街頭演説集

第203回 学校統合に係る通学区域

安芸灘4島の将来を見据え、通学区域特例の廃止を!

Facebook 2019.9.24

 去る9月17日は、203回目の街頭演説。テーマは学校統合に係る通学区域についてです。

 9月13日、呉市議会本会議において、下蒲刈小中学校の蒲刈小中学校への統合移転に係る学校設置条例改正案が可決されました。
 下蒲刈小学校は今年度完全複式学級になったことで、中学校区を越えた統合の対象となり、PTAがアンケートで意向調査をした結果、蒲刈小学校への移転統合が内定したものです。その上で、自動的に下蒲刈中学校の蒲刈中学校への移転統合も内定しました。
 ここで問題のは、統合移転先をPTAに選択させたことです。このような統合方法は過去にありませんでした。ここからボタンの掛け違いとなり、多くの矛盾を来したのです。
 統合移転先候補としては、本土側の仁方小学校、川尻小学校でした。教育委員会の望みは仁方小学校だった訳です。PTAや保育園児保護者の意向は割れ、川尻小学校を望む者は僅か1名、蒲刈小学校がかろうじて仁方小学校を押さえた格好です。

 そこで教育委員会は、反対意見を封じ込めるため、通学区域特例を設けたのです。
 通学区域とは、公教育において、児童生徒の住所地により予めどの学校に通学するか教育委員会が決める制度です。保護者や児童生徒に自由に選択させると、年度毎に入学者のばらつきが出て、学校運営に支障を来すからです。
 それをこの度は、通学区は蒲刈小中学校に決まったけれども、仁方小中学校や川尻小中学校を保護者等が選択した場合、入学時点でそれを公式に認めるというものです。加えてこの度の措置は、通学区域外の2校を選択した場合、通学に係るバス定期代を全額公費負担するというのです。しかもこれが半永久的に続きます。通学区域外を選択した場合は自己都合ですから、通学費公費負担を認めなければ、ほぼ全員が蒲刈小中学校を選択するでしょう。
 ところが、この度は通学区域の特例に加え、特例を選択した場合も統合に起因することから学校都合と位置付け、全額公費負担とするというのです。
 この方式は、既に音戸町の小学校統合の際導入しており、この時は一旦条例案を可決させておいてから、PTAの意向を受けて悪しき例を作ったのです。それが今日まで議会に報告さえされていませんでした。この度の私の追求で判明したのです。これではガラス張り行政とは到底言えるものではありません。
 しかも、仁方小学校が本命だったということは、教育委員会は、いずれ完全複式になるであろう蒲刈小学校も仁方小学校への統合移転の腹づもりだったことになります。であれば、豊小学校も近い将来同様の事態が訪れ、安芸灘4島から義務教育学校が消滅することを意味していました。
 これでは、市長がマニフェストで掲げる「わくわく島ライフ」の足を引っ張ることになります。過疎地では、豊かな環境を最大限に活かし自然教育を実践することで、都会からの子育て世帯転入を促進する施策が有効であって、4島から学校が消滅すれば、それも叶いません。地方創生は遠退くばかりです。
 この度の通学区域特例は、下蒲刈町の児童生徒が蒲刈小中学校に全員通学しないことになりますので、蒲刈小中学校の児童生徒数が益々減少する愚策に他なりません。

 一方、私が以前から、下蒲刈小中学校を蒲刈小中学校に統合移転させ、小中一貫教育校、退いては義務教育学校設置を提唱して参りました。蒲刈町向地区にある両校は、同一敷地内にあるからです。
 それを何故しないのか追求しますと、教育委員会の答弁は曖昧でした。同じ敷地内にあっても校舎が離れているというのです。因みにその両校舎の中間に共同体育館があります。
 先駆けて小中一貫教育校となった警固屋小中学校や広南小中学校では、敷地が隣接していたので、これらより蒲刈小中学校の方が物理的条件からも有利です。
 そこで、何故蒲刈小中一貫教育校を設置しないのか、この理由を考察してみましょう。
 小中一貫教育校を設置することで、安芸灘4島には児童生徒が減少しても、呉市立学校統合基本方針には小規模校という概念がありませんので、統合対象になり難い現実があります。そうなったら、本土への小中学校移転の道が断たれるとでも思っているのでしょう。だから、敢えて小中一貫教育校を設置しないのです。
 過去小坪小学校を長浜小学校に統合移転させ、隣接の長浜中学校と合わせて小中一貫教育校たる広南小・中学校を設立したのは、広南地区から学校を消滅させないためとして、教育委員会が地元を説得した経緯があります。この度のケースは、これと逆を向いているとも言えましょう。
 教育委員会は文科省から補助金交付を受けて、全国で先駆けて小中一貫教育校を提唱し、実践しています。物理的にも同一敷地内にある蒲刈小中学校をその範疇に含めないのは合点がいきません。
 この度、幸いにもPTAが蒲刈小学校を多数決で選択したのですから、通学区域特例やそれに伴う遠距離等通学費補助は認めず、蒲刈小中学校を小中一貫教育校にすべきなのです。
 私は、蒲刈小中学校への移転統合そのものには賛成ですが、その手法には反対です。
 通学区域特例という悪しき制度は、今後旧市内の学校統合にも悪影響を及ぼす可能性は否定できません。通学区域を破壊する危険な制度がこの度の特例なのです。安芸灘4島の住民におかれましては、来年度統合施行を目前に控え、今からでも通学区域特例の廃止と、安芸灘4島における将来の小中一貫教育校、義務教育学校設置を求めて起ち上がって欲しいものです。

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