急時支援体制の構築において、地域生活支援事業の地域移行のための「安心生活支援」に位置付け、公的補助を勝ち取っておられました。つまり短期入所や緊急居宅介護等に係る障害福祉サービスによる公的補助以外にも、体制整備において公的補助を獲得できる余地があるのではないかということなのです。
 ほかにも4拠点の内の一つを全体的なコーディネート機能を持たせるため、基幹相談支援センターを設置すれば、これも地域生活支援事業の適用対象となります。
 専門的職員の配置により,補助対象となる地域生活支援事業にある相談支援事業を活用だけでは、これまで並の財源しか確保できません。
 そこで今後は、本事業の実施状況を検証する中で、基幹相談支援センターの設置の有効性や、安心生活支援事業の活用等、地域生活支援拠点における地域生活支援事業の更なる活用について探って行くことになりました。

タイトルとURLをコピーしました