街頭演説集

第201回 安芸灘大橋無料化マニフェスト

安芸灘大橋の早期無料化断念を市長が公式に認めた!

Facebook 2019.9.22

 去る9月3日は、201回目の街頭演説。テーマは安芸灘大橋無料化マニフェストについてです。

 さて、一昨年11月の呉市長選挙では、当時の現職を含む候補者全員が安芸灘大橋の早期無料化をマニフェストに掲げました。前市長は、県と共に安芸灘4島の振興策に務めると答弁しており、事実上早期無料化はできないとしておりました。それが選挙戦を間近に控えると、早期無料化を突如掲げたのです。これには驚きました。安芸灘大橋は県が全額出捐する広島県道路公社が融資枠110億円で建設したことで、早期供用開始になったものの、その債務を30年間で通行料を財源として返済する計画になっていたからです。クレアラインその他のローカル高速道路と同様30年償還な訳です。
 その事情を最もよくご存じのはずの当時の現職市長が方針転換したとも受け取れるマニフェストでした。これには県の担当者も驚きを隠せず、市の担当部署にその真意を聴いて来たといいます。市の担当部署としても寝耳に水で、たいそう驚いたに違いありません。
 前市長の地盤は出身地の広と安芸灘でしたから、他の3候補が早期無料化をマニフェストに掲げるのを尻目にするだけでは票が逃げてしまいます。そこで、無理と解っていても安芸灘大橋無料化をマニフェストに掲げるよりなかったのです。結局前政権時代は、安芸灘大橋早期無料化に務めるとの答弁は最後までありませんでした。つまり、内向けと外向け、即ち議会向けと有権者向けを、選挙を戦うに当たって巧みに使い分けたと言われても仕方ないでしょう。
 実際前市長は、選挙戦最中の幕間演説で、その場の目の前に私がいたことを気にして、「安芸灘大橋の無料化は最低でも7年はかかる」とトーンダウンしていたのです。私が事情を知っているため、早期無料化を言い切れなかったものと容易に推察できます。

 ところが、現職を破って新市長が誕生。直後の地元市議による安芸灘大橋早期無料化要請を含めた一般質問に対し、のっけから答弁を曖昧にしました。
 それが去る9月2日の呉市議会一般質問において、安芸灘大橋早期無料化に係るマニフェストの進捗状況を問われると、市長は、「通行料金そのものの引き下げは困難である」と答弁しました。無料化どころが引き下げも困難とは、有権者の期待を完全に裏切ったことになります。しかも、「これは県の判断に従うしかない」旨も付け加えらえました。つまり、呉市は県に要望して来たものの、県が受け入れないので、これ以上呉市としてはどうにもできないということなのです。
 私が以前から申しているように、市長に出ようとされる方であれば、安芸灘住民のご要望を目の当たりした段階で、無理なことは最初から解っていたはずです。であれば確信犯的にできもしないことをあたかもできるように、有権者を欺いたと言われても仕方ないでしょう。政治は正直であるべきです。
 下蒲刈町や豊町住民の一部が、「様々な選挙があるたびに、候補者は安芸灘大橋の早期無料化を訴えて当選されていったが、少しも現状は変わらなかった。政治家は嘘つきである。もう騙されはしない」とも仰いました。そして、「何故それが困難であるかを正直に真実を話されたのは谷本議員だけだった」とも言われました。
 また、一般質問に答える形で市長は、「大きな視点での安芸灘全体の振興策に務めていきたい」と答弁されたのです。結局これでは、前市長の答弁と全く変わりないものに、大幅に後退した感はいなめません。後退というより、寧ろ方針転換を余儀なくされたと言っても間違いないでしょう。
 確かに選挙に当選することは、政治家にとっては最重要課題ではありますが、そのために有権者に嘘をつくことは、私には到底できません。キャッチフレーズである「真実!清潔!刷新!」に自ら背くことになり、言っていることと行っていることが矛盾を来してしまうからです。

 一方、この架橋の総事業費は487億円で、その内の有料道路部分が110億円です。平成12年1月に開通しましたので、令和12年1月に30年間償還を終え、その後は無料になります。平成30年度末における残債は36億円ということです。島民の生活を支援するため、100回数券を52%引きにして、便宜を図っているのです。これでも30年償還が可能なのは、償還引当勘定の他に修繕引当勘定を流用した経緯があるのです。これは政治的な最大限の隠された譲歩だった訳です。
 同様の公社建設道路である、尾道大橋は既に30年償還を終えていますし、広島熊野道路は来年12月から30年償還を終え、いよいよ無料化されます。であるなら、安芸灘大橋のみが県民税を投じて償還部分を補填して早期無料化することは、受益者負担原則や公平性の観点からも甚だ困難と言わざるを得ません。
 ましてや、県北の方々が収めた県税も使うことになりますので、殆ど安芸灘大橋を利用しない県民から視たら、多いに疑問となるのは必定です。
 結局、市長選による4人の候補者による「安芸灘大橋通行料の早期無料化」マニフェストは、確信犯であろうが、事情を知らず有権者受けを狙ったものであろうが、特に安芸灘4島有権者の期待を裏切ったことは間違いないと言えるでしょう。

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