街頭演説集

第205回 嘱託職員への賃金未払い

宿日直嘱託職員に対する賃金未払いで、呉市は襟を正せ!

Facebook 2019.10.3

 昨日は205回目の街頭演説。テーマは呉市嘱託職員への賃金未払い問題についてです。

 呉市は宿直勤務の嘱託職員に対し、適切な賃金を支払っていなかったとして、去る9月11日に呉労働基準監督署から是正勧告を受け、同月30日までの回答報告を求められました。
 宿直勤務は17時15分から翌朝8時30分までの15時間15分までとなっています。この内7時間15分を仮眠時間として計算し、実質的な労働時間は8時間であることから、労働基準法が定める1日の勤務時間の8時間に収まると解釈し、これに広島県最低賃金(現在は844円)をかけて賃金を支払っていたものです。
  ところが、仮眠中であっても、緊急連絡に対応するように定められており、実質拘束されており、断続的労働に該当することで、結果的に8時間を超過していたと指摘を受けました。
 となりますと、労働基準法第32条に定める週40時間、日8時間を超える場合は、労働基準監督署の許可を必要とするに違反することとなります。併せて最低賃金法第4条第1項及び第2項における、断続的労働による最低賃金の減額特例許可を受けていなかたことにも違反します。加えて、就業規則の取り扱いの誤り、健康診断の未実施が是正勧告の内容となりました。

 呉市は、この度の是正勧告の宿直勤務に併せ、日直の賃金未払いも認めざるを得ませんでした。この場合、8時30分から17時15分までの8時間45分ですが、これも45分は昼食休憩とみなし、8時間と計算し賃金を支払って来ました。ところが一般職員と異なり、日直の場合は、昼食時間帯も緊急連絡を受けますので、身柄を拘束されており、8時間勤務を超過していることになります。この状態も併せて自ら改善することにしました。 となりますと、勧告を受けた宿直に日直を加えますと、市役所本庁舎、呉駅西駐車場、市民センター17施設、下蒲刈の生涯学習施設「松寿園」、公立下蒲刈病院の合計82名となり、時効の関係で過去2年間遡って支払う金額と今年度における今後の必要額の合計は、1億9,060万4千円となります。
 但し、下蒲刈病院の宿日直業務に係る188万6千円については、今年度採用予定の看護師が年度途中からの採用となったことで給与費の執行残で対応するというこです。この結果、去る9月26日に、未払い賃金支払いに係る補正予算1億8,297万4千円が緊急上程され、全会一致で可決されました。

 私は当日の予算特別委員会で質疑に立ち、「解釈の違いによって、結果的に労働基準法と最低賃金法違反となった訳だが、何故夜間割増賃金を支払わなかったのか」糺しました。つまり、宿直が8時間労働だと解釈したから時間外手当を支給しなかったとしても、22時から翌朝5時までは夜間労働に該当し、労働基準法第37条による夜間割増賃金は、最低25%増しになるはずだからです。これは素人でも分かる話です。
 ところが、これに対する明確な答弁はなかったのです。これでは呉市が、見解の相違での賃金未払いではなく、確信犯での賃金未払いだったと言われても仕方ないでしょう。全くお粗末な話です。
 結局、これまで宿直に対して呉市が支払った日当は6,800円弱で、過去2年間の日当は約1万5,900円と9,100円増となることが判明しました。これはやはり25%割増賃金の時間外手当と夜間割増賃金を含むものです。
 補正予算可決後同日付で呉市は、労働基準監督署に改善報告をしました。そこで同署に対して改めて申告し、手続きを経た上で、最低賃金の減額特例許可を受けることになります。その結果、今後は約1万円の日当になるそうです。
 因みにこれまで同様の是正勧告を受けた市は、大阪市、西脇市、北九州市があります。
直近では、昨年5月に山口市で発覚しました。そのことを呉市当局は知っていたにも関わらず、今日まで放置していたのは大問題です。地方公務員法及び地方自治法の一部改正による「会計年度任用職員制度が来年度スタートすることに合わせて、この問題を整理するつもりだった」との答弁には到底説得力がありません。人事課としても、過去の手法に疑いを持たず安易に踏襲して来た節が窺えます。

 一方、非正規公務員の労務問題はこの度の件に止まりません。
 先ず第一は地方公務員法第22条第5項で、臨時職員の任期は半年で、最長半年延長できることになっています。つまり、最長1年間の継続勤務が可能です。ところが現場では、1年の契約期間を過ぎたら、1週間を経て再雇用契約を締結し、結果同じ人が継続して何年も勤務している実態があります。これは同法の趣旨にそぐわず、そんなに特定人物を必要としているなら正規雇用するべしとなります。
 第二は、嘱託職員のコネ採用です。以前水道局の検針員を同局職員の親族が請け負うという身内採用が横行しており、私が指摘したことがあります。その後同業務は民間委託化されましたので、自然解消された経緯があります。以前人事課においても、このような事があったので、私の指摘を受け、市政便り等への広報で一般公募するようになりました。
 但し、市民センター等本部以外では、まだコネ採用が横行している節が窺えます。
 第三は、サービス残業です。人事課当局はこのようなことはあり得ないと言っていますが、実際は上司の許可を得る手続きをせずに、延長勤務している実態があります。本当に必要な業務であれば、上司が許可して延長勤務を認めた上で、時間外手当を支給するべきなのです。
 この度の賃金未払いに係る予算特別委員会では、市長自らがが陳謝した上で、「法令遵守の徹底化」を明言されました。私はこの市長の言葉の重みを執行部が十分噛みしめた上で、先に示した嘱託職員に対する3点の課題を解決するよう当局に釘を刺したところです。

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