街頭演説集

第196回 地方卸売市場の民営化

地方卸売市場の早期民営化を!指定管理を引きずるな!

Facebook 2019.7.28

 去る7月23日は196回目の街頭演説。直前の参院選は与党が議席を減らし、野党統一候補が一人選挙区で10勝を挙げ、健闘しました。比例区では、99万余票と最高得票だった山本太郎候補が、れいわ新選組の特定枠3位に甘んじたため落選するなど、与党による合区優先の特定枠制度導入に大きな疑問符がつきました。

 さて呉市は、中央卸売市場の地方卸売市場への平成20年度転換を経て、平成24年度から28年度まで5年間を一般社団法人・呉市地方卸売市場協会に公募で指定管理協定を締結しました。その際、施設使用料と売上使用料を各々2割減額して、場内事業者の負担を軽減し、併せて一般会計からの持ち出しも縮小することができた訳です。
 指定管理制度導入当初から民営化議論はありましたが、その結論は第1期指定管理期間で出すことができず、第2期指定管理期間に持ち越されました。その期間とは令和3年度末までです。
 そこで、市場関係者との協議を踏まえ、平成28年8月の産業建設委員会での行政報告では、耐震診断をした上で、整備・改修に取り組み、長寿命化を図りつつ、令和3年度末までに運営方法の見直しを検討すると致しました。同時に国の通知を受け、令和2年度までに市場に係る経営戦略策定に取り組むとしています。

 ところが、平成29年度に実施した耐震診断は、青果棟、水産棟、管理棟のみでした。民営化に必要な関連施設棟は未診断のままです。
 それでも平成30年度には基礎調査費700万円が組まれていました。この結果を受けて経営戦略や耐震・老朽改修を含む基本計画に繋げて行くものと考えておりました。しかし、豪雨災害を受けてコンサル発注が遅れ、調査結果は未だ議会に報告されていないのです。
 そうは言っても、今年度計上しなければ、令和2年度着工、令和3年度工事完了が間に合わず、第3期指定管理に突入してしまい兼ねません。最初から民営化を諦めたスケジュールになってしまうのと同義です。即ち、関係者との協議をまとめて行くに当たって、再指定管理か民営化かの選択肢を同等に担保しておくためには、今年度設計予算を計上しないと間に合わないことになるのです。
 そこで私は、去る6月定例会での一般質問で、今年度に施設の改修設計費を補正予算として計上することについて質しました。それに対する答弁は「その意志はない」ということです。つまり現時点で、指定管理の再々延長が視野にあるとしか思えない訳です。
 公共施設棟総合管理計画では、令和22年度までに箱物公共施設の総床面積を3割縮減するとしています。これを達成するためにも、地方卸売市場の民営化は重要な鍵を握っていると言えましょう。
 但し、総合管理計画に基づく個別施設計画策定は、先の総務委員会での行政報告で、令和2年度末とされました。奇しくも市場経営戦略策定時期も同じ時期がリミットなので、基礎調査を受けた基本計画策定をそれに合わせればよいとの安易な考えが透けて見えます。
 基本計画は経営戦略と合わせ、予定通り今年度早急に策定すべきと考えますが、当局は基本計画の前提となる「基礎調査結果を公表しない」と、この度答弁したのです。この点、曖昧に乗り切ろうとの意図が透けて見える訳です。

 一方、民営化した際のメリットについて考察してみましょう。
 伊勢崎市や今治市など、地方卸売市場を民営化した自治体が増えて来つつある中、指定管理でも、大きな経費節減効果があったことで、現状に満足している向きがあるようです。
 しかし、地方卸売市場業務条例を廃止することで様々な規制を解除し、市場外取引を活発化させること、所有権を持つことで投資意欲を生み、民間活力をより引き出すことなど、多くのメリットがあると考えています。呉市にとっても、施設の耐震・老朽改修で一時的に出費は嵩みはしますが、それ以降の修繕や将来の建て替えが不要となり、固定資産税収入も見込まれることから、トータル的には経費の節減に大きく貢献するとみております。
 当局もこの点は認め、農林水産課職員による手数料収受業務や指定管理者との協議事務が解かれるため、「更に人件費削減になる」と答弁しました。
 第2期指定管理期間は、民営化の結論を出すに当たって、外堀を埋めるために必要な猶予期間だと考えております。となりますと、市場関係者との協議を煮詰めるため、施設の耐震・老朽改修を進め、本市の責務を果たす必要がある訳です。
 指定管理者においても建物を引き継ぐからには、以前アスベスト対策工事をいち早く施工したように、耐震・老朽改修をきちっとしてからでないと、民営化交渉のテーブルにつけないのは自明の理でしょう。
 関連施設棟には空きテナントもあり、民営化に当たってはその活用策も視野に入って参ります。関連事業者は15社ある訳ですから、同棟の存続や耐震・老朽改修のあり方も含めて、基本計画に位置付け、設計・施工を早急にすべきでしょう。
 ところで、TPPの影響により卸売市場法が昨年6月15日に改正され、食糧管理の公的責務に係る条項が削除されました。但しこれはあくまで中央卸売市場に関してです。この点は国や地方自治体の責務を残しておくのが筋だと考えます。
 これに対し、地方卸売市場は元々民設が多く、現在全国約8割の市場が民営と伺っています。私は地方と中央において、卸売市場の位置付けを区分するべきと考えています。中央卸売市場は国が認可し、都道府県や人口20万人以上の都市が開設することが条件となっていたので、この点は死守するべきでした。

 さて、本市の地方卸売市場を民営化するには、施設を万全なものにした上で、民間への建物無償譲渡、底地は条件付きでの無償借地が定番です。保育所や広風園など、福祉施設はそのようにして来ました。
 そこで建物に関しては、全体の耐震・老朽改修を終えるまでの期間を設定し、その期間に限定しての無償貸与、その後は改修を終えていることを条件に無償譲渡する契約を締結する案を提唱致します。定期借地ならぬ定期借家とも言えましょう。
 これはあくまで指定管理ではなく、民営化の一形態として位置付けるのです。伊勢崎市では15年間、今治市では10年間に期間設定しておられました。私見では5年間あれば可能と考えます。これを第3期指定管理として期間設定すれば、民営化の担保ができないので、この際指定管理は第2期期間で終了させるのです。
 当局は、私の提案も一つの選択肢に入れつつ検討して行く、と答弁するのがやっとでした。私は今後もこの問題を追及して参る所存です。

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