街頭演説集

第202回 未病改善

未病改善へ、医療に頼らない食・健康と東洋医学導入を!

Facebook 2019.9.24

 去る9月11日は、202回目の街頭演説。テーマは未病改善についてです。

 「未病」とは、検査を受けても異常が見つからず病気と診断されませんが、健康ともいえず、放置すると病気になると予測される状態を言います。ただ、これがどのような状態なのか判断基準はなく、それに気付かず、知らない間に進捗するケースが多いと推察されます。
 そこで、身長・体重、血圧や血管年齢、握力等の測定を簡易にでき、気軽に相談できる場を提供することで、市民への健康意識を芽生えさせる動機づけになると考えます。集団健康診断や地域に根ざす健康づくり運動での健康教室では、保健師等のフォローはできたとしても、そこに参加する方が限られて来ます。また、ウォーキング大会や街区公園に設置した健康遊具の奨励では、フォローアップが難しい事情があります。
 また介護予防事業では、介護予防教室での筋力アップや健康運動の推進を図られています。ふれあいいきいきサロンでは、高齢者の引きこもりを防止し、社会参加とコミュニケーションの場を提供しています。
 神奈川県が県内市町と共に取り組んでいる未病改善施策は、保健部門が中心で、食、運動、社会参加の3つのキーワードに基づきます。これらは認知症対策を初めとする介護予防ともコンセプトが一致していることが判りました。
 ただ呉市においては、新庁舎に行政機能を集約した際、保健所はすこやかセンターくれ、福祉部門は新庁舎に分離したことで、福祉保健部が八つ裂き状態になって、非常にやり難くなっています。実際、すこやかセンター内のネウボラである子育て世代包括支援センター「えがお」は保健所、子ども家庭児童相談グループは子育て支援課の所掌であって、行政にとってはやり難い状況、市民にとっては非常に解り辛くなっています。
 地域に根ざす健康づくり運動においても、本庁舎内の保険年金課による国民健康特別会計、すこやかセンターの健康増進課による一般会計とが補助金支出によって別れています。 つまり、健康増進施策と介護予防は密接に関係しているにも関わらず、実際は縦割り行政の弊害や庁舎分離によって、福祉保健部としての施策展開を困難にしているのです。これらを整理して、特に健康増進施策と介護予防事業を一体的に施策展開するべきと考えます。

 ところで、国の推奨により、平成26年度から呉市も認知症初期集中支援チームをスタートさせ、現在は1千万円近くをかけ、ふたば病院とほうゆう病院との2チーム体制で、認知症の疑いのある、家庭事情の複雑な方を特定して、認知症対策に努めてはいますが、経済的困窮問題等、相談内容が専門外に及んでいます。
  僅かな人数、且つ特定された高齢者に対し、3名の専門スタップでの手厚い対応。にも関わらず、目に見えた成果を出すのは困難と思います。そもそも医学的エビデンスの乏しい認知症に対して、医療を主体として対応しようという考え方に疑問が残ります。費用対効果も見込めない状況下で、本事業を廃止し、発想の転換が必要です。
 神奈川県では、未病センター認証制度を創設し、県内市町にセンター設置を促し、特に逗子市では予算をあまりかけず、保健師や管理栄養士も増員をすることなく、センターを2箇所設置しています。
 一つは市役所内に設置し、同じフロアに健康係があるため、相談等の連携もし易い訳です。先に紹介した計測に加えて、体組成計でのメタボチェック、立ち上がり動作を図るロコモチェックがありました。結果を配布された健康づくり手帳にセルフ記帳でき、その場で気軽に無料相談できます。つまり、市役所を所用で訪れた市民がいつでも立ち寄ることができるのです。普段健康に無頓着な市民が健康への意識向上ができるのが大きな特長なのです。そこから介護予防教室に繋げることも可能です。
 もう1箇所は市立体育館のトレーニングルームを活用し、指定管理業務に未病センター運営を追加しました。既存の健康器具であるレッグエクステンションやエアロバイクを活用し、有料で健康運動指導士に相談もできます。
  そこで、高齢化率第3位、一且つ保健所政令市の本市において、このような未病診断スペースの設置を提唱するものです。

 一方本市の介護保険事業では、認知症早期発見の一手段として、長谷川式タッチパネル機器7台を、平成26年度の介護給付費改善インセンティブ付与事業交付金を活用して購入しました。
 長谷川式は見当識や言葉の流暢性等を見る項目があり、複雑で時間がかかり、ふれあいいきいきサロンや地域に根ざす健康づくり運動の健康教室の様に多くの参加者がある場合は、時間内に消化し切れません。しかも僅か15点満点評価なので、認知症の早期発見には不向きという難点があります。
 それ以降に開発された「タッチエム」は、色別順序の記憶をチェックするシステムで、操作も簡単、短時間で結果が出るため、未病センターに向いています。しかも100点満点評価なので、満点を目指し、複数日訪れる市民が続発し、好結果を上げています。この方が軽度認知障害の探知に優れ、認知症早期発見に繋がり易いという利点があります。
 逗子市や千葉県白井市では、この機器を随意契約で購入、またはリースしていました。複数の県警察でも、高齢者による免許返上施策にこの機器を導入するようになったと聞いています。
 尚、この種の機器の耐用年数は6年なので、本市が導入した長谷川式タッチパネルは、今年度が丁度6年目に当たります。
 そこで、今後故障するまでは使い続けるにしても、令和3年度からの第8期介護保険事業計画策定に合わせ、タッチエム購入を検討してはどうかと思います。

 さて、逗子市の未病センターの優れている点は、きっかけづくりの提供と合わせ、種々の健康測定後に、保健師、管理栄養士、健康運動指導士による相談といった、フォローアップシステムをある程度確立していることにあります。
 医療や投薬で病気は治癒するものではなく、これらはあくまで対症療法にしか過ぎません。ましてや未病ともなりますと、市民の意識啓発もさることながら、徹底した食のチェックと改善指導、健康運動の推奨がキーワードを握っています。未病診断や脳の元気度測定の結果を受けて、医療機関に繋げるのではなく、食と運動に意識を転換させる相談体制を充実させる必要があります。
 実は、「未病」という単語は、2千年前の後漢の時代に、中国最古の医学書とされる「黄帝内経」に初めて登場します。養命酒のコマーシャルでもこの言葉が使用されていますので知名度は向上していますが、健康維持や健康回復には、東洋医学的視点が欠かせません。
 一方、厚労省の社会保障審議会介護給付費分科会では地域包括ケアシステムにおける他職種連携として、鍼灸師や柔道整復師等が例示されています。これらは正に東洋医学の系統に属しますし、彼らは国家資格を得るために勉強しておられます。
 本市にもこれらの団体がありますので、フォローアップの手段として、活用を検討すべきでしょう。

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